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「針ノ木小屋」北アルプスの山小屋完全ガイド

登山者にとって快適な山歩きを楽しむための心強い味方、山小屋。館内施設や食事、成り立ちや売店メニューなど、山小屋の膨大な情報を集約しているので、山行計画に役立つこと間違いなし!

三大雪渓「針ノ木雪渓」を登る

標高2,536mの針ノ木峠にある針ノ木小屋は、北は後立山連峰の終着地、南は槍ヶ岳方面へ続く通称裏銀座コースへの基点に位置する山小屋。

小屋へのアクセスは、扇沢バスターミナルの登山道入口から日本三大雪渓のひとつ「針ノ木大雪渓」を通るコースが一般的で、コースタイムは約5時間だ。後立山連峰最南峰である針ノ木岳山頂へは小屋から約1時間。頂上からは黒部湖や剱岳などを望むことができる。

小屋の設立は1930年。創設者は地元信濃大町出身で登山史に残る活動家として名高い百瀬慎太郎さんだ。父慎太郎の意志を継ぎ、長女美江さんが当時は珍しかった女性オーナーとして活躍した。

その後1970年からは、美江さんの長男で現オーナーの百瀬堯さんが経営を引き継ぎ、登山者のために尽力している。

独特の外観は、雪の圧力を受け流すためのもの。度重なる改装を重ね、2006年にはバイオトイレを採用。また別棟に乾燥室や食品庫を増築するなど、当時の山小屋らしさを残しながら、登山者のために快適さを追求している。

代々受け継がれる名句

「山を想えば人恋し 人を想えば山恋し」百瀬慎太郎

針ノ木小屋の受付には創設者百瀬慎太郎が詠んだ名句が飾られている。

明治25年、信濃大町の對山館に生まれた百瀬慎太郎は、大町中学在学中に白馬岳に登り、山の魅力に開眼した。
18歳で日本山岳会に入った後、日本で初の山案内人組合を設立。

一方で当時文化サロンとして有名であった對山館で育ち文学の才能にも秀でていた。20 歳で若山牧水の門下生となり、生涯で800首以上の作品を残した。

なかでも「針ノ木峠雑談」の「山を想えば人恋し、人を想えば山恋し」というフレーズは、多くの登山者に親しまれた。以後、小屋に代々受け継がれ現在に至っている。

館内施設

くつろぎの場、食堂

食事が終わるとテーブルがたたまれ、休憩室に。畳の上でテレビを見ていると、田舎に帰ってきたような懐かしい気分に。

広〜い乾燥室

乾燥室は2006年に増築されたばかりで新しい。外から直接アクセスできるので、濡れたものを移動する必要がなく便利だ。

入口には自炊室

玄関を入ってすぐ横の自炊室。宿泊者には、小屋自慢の湧水を汲み上げた1Lの水券が付くので、積極的に使用したい。

簡易更衣室あり

小屋のスペースを有効活用した更衣室。狭いので、必要な荷物だけ持っていこう。

ハーゲンダッツ発見!

山ではめったにお目にかかれないアイスを発見。山価格だが、疲れた体には◎。

食事

朝食

干物、ソーセージ、卵焼き、豆、漬物類。湧水を利用したおいしいご飯はおかわり自由だ。

夕食

ブリの煮つけ、メンチカツ、サラダ、枝豆、煮物、ご飯、味噌汁。デザートに小さなゼリー付き。

お土産・売店

売店にはアイスやジュースなどのほか、タオルマフラーや靴下などのオリジナル商品が豊富。受付に飾られた百瀬慎太郎の暖簾は、800円で購入可能。自宅に飾ってみてはいかが?

部屋

1階はカーテンで仕切れるかいこ部屋、2階は畳の大部屋。個室はない。部屋は全体的にとても清潔に保たれている。かけぶとんにふかふかの羽毛布団を使用していて、寝心地バツグン。

洗面所・トイレ

トイレは男女共用。2006年にバイオトイレを採用し、においも少ない。トイレにある手洗い場の水は飲用不可。

テント場

小屋から割と近く、晴れていれば、穂高方面はもちろん、八ヶ岳や富士山を見ることができる。

DATA
設営数:22張
利用料:700円/人
水場:小屋
トイレ:あり
地面:土・砂利
小屋からの時間:2分

「針ノ木小屋(はりのきごや)」の基本情報

設備

テント場:あり
水場:なし
個室:なし
自炊室:あり
乾燥室:あり
お風呂:なし
生ビール:あり

営業期間

7月上旬〜10月上旬

電話・電波

ドコモ:不安定
au:通話不可
ソフトバンク:通話不可
公衆電話:なし

収容人数

100人

標高

2,536m

宿泊料金

1泊2食:9,500円
素泊まり:6,400円
お弁当:800円

連絡先

0261-22-1584
www.harinoki.com

※2018年2月現在の情報です。営業時間や定休日などは変更となる場合がございますので、お出かけ前にご確認ください。

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PROFILE

PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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