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「剱御前小舎」剱岳の絶好の展望台|北アルプス山小屋大全

室堂から雷鳥坂を登ると、稜線に出たところでいきなり剱岳がドーンと姿を見せる。剱御前小舎はまさにその場所、別山乗越と名付けられたところに立っている。別山乗越周辺は、剱岳がもっとも均整のとれた姿で眺められる場所として知られ、昔から山岳写真家の定番撮影ポイントとなっている。

そうした人たちの格好の撮影拠点ともなっているのが剱御前小舎だ。この地に小屋が建設されたのは1933年。1981年に一度火事で全焼し、翌年に新築されて現在に至っている。長年、地元芦あし峅くら寺じの所有施設として運営されてきたが、2017年に、仙人池ヒュッテのオーナーでもある志鷹正博さんが新たな管理者となって運営を続けている。小屋の前は、いつも登山者が行き交う広場となっていて、小屋の庭のよう。
この恵まれた立地とセットで小屋滞在を楽しみたい。

インフォメーション

テント場 個室 自炊室 乾燥室 お風呂 生ビール
ドコモ au ソフトバンク 楽天 公衆電話
×

■連絡先
080-8694-5076
https://www.tsurugigozengoya.net/

■営業時間
4月28日~10月20日

■収容人数
125人

■標高
2,750m

■宿泊料金
1泊2食 ¥12,500
素泊まり ¥9,500
お弁当 ¥1,000

■水
1ℓ¥100(お湯・お茶)

スタッフボイス

剱岳の展望が最高なことがなによりの自慢ポイントです。とくに朝と夕方がすばらしく、山岳写真を撮る方も多く来られます。朝夕だけでなく、晴れた日の剱岳は大迫力です。

部屋

客室はすべて畳敷きの相部屋。広さは部屋によって異なるが、6 畳~12 畳ほど。バックパックは部屋の中に持ち込まないルールになっている。廊下に荷物置き台が設置されているので、そこにまとめて置くようにする。

館内施設

ごっちゃりにぎやかな受付
入口をすぐ右手にある受付兼売店。商品には一つひとつていねいなポップが付き、にぎやかな印象。場所柄、昼食の注文も多く、ラーメンやカレー、カップ麺などが売られている。

昔なつかしき趣の食堂
昭和の大衆食堂や合宿所を思い起こさせる食堂。一見殺風景だが清潔で、スタッフによるかわいらしい看板なども掲げられており、あたたかい空間になっている。

剱が見える談話室
談話室は建物西寄りの角にあたるため、窓から剱岳が眺められる。本棚もここにあり、山岳写真集、山岳漫画が多く置かれているほか、本誌『PEAKS』も。

ここは乾燥室です
入口玄関を上がった左手正面が乾燥室。広さは十分で、強力なジェットヒーターも備えられている。入口から近いので、雨の日も濡れたものを持ち込みやすい。

休憩コーナー兼自炊室
受付の向かい側は、昼食メニューなどを頼んだ人が食事をできる部屋になっている。ここは自炊室も兼ねているため、素泊まりの人はここで炊事が可能だ。

食事

【朝】サケの塩焼きにスクランブルエッグと、山小屋朝食の定番的献立。左上はふりかけと焼き海苔。これはセルフで、好きなだけとっていい方式。ふりかけはありがたく、ご飯が進む!

【夕】取材時の夕食のメインは豚肉の生姜焼き。小鉢として、ポテトサラダと冷や奴が付く。めずらしいのは、味噌汁ではなくクラムチャウダーが付くところ。お代わり自由でとてもうまい!

トイレ

トイレは2012年に全面改装され、清潔なバイオトイレになっている。小屋の外には公衆トイレもあり。

洗面所

コンパクトな洗面台。水は天水(雨水)なので飲用はできない。水が少ない場所なので節約して使おう。

お土産・売店

生ビールが飲めるのがうれしいところ。缶ビールは350㎖が700円、500㎖が900円。コーヒーは300円だ。

剱岳撮影の定番ポイントがここ!

剱御前小舎が立つ別山乗越は、剱岳の絶好の撮影ポイントとして有名だ。剱澤小屋も剱岳の展望ポイントとして知られているが、見上げるような角度になるため、高さが表現しにくい。それに対して別山乗越は同じような高度から見ることができるので、剱岳がよりけわしく写るのだ。小屋の前が広場になっていて、三脚などをセットしやすいのもいいところ。剱岳がもっとも見栄えがするのは朝から午前中の早い時間と夕方。写真狙いなら剱御前小舎に泊まって朝夕の時間を狙おう。

▲別山方面に進んだところから見た剱御前小舎。尾根がたわんだ鞍部(=乗越)にあるのがわかる。
▲剱御前小舎から30分ほど登ったところにある別山山頂がじつは最高の撮影ポイント。別山乗越から見る剱岳よりさらに迫力が増す。よりクオリティの高い写真を求める人は、別山乗越だけで満足せず、別山の山頂まで足を延ばしてみよう。
▲別山乗越から見た朝の剱岳。右側に八ツ峰が連なり、ダイナミックな姿を見せてくれる。
▲別山乗 越で日の出を待つ登山者たち。別山乗越にはテント場がないので、この一瞬が見たければ剱御前小舎に泊まるしかない。

 

※この記事はPEAKS[2024年9月号 No.167]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

 

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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