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ファイントラックのファーストモデルから見るテント開発とは

2016年の春、“遊び手が創り手”を標榜するファイントラックが同社初のドームテント「カミナドーム」を発表した。現在はソロモデルから4人用までの3モデルをラインナップするドームテントの開発にあたった、相川創さんにその裏側を聞いた。

発表からおよそ4年。あのテントはどうやって生まれたのか。

高い耐久性と快適さを両立させた2人用4シーズンドームテント。厳冬期用「スノーフライ」やファインポリゴン採用の「ウィンターライナー」などのオプションが豊富なのも魅力的だ。

2004年の創業以来、ファイントラックは驚くような発想で、登山の世界に数々の旋風を巻き起こしてきた。彼らの製品には、いつも素材の新しい提案があり、これまで考えたことがなかったような価値観を提供している。

その最たるものが、デビュー作であり、かいた汗を肌表面から引き離すための耐久撥水アンダーウエア「スキンメッシュ」であろう。その後も、防水透湿コーティングを施すことで結露を大幅に軽減するワンポールシェルター「ポットラック」や「ツエルト」シリーズ、シート状の立体保温性素材を使った寝袋「ポリゴンネスト」などを発表した。

相川さんは、2015年の初頭に仕上がったファーストサンプルを持って、プライベートを含めて季節を問わずフィールドテストに向かった。

さらに、3年ほど前の2016年春、同社初のドームテント「カミナドーム」も発表している。プロジェクトが始動したのは2014年末。開発を指揮した商品企画課の相川創(そう)さんは、「たしか、その1年ほど前から素材作りも始まっていた」と開発当初の記憶をたどる。

「以前にも、ポットラックというワンポールのシェルターテントを作っていたんです。でも、あれは少しニッチな製品で、今回はだれもが使えるドームテントを作りたいと考えていました。いつも素材開発は、製品化の2~3年くらい前から動いていることが多いのですが、このときも生地の開発が先行して始まっていましたね」

カミナドームは、インナーテントに7デニール (以下D)の超極細糸を使ったリップストップナイロン生地を使用し、フライシートには15D生地をベースにしながら縦糸と横糸にそれぞれに40Dのリップストップ糸を入れたものを採用している。通常の15Dリップストップナイロン生地では、格子状のリップストップの縦糸に15D糸を2~3本ほどに束ねたものを採用するが、40D糸をリップストップの縦糸横糸に入れると、どのような効果があるのだろうか。

「横糸は太い40D糸が入っているけれども、縦糸には15Dのものを2~3本束ねていることがほとんどなんです。でも、そうすると縦方向と横方向の強度的なバランスが崩れてしまうことがある。ポットラックのときはこうした手法でも十分な強度の30Dの生地をベースに使っていたのですが、今回はより軽さを求めてベースに15D生地を採用しました。そのうえでリップストップには、縦横ともに40Dの糸を使うことで強度を高めたんです。

フロアは、少し丈夫な30D糸の生地を採用しています。直接地面に触れるところなので、薄くしすぎるのもよくないと考えていたからです。そういった意味では、いたずらに軽量化を謳ったテントではありません。テントの下に敷くグラウンドシートを使わなくても、一般的には十分な耐久性を確保できるように考えました」

そのうえで、相川さんはナイロンのなかでも通常の「6ナイロン」素材よりも、摩耗強度や引っ張り強度に優れている「66ナイロン」の採用を決めた。
カミナドームは「用途を限定しないテント」として生み出された。

形状は、2本のポールを使ったシンプルなドーム型である。これは〝遊び手が創り手〞を標榜する彼らが好む沢登りやカヤック、バックカントリースキー、クライミング、さらには夏山の縦走まで、あらゆる用途で使いやすく、強度と重さ、広い居住空間を確保するために一番効率がいい形状であったことが理由だった。

軽さでも、強度でも、居住性でも、なにひとつ諦めない。

「自分たちが好きな遊びをすべてカバーできるテントにしようという思いがあったんです。テントとしては、これが最初の製品ですし、当時の最後発メーカーにもなる。それに、さまざまなラインナップを一気に出すこともできない。だからこそ4シーズン、あらゆるところに行けることが重要だったんです。

そのうえで、どんなところでも使えるテントとして一番軽いものを作りたいという思いもありました。それに、居住性にもこだわっているんですよ。軽さでも、居住性でも、強度でも、なにひとつ諦めないことを目指したんです。そういった意味では、けっこうよくばりかもしれないですね」

居住性を高めるためには、天井まわりを広げる工夫を施した。具体的には10本継ぎのテントポールのうち、ほかのポールよりも中央部の2本に太いものを採用することでしなりを抑え、天井部のカーブをゆるくしている。これにより、ポールの末端側はよくしなって壁面の立ち上がりが高くなり、天井部はカーブがゆるくなるためスペースが大きくなる。すべてを同じ太さのポールで構成したものと比べると、座ったときの頭の高さとなる地上70㎝付近の空間が約40%増大したという。

最初は、吊り下げ式の構造を試していて、ツエルトなどに採用していた既存の素材も使っていたという。

ポールスリーブにもこだわった。フロアに近い部分よりも、天井周りのポールスリーブに幅をもたせることで、降雨時などにフライシートが濡れて垂れ下がり、インナーテントの生地を濡らしてしまうのを軽減しているのだ。

ポールスリーブに沿ったクロスラインには高強度ポリエチレン繊維の「ダイニーマ」を独自のテープ状にして縫い込んだ。これは同社製ツエルトなどにも採用してきた特許技術だが、インナーテントとフライシートの双方に縫いつけることで、テント全体の強度を高めている。相川さんは「ダイニーマが入っているところは、本当にガツッと伸びなくなるんです」と言い、ダイニーマを使わない試作品も作ったことを教えてくれた。
耐風試験を行なうと、テント全体の剛性感がかなり高まっていることが実証されたという。

2016年の春、満を持して出荷を開始したカミナドームだったが、じつは出荷直後につまずきを経験している。なんと、テントポールの先端を差し込むためのグロメットの径が、設計時と異なっていたというのだ。これは出荷直後に問題が判明したため、すぐに回収を始めたそうだ。

「このグロメットは、簡単に抜けてしまうといけないので、垂直にポールを引かないと抜けないようにはなっているんです。本当に微妙だったんですが、それがちょっとだけ小さくなってしまって。一応入るけれども、かなりタイトだったんです。本当に真っ直ぐ入れたとしても、抵抗を感じるくらいくらいでしたね」

苦笑いする相川さんに出荷したテント数を聞くと、その数1000張。フライシートとインナーテントそれぞれに6つずつ、合計14万2000箇所ものグロメットをスタッフ総出で穴を広げる作業を施して、全点の不具合を解消した。

ファイントラック製品には、国内の繊維産業を応援したいという思いからそのほとんどで日本製の素材を採用している。テントポールは評価が高い韓国のDAC製だが、カミナドームでもほとんどの素材で国内産を使用。同社は国内生産にこだわることでも有名だ。

その利点は、開発段階からメーカーと工場がそれぞれたがいにアイデアを出し合うなかで「自分たちの思っていた以上のアイデアが出てくる」ことだという。

相川さんに次回作の計画を開くと、詳しくはまだ伝えられないが、「もっと自由な発想のものを作れるなと思っています」と打ち明けてくれた。さまざまなアイデアを試しているということなので、楽しみにしたい。

  • ファイントラック/カミナドーム2 
  • サイズ:W212×D130×H105cm 収納サイズ:8×17×27cm(本体)
  • 39cm(ポール) 重量:1,460g
  • 問い合わせ先/ファイントラック

ファイントラック商品企画課/相川 創さん

創業間もないころに入社後、ワンポールシェルター「ポットラック」や「ツエルト」などの製品開発に関わる。繊維製品品質管理士資格を有し、カミナドームでは開発を指揮した。

出典

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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