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【火】〜妖怪いびき入道〜|ユーコンカワイの山岳妖怪図鑑

あなたは登山中に不思議な人に出会ったり、説明のつかない怪奇現象に遭遇したことがないだろうか? それらはすべて“山岳妖怪”たちの仕業である。 謎だらけな彼らの生態、そして不意に出くわしてしまった際の対処法を、令和の陰陽師ことユーコンカワイが解説していく。

妖怪いびき入道

一日歩き続けてヘロヘロになってたどり着いた山小屋。そこでは翌日の行動に向けて、早寝で体力を回復させることが重要になってくる。しかし、寝付きが悪い人は目をつぶっていてもなかなか眠れない。そんな寝遅れた登山者に襲いかかる怪奇現象がある。

まず最初にどこからともなく「ゴゴゴゴゴゴ……」という音が聞こえ出し、「なんだ?新手のスタンド使いか?」と困惑してるうちに、左から「ゴガッ!グゴアアアア!」右から「ズゴッ!…ブッシュァ〜」という激しいコール&レスポンスがスタート。

たちまち小屋内は濁音ロックフェス会場と化し、激しい「四面楚歌」がドルビーサラウンドであなたに迫りくる。一度気になり始めたらもはや眠りにつくことは不可能。ときには「グゴッ!」と叫んだあと数十秒無音になる無呼吸野郎も現れて、「だ、大丈夫なのか?」とドキドキさせられて気になってしょうがない事態に。

しかし、これらは登山者の仕業ではなく、すべて「妖怪いびき入道」の嫌がらせなのである。奴らは夜が更けるほどにどこからともなく集まり出し「ウィーン妖怪合唱団」を結成。とくにひとつの布団にふたりが寝るような繁忙期に大発生して、朝まで魂の熱唱を繰り返す。それはそれである意味「繁忙期の山の醍醐味」として受け止めるしかないのである。

  • 主な生息地:山小屋
  • 口癖:グゴゴッ!  ぷっしゅるるるるる
  • 危険度 ★☆☆☆☆
  • 迷惑度 ★★★★★
  • ひょうきん度 ★☆☆☆☆
  • ドルビーサラウン度 ★★★★★

一般的対処法

基本対策はやはり耳栓だ。しかし、それでも地の底から響くように訴えかけてくる強者がいる。あまりに酷かったら、音の発信源付近に枕を投げつけろ。数分間だけはおとなしくなるから、その間になんとか眠りにつくといいだろう。

ツウな対処法

コブクロの小渕になりきり、いびきに対して美しくハモり返してみよう。するとあれほど不快だったサウンドもすばらしいサビに変貌するはず。「グゴゴ〜」が「咲くLove〜」に聞こえたとき、君はすでに快適な眠りのなかにいるはず。

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PROFILE

ユーコンカワイ

PEAKS / ライター・イラストレーター

ユーコンカワイ

旅とロマンを愛するフリーランスライター&イラストレーター&遊び人。最近では岐阜県山県市で地域おこし活動をしつつ、本質的な遊び方や生き方を模索している。個人ブログ「股旅ベース」で様々な情報を発信中。http://yukonkawai.com/

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