水だけでおいしいフリーズドライを検証してみた!
PEAKS 編集部
- 2020年10月08日
巷にあふれるフリーズドライ商品。しかし、そのほとんどが湯戻し前提であり、水で戻せるというものでも、味はイマイチではと思っている人も多いはず。では、水戻ししたときの食感、味はどんなものか? いざ冷水を注いで試してみた。
文◉編集部 Text by PEAKS
写真◉猪俣慎吾 Photo by Shingo Inomata
出典◉PEAKS 2018年9月号 No.106
もう燃料がなくても大丈夫!?
テント泊で欠かせない消耗品は食料と燃料。不慮の延泊がなければ食料が足りなくなることはあまりないが、思ったより気温が低い、あるいは始めのうち贅沢に使ったために、燃料が最後まで持つかどうか、山行中に不安になった経験がある人はいるはず。
もちろん温かい食事は身体を温めてくれるという大きなメリットがあるが、燃料を節約する、あるいは食べられればいいという観点で考えるなら、食事で燃料を使わないという選択肢もある。そこで考えたいのがフリーズドライ食品の水戻し。
尾西食品やサタケなど、災害用の備蓄食を作っているメーカーを中心に、湯でなく水で戻しても食べられることを謳っている商品も少なくない。だが、実際のところ、水で戻した場合に固さがあったり、逆に水っぽくなったりするのでは、という懸念もある。
そこで今回はフリーズドライ食品の水戻し実験を敢行。水で戻せると書いてる商品はもちろん、そのような表記が一切ない商品も水で戻し味わってみた。
結果、アルファ化米はほぼすべて変わらぬ食感、味わいが得られたが、水戻し可となっていない丼もの、スープなどもほぼ安定した仕上がり。
なんだったら、暑い時期は積極的に水で戻すのもありかもしれないと思えるほどだ。ただ、スパイスが効いたものなど、水戻しでも十分おいしいが、やはり温かいほうがいいと感じたものもちらほら。
あと、水戻しは厳しいと感じられる商品もいくつかあった(水戻し前提に商品開発を行なっているわけではないので、それは当然の結果)。それぞれの商品へのコメントを参照に、これ以外でも「これはどうかな」と思う食材があったら、ぜひ水戻しを試してみよう。思わぬヒットがあるかもしれない。
ボクたちが試しました
猪俣慎吾
フォトグラファー。アウトドアパーティ集団「キッピス」主宰者でもあり、アウトドア料理には人一倍うるさい。もちろん自身の腕も相当なもの。
ヒジヤ
編集者。料理があまり得意ではないので、山では手軽なフリーズドライ食品を愛用中。味付きのアルファ化米に魚肉ソーセージを添えるのが定番。
【アルファ化米】
尾西食品/赤飯
乾燥食材としては小豆が入っており、どんな食感になるか不安があったが、小豆も水でしっかりと戻った。「もち米が原料っていうのもあるけど、モチモチ食感が感じられておいしい。米系だったらベストかも!?」(猪俣)
サタケ/マジックライス 保存食 青菜ご飯
米だけでなく、青菜もしっとりしていてアルファ化米とは思えないできあがり。「ホカホカもいいけど、青菜の味わいがしっかり感じられるから水戻しもアリ。あっさりしてるから朝食にするのがいいかも」(ヒジヤ)
尾西食品/えびピラフ
冷たくても味はしっかり。乾燥エビがどのような食感になるか気になるところだったが、これも湯戻しと変わらずプリッとしていた。「さすが尾西食品! 湯戻しと変わらないクオリティで、水でも十分ウマい」(猪俣)
サタケ/マジックライス 保存食 白米
定番中の定番、白飯。規定量の水で戻したがしっとり感が感じられる食感に。「固くもないし水戻しでも十分にイケる。でもシンプルな白飯だったら、温かいほうがうれしいかな。そのほうがおかずも進みそう」(猪俣)
モンベル/カレー リゾッタ
湯で3分、水でも5分という手軽さがウリ。「米の食感はバッチリ。でもカレーだからやっぱり温かいほうが香りが感じられてよさそう。ただ水で戻さずそのままでもパフのように食べられるのはうれしい」(ヒジヤ)
※水戻しの時間は商品に記載があるものは記載通り、ないものは湯で戻すときより長めに設定(おおよそ30分~1時間程度)
【パスタ・ラーメン】
日清食品/カップヌードル リフィル
麺も弾力がありそうで、卵やエビといった具材もふっくらと戻った。「うまい! これは超ヒット!! 水だから麺も延びないし、でもコシがしっかり残っている。冷やしラーメンとして十分に成立する料理」(猪俣)
マルタイ/山の棒ラーメン
水でふやけたものの、見た目にも明らかに茹でたときのような麺の弾力感が感じられない。「これも茹でるのが前提だから、明らかに水戻しには向いてないかな。非常時でもなければ、きちんと茹でられるときに投入を」(ヒジヤ)
ソル・レオーネ/エスプレッソ・パスタ きのこソースのペンネ
水で1時間ほど戻したが、パスタの食感は固め、粉末ソースも水にはあまり溶けない。「これは湯で調理するのが基本だから、ダメ元で試したけど当然の結果かも。水戻しはナシというのが明確にわかった」(ヒジヤ)
サタケ/マジックパスタ ペペロンチーノ
水で20分で完成。1時間が基本のアルファ化米よりも早く戻せるのがポイント。「十分許容範囲の食感だけど、水だと少しだけ固く感じるかも? あとペペロンチーノはやっぱり温かいほうがいいかな」(猪俣)
【丼・カレー】
アマノフーズ/小さめどんぶり 親子丼
水でもしっかりとふやけ、とろみも十分。鶏肉もぱさつくことなくしっかりと戻っていた。「食感はまったく問題なし。食べるという意味ではこれでもOKだけど、味わう意味ではやっぱり温かいものが食べたい」(猪俣)
アマノフーズ/畑のカレー ひきわり 豆のトマトカレー
水に溶けるか不安だったが、わりとすぐにふやけ、スプーンで撹拌したら湯戻しのようなとろみも出てきた。「水でも全然問題なし。温かいほうがスパイス感がありそうだけど、コクが感じられるこちらも◎」(ヒジヤ)
クスクスもイケる!
パスタと同じデュラム小麦を使ったクスクスも水で戻してみた。基本的に湯を注ぐだけで茹でる必要はない食材のためか、水でも湯戻しとほとんど変わらぬプチプチ食感に。もちろんこのままでは味がないが、白飯などと同様に主食のベースとしてさまざまな応用ができるので、持っていく価値は大いにある。
【スープ・コーヒー】
MCフードスペシャリティーズ/一杯の贅沢 完熟トマトソース
水でも溶け、見た目も普通。「これはまさに冷製スープ。暑い時期はこちらのほうがさっぱりしていいくらい。スープ系は食感的にはほとんど水で戻せるから、そのときの気分で湯と水を使い分けるのもいいかも」(ヒジヤ)
アマノフーズ/いつものおみそ汁 とうふ
味噌はもちろん、とうふも湯戻しと差がないくらいにしっかり戻った。「味噌がしっかりと水に溶けてるし、これはこれでいいね。冷たい味噌汁ってあんまり飲んだことないけど、意外とイケるかも」(猪俣)
グロワーズカップ/ブラジル
水に浸した時間は1時間程度。湯を注いだときよりは薄めの色味に。「水でもいけそうだけど、もっと時間が必要かも。前の晩に水を入れておいて、朝飲んだら濃いめのアイスコーヒーになってちょうどよさそう」(ヒジヤ)
結局なにがおいしかった?
ダントツでカップヌードルがおいしい! 山だと無理だけど、氷を入れてキンキンに冷やして食べてみたい。あとはえびピラフも絶品。赤飯も含め、炊き込みご飯系はどれも安定の味わい!(猪俣)
個人的にコクが感じられる常温のカレーが好きなので、カレーの水戻しは山でもやってみたい。夏山だったら冷や飯に冷えたカレーという組み合わせもありかも。あとやっぱり冷製カップヌードルは最高!(ヒジヤ)
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文◉編集部 Text by PEAKS
写真◉猪俣慎吾 Photo by Shingo Inomata
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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