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筆とまなざし#195「雑穀谷クライミング、そして立山スケッチ登山へ(前編)」

四連休。雑穀谷クライミングとともに、立山スケッチトレッキングへ。

四連休の初日は絵を描き、二日目から富山へ行ってきました。最初は瑞牆山へクライミングに行こうと思っていましたがどうも天気が怪しい。そして、最近複数人の友人から立山の登山口にある雑穀谷という岩場がおもしろいと、立て続けに聞いて興味を持ったのでした。雑穀谷は「スーパークラック(5.10)」というルートで有名な岩場ですが、「サワコ」という5.12aのフィンガークラックがあるということ。

「わざわざ富山まで?」

と聞くと口々に、

「わざわざ行く価値がある!」

と言うのです。雑穀谷自体は小さな岩場です。せっかく立山まで行くのなら山も歩いてしまおうと、出発の前日に決めて急いで準備し、テント装備とスケッチセットを持って出かけました。

下道で5時間弱。時間はかかるけれど高速料金がかからないので経済的。11時ごろ岩場に到着し、アップを済ませて早速「サワコ」にトライ。このルート、クラックですがボルトが打たれています。せっかくなのでボルトは使わずカムで登ることにしました。オンサイトトライは核心で足を滑らせてフォール。立山に降る大量の雪によって岩肌が磨かれているのでしょうか、花崗岩だけれどツルツルです。ムーブとプロテクションを確認して2度目のトライで完登しました。岩場で偶然出会った知人によると、その日の立山ケーブルカーは大混雑で、朝6時から並んでも2時間待ちだとか。コロナの影響で人手が少ないかと思いきや、ちょうど落ち着いてきたときなのでそんなことはありませんでした。とはいえ、例年よりは少ないのだろうけれど……。

翌朝、6時前にチケット売り場に並ぶも、すでに長蛇の列。こんなときに来るもんじゃなかったと思いつつ、連休だからこの旅を思い立ったわけで、仕方ありません。2時間ほど待ってチケットを買い、8時50分発のケーブルカーに乗りました。当初、初日に雷鳥沢にテントを張ってそのまま立山をぐるりと歩き、翌朝テントを撤収してもう一日雑穀谷で登ろうと考えていましたが、その計画はすぐに諦め、初日は雷鳥沢のテント場までとすることにしました。早くテン場についてゆっくり絵を描こう。結果的に、この判断のおかげで充実した旅となるのでした。つづく。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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