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なぜ、人はひとりで山を歩くのか? ソロ登山の心理学

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ソロ登山者というとアクティブな人が多いように思います。

――危険よりも自立を求めてということですね。

厳島 そういう部分もあるでしょうけれど、ひとりで登っていれば単純に自由度が高いですから。歩くときに人にペースを合わせなくてもいいとか、日程が自由になるというのも現実的に大きな利点ですよね。

ただ、自由は責任とセットなので、ソロ登山は自由なぶん、責任も大きい。登山は自己責任というけれど、ソロ登山はそれがいちばんはっきりしている。だから、リスクや責任を負ってでも自由をとりたいという人がソロ登山を選ぶのではないでしょうか。それが自立ということかもしれません。

――これは、トップクライマーの人に聞いた話なんですが、「ひとりで登ると山から得られる感動を全部受け取ることができる。ふたりで行くとそれは半分になって、10人で行くと10分の1になる」と。

厳島 なるほど。それはわかるような気がします。ひとりで登っていると話したり相談したりする相手がいないから、四六時中、山に神経を向けていますからね。

分岐が出てきたらどっちに行くか考えて決めなくてはいけないし、雲が出てきたら天気のことを気にかけないといけないし。もちろんどうしたらいいか聞く相手はいないから、自然と状況を一所懸命観察しますよね。それが結果的に山から得られる体験を深くし、豊かにするということなんだと思います。

――ひとりで行くと、より濃密な体験ができるということですね。

厳島 そのとおりです。ソロ登山は多かれ少なかれパーティ登山よりも緊張しますよね。自分がミスすればその結果もすべて自分にふりかかってくるから、つねに緊張感をもっていないといけない。難しくいうと「つねに意思決定が求められる登山」。

それはしんどいことだけど、意思決定をするためには目の前の山の状況をつねに見ている必要があるので、頂上に着いたときや山から下りてきたときの充実感は大きい。先ほど言われた「仲間と行くと感動が薄まる」というのは、ここに由来するんだと思います。

研究室の書棚には「山と高原地図」がずらり。トレッキングブーツやらコッヘルやら、山道具もいたる所に置いてある。
――パーティ登山でも「連れていく側」となると、そういう緊張感が求められそうですね。

厳島 私は岩登りもやるんですが、リードで登るときとフォローで登るときとでは、まったく違う体験なんですよ。リードのときは先頭を行くのでルートを自分で見極めていかないといけないし、ミスしたら落ちる距離が長いから精神的な緊張感もすごい。

いっぽうでフォローのときは上からロープで安全確保されているから落ちてもロープにぶら下がるだけだし、リードの人が登ったあとをついていけばいいだけなのでルートを見極める目も必要ない。

で、登り終わったあとにどちらが充実するかというと、圧倒的にリードなんですよね。ソロ登山とパーティ登山もこれと同じような関係にあるんじゃないでしょうか。

パーティ登山はリスクが少ないし、人に頼れる部分が大きいので気楽に登れる。いっぽうでソロ登山はリスクが大きいけれど、それだけに本気で山と対峙することになるし、その結果としてより多くの情報や感動を山から得られる。

――同じコースを登ったとしても違う体験ができると。

厳島 そうですね。仲間と登ったことがある山でも、ひとりで行くとまったく違った山に感じられるという経験はありませんか。人と行くと得られない濃い体験ができるところが、ソロ登山をするいちばん本質的な動機になっているのではないでしょうか。

厳島行雄

日本大学文理学部心理学科教授。専門は認知心理学。趣味で始めた登山にのめりこみ、沢登りや岩登りを中心にオールラウンドに登っている。現在、「登山の心理学」をテーマにした書籍を準備中。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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