BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

コンパス&地図読みテクニック|道に迷わないために知っておこう

あれ? なにか変だ。どこかで道を間違えた……? 道迷いは突然訪れる。山での道迷いは、時間や体力の無駄だけでなく、大きな事故や遭難に直結する。迷わないため、迷ったときの対処に必要な、最低限知っておきたいコンパスと地図の基本について学ぼう。

文◉小川郁代 Text by Ikuyo Ogawa
イラスト◉ナカオ☆テッペイ Illustration by Teppei☆Nakao
出典◉PEAKSアーカイブ ソロトレッキング

「人も多いし登山道も整備されている。遭難するほど道に迷うことなんてまずないでしょ」

そう思っている人も多いはず。
しかし、実際には低山でも道迷いによる遭難者が後を絶たない。

「万が一自分がどこにいるかがわからなくなったときのために、『お守り』のつもりで、コンパスと地図は持っておくか」などという心持ちでいたら、いざというときに大きな後悔をすることになる。

山では、なにより自分の居場所を見失わないことが大前提だ。完全に見失ってからでは、日ごろ使い慣れていないものがコンパスと地図を駆使しても、それを見極めるのは、技術的にも、精度的にもとても難しい。

コンパスと地図は、自分の居場所がわかったうえで、進行方向を正しく把握するために使うもの。そしてそのためには、地図から得られる情報を正確に把握する知識が必要だ。

ただし、地図読みは奥が深い。
すべてを完全に理解しようとするにはそれなりに時間がかかる。だからまずは、道迷いを遭難に発展させないため、自分の進む方向を確認するために最低限必要な知識を身につけておこう。

そして、その知識を実践でトレーニングすることが重要だ。「よし、この道で間違いない」と、どんな状況でも自信を持っていえるまで、繰り返し練習あるのみ。さあ、トレーニング開始。もうコンパスと地図を持たずに山には入れない!

TIPS 1 必要な道具は?

 コンパス

どんな方位磁石でも方角はわかるが、初心者が山で使うには、プレート型と呼ばれる、方位磁針制動用のオイルが入ったカプセルと透明なプレートを組み合わせたものがオススメ。

地図上の方向と針の指す角度が合わせやすく、誤差も少なく確認しやすい。理論的な部分が十分理解できているのなら、どちらが北かを知るだけに機能を絞った、指にはめて使うサムコンパスもいい。

プレート型

スウェーデンの「シルバ社」の「レンジャー」が大定番で、プレート型コンパスが別名「シルバコンパス」と呼ばれるほど。他に「スント社」などにも同様のタイプがある。

アウトドアウォッチ

さまざまな機能を備えた腕時計の電子コンパスでも方角はわかるが、地図と合わせては使いにくい。高度計としては役に立つが、コンパスはやはり専用のものを用意したい。

サムコンパス

地図を持つ手の親指にはめて使うため、必要なときにいつでも確認できる。シンプルな作りで価格も手ごろ。手で持つ必要がないので、頻繁に手を使う場合に便利。

地図

地図の基本は、国土地理院が発行する25,000分の1「地形図」。地図読みの要である等高線が把握しやすく、周りの状況を正確に判断するにはもっとも適している。

「山と高原地図」(昭文社刊)などの登山地図は、水場やコースタイムなど登山に関する情報が豊富だが、細かい部分では正確な地図情報を得られないことがある。登山地図を使う場合でも、地形図も携行しよう。

25,000分の1「地形図」

全国の大型登山用品店や大型書店のほか、日本地図センター(http://net.jmc.or.jp)でも購入できる。

登山地図

昭文社の「山と高原地図」が代表的。登山に必要な情報に特化し、情報が毎年更新される点では地形図に勝るといえる。

地図も電子化の流れ?

国土地理院は地図の電子化を進めており、「電子地形図25000」というサイトでデータを購入し自分でプリントアウトできる。そのほか「地理院地図」などの無料で印刷できるweb アプリや、「カシミール3D」などのフリーウェアなどもある。

必要なエリアを自由に選んで印刷できて便利だが、用紙やプリンタの性能、インクの種類、データのサイズなどにより、使いやすさや精度に差が出ることも十分頭においておく必要がある。

また最近ではスマートフォンなどでも地図を閲覧できるが、一度に広範囲を見られないことや、電池切れや圏外などのリスクを考えると、紙の地図を使うのが安心だ。

TIPS 2 地図の基本を頭に入れる

1 基本の「キ」

いまさら人に聞けないことや間違って覚えていても気付かないこと、しっかりと基本をおさえているつもりでも山ではいろいろなことが起きる。改めて確認することが大切だ。

❶地図ではつねに上が北

常識だが地図読みをしているうちにコンパスを逆方向に合わせてしまうことがある。つねに上が北の向きに印刷されていることを意識しておく必要がある。

❷等高線は同じ高さの場所を結んだ線

等高線は、25,000分の1地図の場合10m間隔で引かれている。同じ高さを結んだ線ということは、等高線に沿って歩けば高さの変わらないトラバースということ。逆に等高線を横切るように歩けば登り、もしくは下りになる。

等高線の間隔が広いところは緩斜面、狭いところは急斜面だ。地図上の沢にいつも水があるとは限らない。地図上に沢の表記はあっても、そのときの条件で水の量には差がある。

また、表記はされていなくても水が流れていることも。あくまで水の有無ではなく、地形で判断しなくてはならない。

2 地図上の1㎝を実際の距離に置き換える

「地図のここからここまで、大体どのくらいの距離だろう?」。急に聞かれてパッとイメージしにくいが、等高線の間隔、尺度を把握しておけば地図中の縮尺目盛りを探さなくてもおおよその距離を算出できる。

❶地図上の1㎝は、縮尺の末尾ゼロを2つ隠した数字(メートル)

つまり
【1/25,000 なら1㎝は250m】
【1/50,000なら1㎝は500m】
ということ。

これがわかれば、25,000分の1地形図では「4㎝が1㎞」、50,000分の1地図では「2㎝が1㎞」となり、パッと見たときにおおよその距離をすぐにイメージできる。

「次の分岐までだいたい2㎞だな」、「1㎞歩くのにだいたい○分かかったな」などというコースタイムや移動速度などの判断の材料になるわけだ。

3 地図に磁北線を引く

地図上の北とコンパスの指す北(磁北)は同じ方向ではない。地域によっても異なるが、本州では6°から8°程度西側に傾いている。これを西偏という。このためこのズレを修正するため、地形図に「磁北線」という線を書き込む必要があるのだ。

地形図の欄外に必ず記入されている「西偏●°」という表示をもとに地図上に線を引く。長い定規を使い、ズレないように平行に引いていこう。

縮尺25,000分の1の地図の場合、4㎝間隔で地図全体に磁北線を引けば、線の間隔がちょうど1㎞となり距離の目安としてわかりやすい。

4 等高線と山の形の関係を知る

普段、街中で地図を読むときは、「2つめの角を左に曲がって大きなビルを右折……」など目標物を目安に判断することが多い。しかし、山ではそうはいかない。

山で地図を読むということは、等高線を頭のなかで立体化して地形の起伏をイメージするということ。つまり等高線からどれだけ多くの情報を得られるかが地図読みのキモ。等高線を制するものが地図を制するのだ。

❶ピークとコル

登山道で「ああ、ここまで下りでラクだったのにまた上りか」とうんざりするあの瞬間、その場所がコルだ。逆につらい登りを終えた頂点がピーク。このふたつを地図上で確認してみよう。

ピークは、等高線が丸く閉じたところ。地図上でもっとも探しやすいだろう。近くにあるピークをふたつ探し、そこから広がる等高線を見ていくと、両方から延びる等高線がもっとも接近したところ、これがコルだ。

ふたつのピークの間でもっとも低い位置といえる。

❷尾根と沢

ピークの周りをよく見ると、等高線が外側に突き出すように延びている部分がある。この突き出た部分を順に追ってつないだ線が「尾根」だ。実際の地形では両側が開け景色を楽しめるところも多い。

尾根の先が次のピークまでつながり、どんどん続いていく大きな尾根の連続を「稜線」と呼ぶ。「沢」は、尾根と尾根の間にはさまれた低い部分だ。地図で見ると、尾根とは逆に、ピークに向かって等高線の一部が極端に食い込んでいる部分。

等高線の形状は似ているが地形はまったく逆。ピークを中心に、向きに注目すれば尾根と沢を見分けることができる。

5 地図の記号を知る

地図記号は危険な箇所を判断するときや、植生を判断するとき、避難小屋を探すときなどにも役立つ。予定外の岩がけや荒地などに踏み込まないよう気をつけよう。

TIPS 3 地図読みの基本姿勢

コンパスの名称

プレートにもリングにも数字などが書かれているが、基本の操作では使用しない。数字に惑わされず、使う部分だけをしっかり覚えれば大丈夫だ。

❶リング

ここを回すと、カプセルの中の赤い矢印が回転する。

❷進行矢印

この矢印が身体の正面にまっすぐになるように構える。方向が定まったら、この矢印の方向へ進む。

❸磁針

この針の赤いほうがつねに磁北を示す。

❹手元側

コードがついたこちら側が、つねに手元側になるよう持つ。

持ち方

コンパスは地面と水平に保ってこそ正しい方向を示す。足場の悪い山中で使うときなど、傾かないようにとくに気を配りたい。

TIPS 4 地図読みを格上げするツウのワザ

1 オリエンテーリングってどんなスポーツ?

今回監修をしてくれた菅原さんが競技者や講師として活躍しているオリエンテーリングは、地図とコンパスを使い、地図上に指定されたポイントをすべて回り所要時間を競う競技。

日本ではレクリエーションのイメージが強いが、ワールドカップも行なわれ、高い地図読みの技術と走りの能力の両方を必要とするとてもハードなスポーツだ。ポイント間に決められたルートはなく、個々に最速でたどり着くためのルートを、地図を頼りに割り出していく。

専用の地図は10,000分の1の高精度で最初から上が磁北になるように補正されているものを使う。初心者でも参加できるイベントなども開催されているので、体験してみるといい。

2 コンパスを首から下げない

コンパスについているコードは、落下防止のためのもの。つい首にかけたくなるが、枝などにひっかかって危険なことがある。バックパックのショルダーなどにつけて、使用しないときはぶら下げずポケットなどに入れるようにしよう。

3 コピーを活用

25,000分の1地形図は、全行程を用意すると複数枚にまたがり、ほんの一部分しか使わない地図があったりして無駄が多い。そんなときは地図を張り合わせて1 枚に仕立て、使う部分だけをコピーして使うといい。

4 地図の上部に印をつける

とくに初心者は、地図を回転させるうち、向きを錯覚して、磁石の北と地図の南を合わせてしまうことがある。ありがちだが非常に致命的なミスだ。これを防ぐには、地図(または地図ケース)の北側に、赤いマーカーやテープで目印をつけておくと、このような凡ミスをなくせる。

5 地図はジッパーつきビニール袋に

雨や汚れなどから地図を守るには、文具店や包装材店で買える厚手のPE(ポリエチレン)の袋が使いやすい。シワにならず、カサカサと音もしない。

6 現在地を親指で確認

自分の位置を見失わないためには、現在位置を常に指で押さえておく。移動して再度現在位置を確認できたら、その地点まで指を動かす。これを繰り返していけば、大きく道を外すことを防げる。

7 コンパスのコードはおへそにつながっていると思え

正置のために回転させるとき以外、コンパスはつねにコードの付いている側が手前になるように持つ。初心者はついコンパス本体を回してしまいがちだが、これは間違い。コンパスをこね回すだけで一向に進行方向が決まらなくなる。

コードがおへそにつながっているイメージで持つようにしよう。そうすれば、むやみにくるくる回さなくなるはずだ。

TIPS 5 地図とコンパスで、自分の進むべき方向を確認する

さあ、いよいよ実践編。コンパスと地図を実際に使ってみよう。
まずこれだけは知っておきたい「目的地がどっちの方角に、どのくらいの距離にあるのか」を確認する方法に絞って解説しよう。もちろんいまいる場所がどこかがちゃんと把握できていているのが大前提だ。

地図とコンパスの扱い方が若干違ういくつかの方法があるが、ここでは初心者が行なってもブレず正確な結果が得られる基本的な方法を紹介する。

しかし、これができれば絶対に迷わない、というわけにはいかない。地図もコンパスも十分使いこなせる人にも道迷いは起こる。しかし彼らがなぜ遭難しないのかというと、ミスに早く気付きリカバリーする観察力と判断力を備えているからだ。

「地図では左なのに、右に下がっているのはおかしい」とか、「正しく進んでいれば、こんな急斜面じゃないはず」など、危険のサインにいち早く気づくことができる。おかしいと思ったら戻る、そして確認する。その基本行動をできるだけ早い時点で行なうのが、道に迷わない鉄則だ。

また急にコケや下草、浮石が多くなった、突然沢が現れたなどの、道迷いのサインに気づく力を養うことも大切だ。もちろん事前の十分な下調べも重要。頭のなかですべての力を総合的に高めることを意識しておこう。

まずは地図を正しい方向に向けて持つ

コンパスワークの第一歩は、「正置」と呼ばれる地図を実際の地形の向きに正しく合わせる作業。地図はつねに現在地を手前に、目的地を遠くに、実際の地形に合わせて持つようクセをつけておこう。

地図の上にコンパスを置き、磁針と磁北線が平行になるまで地図を回転させる。文字などが見やすいためつい地図を北を上に向けた状態で持ちたくなるが、これは間違い。カーナビの画面のように、つねに進行方向が上になるように地図を持つ。

このとき地図の北と磁針の北(赤い方)が揃っているか必ず確認すること。

STEP❶ 現在地と目的地を結ぶ線にコンパスの端を合わせる

このとき必ず手前が現在地、先が目的地になる。つねに進行方向が先になるように正置して地図を構えれば、そうなるはずだ。カーナビの地図のようにつねに進行方向が上になる。

STEP❷ リングを回して、カプセル内の赤い矢印と磁北線を一致させる

リングを回すときに、プレートの位置がずれないように気をつける。また、リング内の赤い矢印は必ず北を向いていることが重要。地図の上辺に矢印が向いていることを必ず確認しよう。

カプセル内の赤い矢印が磁北線の北と向きが一致するまでリングを回す。

STEP❸ 赤い矢印と磁針の赤いほうが重なるように体を回転させる

重なったところで止まり、正面が進行方向だ!

ここでも大切なのは姿勢。コンパスは必ず地面に水平にし、体を回すときは必ず足元から、体ごと回転する。足を動かさず体をひねって回ってしまうと、方向が正しく見定められない。

地図読みならおまかせ!・教えてくれた人/菅原 琢さん

会社員にしてオリエンテーリング競技暦35年。数々の大会で成績を残すほか講習会などで講師をつとめる。東京都オリエンテーリング協会監事。

出典

SHARE

PROFILE

PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

No more pages to load