全国ヤリ図鑑|一番キレている山はどれだ?
PEAKS 編集部
- 2021年06月08日
先端が尖る山は槍ヶ岳だけ? いやいや、全国各地にも青空にグサッと突き刺さる山はある。北から南まで槍ヶ岳顔負けのキレてる山を一挙公開。めざせ全国ヤリマスター!
文◉吉澤英昇 Text by Hideaki Yoshizawa
写真◉杉村 航 Photo by Wataru Sugimura
写真提供◉揖斐川町役場、富良野市役所、山形県庁、福島県庁、湯沢町役場、東吉野村役場、江府町観光協会、つるぎ町本庁、川棚町観光協会
出典◉PEAKS 2020年7月号 No.128
【名前がヤリ】
鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)[2,889m]/長野・富山
キレてる度★★★☆☆
元祖「槍ヶ岳」から名を授かった双耳峰
ふたつのピークが聳立する双耳峰で、ヤリっぼい北峰と南峰がネコ耳のように尖っている。昔はふたつの岩峰が競い合うように聳えていることから「背比(せくらべ)岳」とも呼ばれていたが、明治以降に「鹿島にある槍ヶ岳」という理由で、いまの山名が定着。ちなみに背くらべの勝者は南峰で、北峰よりも47.2m高い。
鑓ヶ岳<白馬鑓ヶ岳>(やりがたけ)[2,903m]/長野・富山
キレてる度★★★☆☆
それほど尖ってないけど名前は鋭い
白馬岳、杓子岳とともに白馬三山に数えられる。名前の由来は、山頂がヤリのように尖っていて、漁師が使う矢先が三本のヤリに似ているからという説がある。ただ命名するほど尖っているかと聞かれると、答えに窮してしまうのも事実。細かいことは考えずに、2,100mの高所に湧き出る名湯「白馬鑓温泉」といっしょに楽しもう。
三本槍岳<那須岳>(さんぼんやりだけ)[1,917m]/福島・栃木
キレてる度★☆☆☆☆
名前はトゲトゲしいのに真っ平ら
三本槍岳の山頂は想像を絶するほどフラットである。同じ那須岳に数えられる朝日岳のほうが、よっぽどヤリっぽい。ではなぜこの山に「三本槍」などと猛々しい名前が付けらているのかというと、遠い昔、会津藩、白河藩、黒羽藩が境界を決める際に、それぞれが山頂に槍を立てたことに由来する。歴史が生んだヤリ山なのである。
涸沢槍(からさわやり)[約3,040m]/長野・岐阜
キレてる度★★★★★
本家本元も顔負けの鋭いトンガリ
涸沢から西に空を見上げると目に飛び込んでくるのがこちら。槍というより、あまりに鋭い先端はまるでアイスピックのよう。触れたら痛そうな頂上には、涸沢岳と北穂高岳をつなぐ登山道の途中で立てる。しかし、このルートは全国でも1、2を争うほど難易度が高い。毎年事故が絶えないので、涸沢から眺めるだけで十分かも。
鎗ヶ先山<鎗ヶ先>(やりがさきやま)[966m]/岐阜県
キレてる度★★☆☆☆
低山でも尖っていればヤリ!
槍(鎗)が名前につく山は意外と少ない。そんな貴重なひとつがこの里山だ。聳える場所は岐阜県揖斐川町。養老鉄道養老線揖斐駅から車で粕川沿いに西へ走ること約30分で、登山口がある集落に到着する。登頂の暁には、揖斐川町の街並みを眼下に眺めよう。ローカルピークだが、ヤリ山ハンターとしては外せない一座である。
芦別岳(あしべつだけ)[1,726m]/北海道
キレてる度★★★★☆
ヒグマも真っ青の鋭いピーク
夕張山地の最高峰で、別名はズバリ“北海道のマッターホルン”。新道と旧道のふたつの登山道があり、やや険しい旧道を選ぶと、稜線でこのヤリっぽい雄姿と対面できる。
祝瓶山(いわいがめやま)[1,417m]/山形
キレてる度★★☆☆☆
シルエットはまるで山形美人
整った三角形の姿に目を奪われる祝瓶山は“東北のマッターホルン”とも呼ばれている。だいぶ背伸びした愛称だなと思ってしまうが、容姿端麗な名峰であることに異論はない。
火打岳(ひうちだけ)[1,238m]/山形
キレてる度★★★★☆
方角によってキレてる度が変化
写真は南方から見た火打岳。これを北東にある「砂利口」から見ると、もっとヤリっぽく尖っている。砂利口に至る登山道は不明瞭で遭難事例も起きているので、計画は慎重に。
蒲生岳(がもうだけ)[828m]/福島
キレてる度★★★★☆
写真のシルエットは仮の姿
通称“会津のマッターホルン”とも呼ばれる鋭鋒。写真は正面から捉えた姿で、横から眺めるとギンギンに尖っている。JR只見線只見駅の駐車場から、その雄姿を確認できる。
【形がヤリ】
マッターホルン[4,478m]/スイス・イタリア
キレてる度★★★★★
世界に名を馳せるアルプスの秀峰
全国のヤリっぽい山は、“◯◯のマッターホルン”という愛称で呼ばれることが多い。その本家本元こちらで、ヨーロッパアルプスではめずらしい独立峰だ。名前はドイツ語で、「マッタ」は牧草地、「ホルン」は山頂や角を意味しており、地元では山自体が「ホル」と呼ばれている。世界中の登山家を魅了し続ける憧れのヤリ山である。
大源太山(だいげんたさん)[1,598m]/新潟
キレてる度★★★★☆
米どころに聳える鋭い名峰
谷川の人気ルート「馬蹄形」から、ちょっと北へ外れた場所に聳えるのがこちら。“上越のマッターホルン”の別名は伊達じゃなく、尖りっぷりは秀逸。頂からの展望も最高だ。
高見山(たかみやま)[1,249m]/奈良・三重
キレてる度★★★☆☆
尖った形より歴史に注目!
台高山脈の北端に位置し、別名“近畿のマッターホルン”。古くから信仰の対象で、山頂には神武天皇の東征を先導したヤタガラスを祀る高角神社がある。冬の霧氷も有名。
烏ヶ山(からすがせん)[1,448m]/鳥取
キレてる度★★★★☆
伯耆大山が迫る絶景スポット
山陰の盟主「伯耆大山」の南東に聳える鋭鋒。“山陰のマッターホルン”として親しまれている。麓からも見応えがあるが、頂から一望する伯耆大山の絶景も一見の価値がある。
黒笠山(くろがさやま)[1,703m]/徳島
キレてる度★★★☆☆
深編笠をかぶった阿波の名峰
日本百名山「剣山」の北西に聳える知る人ぞ知る名峰。地元では“阿波のマッターホルン”の愛称で親しまれている。名前は虚無僧がかぶる深編笠に似ていることが由来とされる。
虚空蔵山(こくぞうさん)[609m]/長崎・佐賀
キレてる度★★★★☆
トンガリ具合は本家にそっくり!
地元では「こくんぞう」とも呼ばれている。別名は“九州のマッターホルン”。ちなみに全国には同名の山が各所に点在している(岩屋登山口は8月下旬まで通行止め)。
- CATEGORY :
- BRAND :
- PEAKS
- CREDIT :
-
文◉吉澤英昇 Text by Hideaki Yoshizawa
写真◉杉村 航 Photo by Wataru Sugimura
写真提供◉揖斐川町役場、富良野市役所、山形県庁、福島県庁、湯沢町役場、東吉野村役場、江府町観光協会、つるぎ町本庁、川棚町観光協会
SHARE
PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。