プロのシェフが考える、山ごはんを美味しくする7つのコツ
PEAKS 編集部
- 2021年05月28日
INDEX
なんの世界においても、慣れすぎてしまうと見えなくなってしまうことは意外にたくさんあるもの。山を歩くのは初心者だけれど、料理はプロ。そんな倉本さんのフレッシュな視点から、山で美味しいごはんを作るために押さえておきたい7つのコツを考えてもらいました。
文◉池田 圭 Text by Kei Ikeda
写真◉熊原美惠、杉村 航 Photo by Yoshie Kumahara, Wataru Sugimura
出典◉PEAKS 2020年7月号 No.128
山ごはんを美味しくするコツ❶
出発前の下ごしらえに手を抜かない。
山でも街でも、スムーズに調理を進めるために下ごしらえは欠かせない。面倒な工程は自宅の台所で行なえば、山で慌てることがなくなる。しかも具材のカットや味付けまで済ませておくと、余計な道具や調味料を持たずに済む。味もよくなじみ、いいこと尽くしだ。
山ごはんを美味しくするコツ❷
完成までの手順を想像してみよう。
山では調理の手順を普段と変えたほうがいい場合もある。例えば通常は肉→野菜の順で焼くのがセオリーだし、バゲットは食べる直前に焼きたいところ。しかしフライパン1枚で済ませるなら、逆の順で作業するのが効率的だ。セオリーにとらわれず、手順を決めよう。
recipe 01 NY生まれのジャンクフードを山向きにアレンジ
チキンオーバーライス
材料(2 人分)
- 鶏モモ肉 1枚(250g)
- ヨーグルト 60g
- カレー粉 5g
- アルファ米 1袋
- ターメリック 少々
- ケチャップ 1袋(12g)
- ミニトマト 4 個
- ズッキーニ 1本
- ナス 1本
- アスパラ 1本
- オリーブオイル 大さじ1
- シーザーサラダの
- ミニドレッシング 1パック
作り方
①鶏肉の筋をとり、火が入りやすいように切れ目を入れる。ふた口大にカットしてから、軽く塩を振ってジッパー付き袋に入れる。ヨーグルト、カレー粉も入れて軽く揉み、漬け込む。ここまでは出発前に自宅で済ませておく。
②アルファ米にターメリックパウダーをひとつまみ入れ、お湯で戻す。
③野菜を大きめにカットし、オリーブオイルをひいたフライパンで焼く。塩コショウを軽く振り、火が通ったら取り出す。
④漬けておいた①の鶏肉を同じフライパンで焼く。皮目から中弱火でじっくりと。焼いている最中はあまり触りすぎないのがポイント。9割がた火が通ったら、野菜もフライパンに戻し、少し温める。
⑤戻した②のごはんを皿に盛り、チキンと野菜をのせる。ケチャップとシーザードレッシングをかけて完成。
山ごはんを美味しくするコツ❸
同じ食材も調理法で変化をつける。
山では使える食材の選択肢はある程度限られてくる。そんなときは、味付けはもちろん調理方法でも変化をつけることがおすすめ。ひとつの食材を使い回せるようになると料理が格段に上達する。日ごろから山向きな食材を選び、実験感覚でいろいろ試してみるといい。
山ごはんを美味しくするコツ❹
山では野菜は皮のまま使おう。
まず、皮付きの野菜は比較的日持ちしやすいことを覚えておこう。皮は剥かないほうが傷みにくい。皮の近くには旨味があるのでそのまま使ってしまおう。剥く手間が省け、ゴミも出ず、一石二鳥だ。葉物は傷みやすく食中毒が出やすいので、山ではできれば避けたい。
recipe 02 下ごしらえをしておけば、火を通すだけの簡単レシピ
桜海老のアヒージョ
材料(2 人分)
- オリーブ(黒、グリーン) 8 粒ずつ
- オリーブオイル 大さじ4
- ニンニク 1かけ
- 桜海老 ふたつまみ
- パセリ ひとつまみ(ドライでも可)
- バゲット お好みの量
作り方
①ジッパー付きの袋に、芽をとって縦にスライスしたニンニク、オリーブ、オリーブオイルを入れる。ここまでは自宅で済ませておく。
②フランスパンを食べやすい大きさにスライスする。フライパンで軽く焼き目をつける。オイルは必要ない。
③フライパンに①を入れ、中火で温める。ニンニクが色づいてきたら、桜海老を入れる。早く入れすぎると油を吸ってしまうので注意。塩気はオリーブだけでも十分。お好みで、サラミやコンビーフ、スルメなどで作るのもあり。
山ごはんを美味しくするコツ❺
日帰りや1泊なら肉や魚もあり。
山の食材=フリーズドライや乾物、と思い込んでいないだろうか。持ち運び方を工夫すれば、日帰りや縦走初日は魚や肉も十分選択肢になる。魚は干物なら、山でもそのまま焼いたり、煮物やスープに使うことができる。足が早いのは、魚(干物)、薄切り肉、塊肉の順。
山ごはんを美味しくするコツ❻
自宅でも山の調理道具を使い込もう。
家庭用の調理器具と違い、山用は道具ごとの違いが大きい。バーナーの火力や火の出方、フライパンや鍋の表面加工や厚み次第で、調理のしやすさが大きく変わる。道具のクセを把握することが料理の成功を左右するので、家でも積極的に使い込んで慣れておくべし。
recipe 03 朝ごはん向きだがデザートや行動食にもなる
ナッツぎっしりホットケーキ
材料(2 人分)
- ホットケーキミックス 150g
- 卵 1個
- ミックスナッツ 45g
- 水 100㎖
- 油 小さじ1
- ジャム お好みで
- ミント お好みで
①ビニール袋にホットケーキミックス、ミックスナッツ、卵、水を入れて混ぜる。
②油をひいたフライパンを温めて、①を流し込み、両面焼く。山用のフライパンは薄いものが多いので、食材を入れる前に温めすぎないほうが焦げつきづらい。焼きながらフライパンを少しずつ動かして、全体に火がまんべんなく当たるようにする。
③お好みでジャムやチョコをかけて完成。小さく何枚かに分けて焼いたり、チョコチップを混ぜ込んで焼いても美味しい。
山ごはんを美味しくするコツ❼
普段から買い物は山目線で。
山で使うことを意識した目線で近所のスーパーやコンビニの棚を眺めると、普段の買い物とは違う食材が見えてくる。おひとりさま用に作られた小分け調味料や乾物、スパイスコーナーは要チェック。発見した食材から、新たな山レシピを思いつくこともあるだろう。
槍ヶ岳遠征隊シェフ担当/倉本岩男さん
料理人歴20年。登山歴はピカピカの1年生。撮影前には自宅で密かに練習してくる真面目な男である。好きな食べ物はハンバーグ!
シェフの働いているお店/ALA(アラ)原宿
裏原宿・とんちゃん通り沿いの人気イタリアンバール。ひとりでも入りやすいので、お得なランチもどうぞ。名物は炭火で豪快に焼き上げる肉料理。
東京都渋谷区神宮前3-26-11 原宿SHビル2F
TEL.050-3628-8001
- CATEGORY :
- BRAND :
- PEAKS
- CREDIT :
-
文◉池田 圭 Text by Kei Ikeda
写真◉熊原美惠、杉村 航 Photo by Yoshie Kumahara, Wataru Sugimura
SHARE
PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。