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筆とまなざし#234「絵の具を一新し、北海道・大雪山を描く。」

新しい絵の具に挑戦。大雪山を描くとともに、新鮮な気持ちになりました。

 外へ出かけるのもままならない雨ばかりの毎日。描こうと思って撮っておいた写真資料をもとに、新しい絵を描くことにしました。先日、クライミング講習のために久しぶりに北海道を訪れました。最終日は観光したいとのリクエストで、富良野や美瑛町を周って帰路につきました。すばらしく爽やかに晴れた初夏の北海道は、まるで外国のような雰囲気でした。美瑛町の広い丘からは残雪を抱く大雪山が見渡せ、その南にはトムラウシから十勝岳までがずらりと並んでいました。大学一年生の夏休みに歩いて以来、じつに20年ぶりに眺める山々でした。

北海道の山を描いた画家といえば、坂本龍馬の子孫である坂本直行さんが有名です。北海道に生まれ、北大山岳部出身。開拓民として原野を切り開いて生活する傍ら、北海道の山々を描きました。六花亭の包装紙の花の絵でも知られています。直行さんはもちろん実際に山にも登っているのだけれど、絵は山々を遠望したものが多い。なぜだろう。以前から少しだけ気になっていました。実際に絵を描いてみてその謎が解けました。なるほど、たしかに裾野の広い北海道の山々は、その山麓までも入れた遠景で描くのがよく似合う。その裾野があるからこそ、北海道の山らしさが表現できるのだと気づいたのです。

これまで20年近くに渡ってラウニーというイギリスのメーカーの固形水彩を使ってきました。学生時代に奮発して買った高級水彩絵の具で、いつの間にか過ぎ去った年月に驚いてしまいますが、とにかく、絵で仕事をするようになってからずっとその水彩絵の具を使ってきたのです。もっと言えば、24色入りのラウニーをベースにホルベインやウィンザー&ニュートンなどのお気に入りの色のチューブ絵の具をところ狭しとパレットに出して使っていました。

 前回の記事では透明水彩と不透明水彩について書きましたが、新しい絵の具を使い始めたのをきっかけに、この大雪山の絵から思い切って絵の具を一新しました。アルミ製の大きなパレットを購入、固形ではなくチューブの水彩絵の具を使うことにしました。高校生のときに初めて買ったのはホルベインのチューブの透明水彩だったので、初心に立ち返った気持ちです。ネットで買った35仕切りあるパレットは異様に大きく、これはバックパックの中でかなりかさばるなぁと思いつつ、スペースを絵の具でいっぱいにしてもなお入りきらなかった色は混色スペースに出しました。そして、不透明水彩(ガッシュ)も何色か用意しました。

 どこに何色があるのか慣れていないので戸惑いながらも、大きなパレットにチューブの絵の具を溶いて使うのは太い筆でも使いやすい。ガッシュを加えることで、これまでとは違った表現ができるようになった気がします。ずっと使い続けてきた道具を変えるのは勇気が入りますし、まだようすを見ている段階です。でも、変化しなくてはおもしろくないもの事実です。たくさん描いて研究し、自分なりの新しい描き方を見つけていこう。新しい絵の具は、高校生のころ初めて透明水彩を買ったときに感じたような、とても新鮮な気持ちにさせてくれるのでした。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

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