アクセスは徒歩のみ! 全国の山中名湯ガイド〜北海道・東北・関東編〜
PEAKS 編集部
- 2021年09月14日
INDEX
山と入浴とをセットで楽しむのは “風呂好き” が暮らす日本ならでは。北は北海道、南は九州まで、歩いて目指す山中の入浴施設をPEAKS編集部が厳選してご紹介致します! まずは北海道・東北・関東の8ヶ所からどうぞ。
文◉福瀧智子 Text by Tomoko Fukutaki
写真◉杉村 航、岡野朋之、田渕睦深、清水紘子、宇佐美博之、中田真二、大塚伸
Photo by Wataru Sugimura, Tomoyuki Okano, Mutsumi Tabuchi, Hiroko Shimizu, Hiroyuki Usami, Shinji Nakata, Shin Otsuka
出典◉PEAKS 2020年10月号 No.131
編集部厳選。これぞ日本登山の醍醐味!
日々、入浴が生活に欠かせない日本人にとって、山から下りたあとの立ち寄り湯を楽しみにしている登山者はじつに多い。そればかりか、目的の山行エリア内にお風呂を備えた施設があるなら、ちょっとルートを変更してでも山中で湯船に身を沈める至福のひと時を味わおうという人も少なくない。今回はそういった “風呂好き”のために、歩いてしか行けないとっておきの入浴施設をご紹介!
なお今シーズンは新型コロナウイルス感染防止のため、入浴施設のある山小屋は日帰り入浴を一時的に休止していたり、小屋そのものを完全予約制にしたり、マスクや消毒液などの持参を義務づける……など、さまざまなガイドラインを設けている。
※本企画の情報は一部、本誌掲載時2020年9月5日前後のものです。利用を検討している人は事前に必ず施設に連絡をし、最新情報をチェックしてください。
【北海道/大雪山旭岳】中岳温泉
旭岳中腹のワイルドな山岳温泉
大雪山旭岳の中腹部、標高1,850m付近にある本格的な山岳温泉。雨が降れば湯だまりが埋まってしまうため、その都度登山者が入浴する際に手直ししている。湯温は熱めで、各自が沢水で調整。足湯としても愛され、天気がよければ大雪山の景観を楽しみながら入浴できる。
DATA
アクセス
大雪山旭岳ロープウェイの姿見駅(標高1,600m)より裾合平分岐を経由して、徒歩約2時間。
歩行時間
徒歩2時間30分
料金
無料
注意点
夏場でも残雪が多く霧が発生しやすい。地図、コンパス、軽アイゼンなどの装備が必要。
泉質
硫黄泉
問い合わせ先
ひがしかわ観光協会 TEL.0166-82-3761
【秋田県/乳頭山】一本松温泉たっこの湯
温泉宿跡地を有志が管理
「一本松温泉たっこの湯」は乳頭山への登山道にある野湯で、岩を組んだ露天風呂の底から乳青色の源泉が湧き出ている。山と温泉好きにはたまらないワイルドで贅沢な温泉としてマニアに親しまれている。その麓にあるのがかやぶき屋根に紅葉・雪見風呂でおなじみ、名湯・乳頭温泉郷だ。
DATA
アクセス
乳頭温泉郷の黒湯温泉から乳頭山に登る乳頭山登山口の途中にある。歩行時間は約30分。
歩行時間
約30分
料金
無料
注意点
かつてあった温泉宿が廃業した跡地に有志が湯船を造成。クマが生息するエリアなので注意が必要。
泉質
硫黄泉
問い合わせ
仙北市役所観光課 TEL.0187-43-3352
【福島県/安達太良山】くろがね小屋
温泉とダルマストーブがお出迎え
福島県を代表する名山・安達太良山の中腹部にある「くろがね小屋」。真っ白な酸性泉がこんこんと湧き出る岳温泉の源泉近くに佇み、青森ヒバの浴槽に贅沢にかけ流す人気の山小屋だ。お湯は少しぬめりを感じるめずらしい泉質で、殺菌効果が高いことから慢性皮膚炎によく効くほか、神経痛、関節痛、疲労回復に効果があるそう。代々小屋主に受け継がれた秘伝レシピの名物のカレーはおかわり自由! 冷え込む秋以降は懐かしいダルマストーブが登山者を暖かく迎えてくれる。
アクセス
JR二本松駅からバスを利用し奥岳バス停下車。あだたら溪谷自然歩道を経由して約2時間。
歩行時間
約2時間
料金
おとな1泊2食付き¥6,600、日帰り入浴¥500
注意点
今季は日帰り入浴は10~13時。入浴は2名限定の入れ替え制。
泉質
酸性泉
問い合わせ
くろがね小屋 TEL.090-8780-0302
【福島県/尾瀬】温泉小屋
尾瀬唯一の温泉地で “いい湯だな”
尾瀬ヶ原北端に位置する山小屋「温泉小屋」。尾瀬で唯一温泉が湧く赤田代エリアにあり、敷地内から湧出する23℃の硫酸塩冷鉱泉の源泉を循環なしでたっぷり湯船に加熱給湯。お湯は「赤田代温泉」の名前のとおり鉄分が多く含まれた赤茶色で、切り傷や冷え性などに効果がある。湯上がりには外のベンチで身体を休めながら、尾瀬ヶ原や至仏山の夕景を眺めてみては。
アクセス
JR沼田駅から関越交通バスで戸倉へ。鳩待峠行きバスに乗り換え鳩待峠下車。山ノ鼻、尾瀬ヶ原を経て約4時間。
歩行時間
約4時間
料金
おとな1泊2食付き¥10,450~(2名個室)
注意点
2021年の営業は10月16日まで。日帰り入浴は休止中。
泉質
硫酸塩泉
問い合わせ
温泉小屋 TEL.080-6601-3394
【栃木県/茶臼岳】三斗小屋温泉
日本百名山のひとつ、いまもなお噴煙を上げる茶臼岳(那須岳)の北西に湧く温泉が「三斗小屋温泉」だ。1142年に発見された那須七湯のひとつで、明治元年ごろの最盛期には全5軒の温泉宿が営業していたが、現在は大黒屋と煙草屋の2軒のみ。
アクセス
JR那須塩原駅より路線バスにて約75分、「那須ロープウェイ」下車。ロープウェイ山頂駅から徒歩約1時間40分。
大黒屋旅館
風情ある古きよき時代を感じて
三斗小屋温泉の歴史とともに歩んできたランプと自家発電の温泉宿。いまから約130年前に再建された本館はその後も木造にこだわって改築され、まるで古きよき時代にタイムスリップしたような趣きがある。浴室は古くからの温泉らしい風情とくつろぎを味わえる。
歩行時間
約1時間40分
料金
おとな1泊2食付き¥10,000
注意点
宿泊者の入浴は人数制限を実施している。2021年の営業は12月2日まで。
泉質
単純泉
問い合わせ
大黒屋旅館 TEL.0287-74-2309
煙草屋旅館
お待ちかねの露天風呂でさぁ乾杯
屋号に「旅館」とあるが、歩いてしか行けない完全予約制の「山小屋」。湯治客ご用達の雰囲気ある内風呂ふたつ、夕焼けや満天の星空を望む露天風呂ひとつに、それぞれ違う源泉が引かれたまさに温泉パラダイス。ちなみに「たばこ」も売ってないそうです!
歩行時間
約1時間40分
料金
おとな1泊2食付き¥10,000、テント泊1人¥2,000、日帰り入浴¥1,000
注意点
今年は日帰り入浴は11~15時30分まで(季節により変動)、営業は11月下旬まで。宿泊は完全予約制。
泉質
単純泉
問い合わせ
煙草屋旅館 TEL.090-8589-2048
【栃木県/鬼怒沼】日光澤温泉
日光縦走で立ち寄りたい名湯
日光国立公園内の奥鬼怒温泉郷にある4つの施設のひとつのうち、もっともひなびて情緒あふれるのが「日光澤温泉」だ。乳白色や無色透明な泉質の異なるお湯が露天風呂と内風呂それぞれに引かれ、宿泊者は24時間利用が可能。ハイキングとして遊歩道の先にある天空の湿原・鬼怒沼が気軽だが、「金精峠から根名草山を踏み、いったんうちに下りて、鬼怒沼経由で大清水や尾瀬に抜けるなど縦走がおすすめです」とご主人。登山好きが通う山小屋として親しまれている。
DATA
アクセス
東武鬼怒川温泉駅から日光市営バスに乗り女夫渕バス停で下車。奥鬼怒遊歩道で約1時間30分。
歩行時間
約1時間30分
料金
おとな1泊2食付き¥8,800~+入湯税¥150(土曜・連休)、日帰り入浴¥500
注意点
日帰り入浴の時間は9~15時まで。通年営業。
泉質
ナトリウム塩化炭酸水素塩泉など
問い合わせ
日光澤温泉 TEL.0288-96-0316
【東京都/雲取山】三条の湯
古くから親しまれてきた鉱泉
日本百名山のひとつ、東京都最高峰の雲取山の中腹部に、美肌の湯として有名な「三条の湯」がある。今年で創業70年を迎えるこの宿に引かれた鉱泉は、古くは切り傷や胃腸病、神経痛などに効果がある水として長年にわたって地元民に親しまれてきたもの。現在も弱い硫黄の匂いやツルツルとした泉質が雲取山や飛竜山へ向かう登山者に好評で、下山途中に立ち寄る人も少なくない。沢のせせらぎに耳を傾けながらの入浴は格別だ。
アクセス
JR奥多摩駅から西東京バス丹波行きに乗り「お祭」」下車。徒歩約3時間30分。
歩行時間
約3時間30分
料金
おとな1泊2食付き¥8,300、日帰り入浴¥600
注意点
温泉の利用は12時ごろから20時30分まで、1度の入浴は3~4名。通年営業、完全予約制。
泉質
単純硫黄冷鉱泉
問い合わせ
丹波山観光 TEL.0428-88-0616
今期営業休止の小屋あり! 事前にかならず情報の確認を
この夏、コロナ禍で営業を自粛している山中の温泉施設を目指して登山者が入山し、閉鎖中の登山道で遭難するといったトラブルが発生している。9月末で営業を終えるなど例年より運営期間が短かかったり、宿泊できる人数を半数以下に抑えて完全予約制としている施設も多い。かならず電話やサイトで状況を確認し、プランを立てるように。
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文◉福瀧智子 Text by Tomoko Fukutaki
写真◉杉村 航、岡野朋之、田渕睦深、清水紘子、宇佐美博之、中田真二、大塚伸
Photo by Wataru Sugimura,Tomoyuki Okano,Mutsumi Tabuchi,Hiroko Shimizu,Hiroyuki Usami,Shinji Nakata,Shin Otsuka
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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