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ひとりで静かに歩きたい秋山ルート6選

複数人もいいけれど、秋になるとひとりで山に入りたくなるのはなぜでしょう。秋深まるこの季節、ひとりで静かにすごせる山を北から南まで、ソロ好き3人からのご紹介。紅葉時期は9月下旬~11月上旬までのエリアをピックアップ。

文・写真◉森山伸也、村石太郎、宇佐美博之
出典◉PEAKS 2018年10月号 No.107

【中央アルプス】木曽駒から宝剣岳へ。アンチ・ロープウェイ山行。

  • 1泊2日
  • 歩行時間:15時間40分
  • 総距離:約23.5㎞
宝剣岳から南へ延びる中央アルプス主稜線を望む。2泊すれば空木岳、南駒ヶ岳も踏める。

中央アルプスの主峰、木曽駒ヶ岳と宝剣岳に登る1泊2日の縦走だ。駒ヶ岳ロープウェイで一気に千畳敷まで登るのが一般的だが、秋の紅葉時期は混んでいる。だから人混みを避け麓から登る。小黒川から稜線までの尾根は美しい針葉樹に覆われ、思わず深呼吸。展望があれば木曽駒の頂を踏み、山頂直下にある駒ヶ岳頂上山荘へ投宿。天気が安定していればテント泊がおすすめだ。伊那の夜景と星空で1日を締め、南アルプスから昇る朝日で1日がはじまる。

木曽駒ヶ岳山頂から眼下に頂上木曽小屋、遠方に御嶽山を眺める。振り返れば、南アルプスの山並みが広がり360 度の大展望。

2日目、ロープウェイで観光客がやってこないうちに動き出し宝剣岳へ。ここはクサリが連続する切れ落ちた岩場なので登山者しかいない。アルパインな雰囲気を感じられる静かな岩稜歩きが楽しめるだろう。宝剣岳を越えて、檜尾岳までは展望がきくアップダウンの少ないリラックスした稜線歩き。2泊、3泊と時間が許せば、百名山の空木岳や南駒ヶ岳へ足を延ばす大縦走こそおすすめしたい。
(リコメンダー:森山伸也)

駒ヶ岳頂上山荘のテント場。南アルプスの稜線から朝日が出てきて伊那の街を照らす。写真はいずれも9月下旬に撮影したもの。

ACCESS

歩き出しは小黒川渓谷キャンプ場のゲートからスタート。ここまではJR伊那市駅からタクシーで約15分。下山は桧尾橋バス停からJR駒ヶ根駅まで、駒ヶ岳ロープウェイからの戻りのバスに乗る。

ADVICE

2日目は8時間を超える長丁場で稜線歩きがメイン。とくに宝剣岳へのアタックは天候の悪化に注意して慎重に。エスケープは千畳敷へ下ってロープウェイへ。小屋泊まりでもツエルトがあると心強い。

【谷川岳】雨を分かつ日本の屋根、中央分水嶺をゆく。

  • 1泊2日
  • 歩行時間:11時間40分
  • 総距離:約18.7㎞
群馬側のマチガ沢を見下ろす。長い歳月をかけ雪と雨が削り取った豪雪の山々はダイナミック。

関東からほど近く、 標高1,320mまでロープウェイで登れて、 標高も2,000m弱って楽勝じゃん谷川連峰! と侮ってはいけない。日本海からの湿った空気が山脈にぶち当たり天気の急変が激しい山域として知られる。とくにこれからの季節は防寒具必携で挑もう。

茂倉岳から避難小屋へ降りる尾根。朝露が降りた朝や雨が降った直後は、レインパンツがほしい。

谷川連峰の玄関口である土合駅から西黒尾根を登り谷川岳へ。その南の天神尾根に谷川岳ロープウェイが架かかっているのでこれを利用してもよい。稜線にでると視界がひらけ、上越国境の山々、日本海に浮かぶ佐渡島まで見渡せる。稜線上は雨で濡れると滑りやすい岩場があったりするが、とくに危険なところはない。

谷川岳から続く主稜線。終始、展望がひらけ佐渡島や富士山が見えることも。右手に降った雨は日本海へ、左手は太平洋へ。クマザサが覆う稜線がカラフルに染まる。撮影時期は11月上旬。

宿泊は3人ほどしか横になれないかまぼこ型の一ノ倉岳避難小屋よりも、綺麗で広く水がとれる茂倉岳避難小屋へ。

翌日はさらに北上し、武能岳を越え、蓬峠へ降りる。次第に稜線は草原が広がるなだらかな地形となり、牧歌的なのんびりした山歩きで旅は終わりを迎える。
(リコメンダー:森山伸也)

ACCESS

JR土合駅から国道291号を30分ほど歩き左手の西黒尾根へ取り付く。下山道の蓬新道の林道終点からJR土樽駅までは歩いて約1時間。行きも帰りも上越線の最寄駅へアクセスが容易である。

ADVICE

晴れた日は稜線から日本海が見えるほど、海が近い。湿った空気の影響を受けやすい山域なので天候の急変に注意しながら歩こう。谷川の主稜線は原則テント泊が禁止。避難小屋で泊まることになる。

【屋久島】月に35日間雨が降る桃源郷へ。

  • 1泊2日
  • 歩行時間:15時間45分
  • 総距離:約26.7㎞
土砂が雨に流され巨岩があらわになった黒味岳。これから歩く宮之浦岳への縦走路が一望でき、登頂意欲を掻き立てられる展望スポットだ。

屋久島には四季を変えあちこち縦走してきたが、初めて歩いたときのこのルートがもっとも印象に残っている。屋久杉や白谷雲水峡などの有名どころを歩かなかったのがよかったのか。

永田岳の中腹からふりかえり宮之浦岳を望む。鋭い山容といい、人里から離れた秘境感といい、さすが九州最高峰の百名山。

1日目は、淀川から入山し、黒味岳を踏み、九州最高峰の宮之浦岳と永田岳に登頂する。歩行時間は約7時間半の長丁場。ゆっくり歩きたい人、体力に自信がない人は花之江河から40分ほどの石塚小屋に1泊してもいいだろう。最大20名ほどが泊まれる避難小屋となっている。

日本百名山である宮之浦岳へ続く稜線は、展望よく、笹から白い花崗岩が飛び出る屋久島ならではの稜線歩き。1日を締めくくる永田岳への登りは少々ツライ。でもそこをクリアすれば東シナ海へと沈む夕日が待っている!

南国とはいえ屋久島の奥山は昼夜の寒暖差が激しい。ゆえに紅葉も鮮やか。写真はいずれも10月下旬に撮影。

2日目は永田歩道で永田の集落へ。これが長いのなんの! 島のトップ2を踏んで海抜ゼロへと下る屋久島の素顔を垣間見られる縦走路である。
(リコメンダー:森山伸也)

ACCESS

淀川登山口の手前、紀元杉バス停までバスがでている。宮之浦からは1,750円、安房からは940円。永田集落からは宮之浦までバスが運行する。本数が少ないのであらかじめ時刻表を調べておこう。

ADVICE

2日目は花山歩道を下るルートもおすすめ。ハリギリや杉の大木が登山道を飾り見事なトレイルだ。屋久島では山小屋前のスペースでテントを張れる。混む時期はテントのほうがゆっくりすごせるかも。

【白峰三山】南アルプス北部、国内第2位と第3位の高峰を行く

  • 2泊3日
  • 歩行時間:約19時間
  • 総距離:約20.8㎞
国内第2位と第3位を縦走するエリアではあるけれど、10月下旬まで山登りが楽しめるのがこのエリアのいいところ。

南アルプス北部にて、国内第2位の標高を有する北岳、国内第3位の間ノ岳を2泊3日で縦走するルート。しかも、このふたつの山の稜線から、国内最高峰の富士山を眺めるという贅沢さ。初日は、芦安などからバスを乗り継いで 奈良田の第一発電所まで向かうが、この 道中に見ることができる深く、深く刻み 込まれた渓谷もなかなか興味深い景色だ。

晴天率が高い秋には、このように富士山を見ることができる確率も高い。

第一発電所のバス停から大門沢小屋のキ ャンプ指定地までは行程が短く、高低差 もそれほどない。そのため、秋山歩きをゆっくりと楽しめるだろう。2日目は、ハイマツ帯を抜けて稜線に出ると富士山を眺めることができるようになる。この一帯は、起伏に富んだ地形をなしていて、どこか別の惑星を歩いているような気分になる。

3日目は早起きをして、北岳山頂からの御来光を拝みたい。写真の右下に見える北岳山荘のキャンプ指定地から北岳山頂までは、1時間半ほどの行程だ。撮影/2015年10月下旬。

200名山に数えられる農鳥岳をすぎてまもなくすると、間ノ岳へとたどりつく。山頂付近はとても広くてはっきりしない山容だけれど、なぜだか僕のお気に入りの山なのだ。(村石太郎)

ACCESS

マイカーの場合は芦安や夜叉神峠から、またはJR中央本線の甲府駅から路線バスで広河原へ向かい、広河原でバスを乗り換えて奈良田第一発電所の登山口へ。帰路は、広河原からバスを利用する。

ADVICE

2日目が若干長めの行程だが、途中には山小屋も整備されているので余裕を持って行動できるだろう。標高が低いエリアでは10月下旬まで紅葉が楽しめるが、稜線では積雪もあり得るので注意したい。

【鳳凰三山】紅葉の森に浮かぶ白砂庭園と奇岩に出合う

  • 1泊2日
  • 歩行時間:15時間30分
  • 総距離:約16.2km
最高峰の観音岳より望む薬師岳への稜線。秋になると御来光の昇る位置が富士山に寄るため、夏場より美しい光景が広がる。

アルプスのなかでもかなり個性的な稜線紅葉風景が味わえる鳳凰三山。白砂の稜線を染めるダケカンバなどの紅葉の見ごろは10月頭の一瞬ではあるものの、鳳凰一の紅葉谷と言い切れる鳳凰小屋周辺は10月いっぱい、金色に輝くカラマツの黄葉までの流れが本当に美しい。

薬師岳の紅葉は富士山と白峰三山の展望が最高のアクセントだ。

夏は青木鉱泉から沢沿いの道がおすすめなのだが、秋こそ広葉樹に覆われる御座石コースがいい。燕頭山までの急登も小さな秋が点在し、次第にヒンヤリとする空気が嬉しい。燕頭山から小屋にかけての紅葉は意外に知られていない穴場である。西に動く太陽がダケカンバの森を一層浮かび上がらせる光景、ときどきその先に地蔵岳や甲斐駒ヶ岳の展望が開けるのもいい。

賽ノ河原より見上げる地蔵岳オベリスク。地蔵岳周辺はカラマツの黄葉が10月中旬すぎまで楽しめる。

小屋では焚火の匂いと、いつもより早く山に沈む陽の温かさが沁み入る。テント場を見下ろす裏山のカラマツの黄葉が一日の終わりを告げる瞬間を眺めながら、南アルプスの天然水で作る水割りを味わうのも幸せだ。
(リコメンダー:宇佐美博之)

ACCESS

電車の場合はJR韮崎駅より山梨中央交通のバスで約40分。季節運行のため、要確認。車は中央道韮崎ICより小武川林道経由で約40分。下山の青木鉱泉から御座石鉱泉まではバスか山道を歩く。

ADVICE

紅葉の時期は尾根道の御座石コースがおすすめ。鳳凰小屋に荷物をデポしての稜線散策がいい。下山に不安がある場合は急坂のドンドコ沢をパスして御座石コースのピストンが望ましいだろう。

【朝日連峰】急峻な渓谷と重厚なブナの森に出合う東北の秋

  • 2泊3日
  • 歩行時間:13時間40分
  • 総距離:約22.9km
次第に視界が開けてくる小朝日岳付近から望む紅葉。白骨化するブナの幹が白く浮かび上がる。小屋手前の水場である銀玉水の美味さは格別。

真っ盛りな紅葉を求め、あっという間にすぎ去る見ごろと追いかけっこ……。なんだか心がざわついたまま脳裏に押し込まれていく紅葉風景の数々はほとんど覚えていないほどに刹那的。そんな紅葉風景のなかで、唯一僕の記憶に鮮明に残るのが朝日連峰の森である。

御影森山から上倉山にかけての紅葉トンネルは圧巻。途中、登山道から少し下るとクロベの巨木が佇む森があり、針葉樹を取り囲む紅葉とのコントラストが美しい。

それまでは針葉樹と広葉樹が層を成す山しか知らなかった僕には広葉樹ばかりに覆われた朝日の紅葉は衝撃的であった。鳥原山や御影森山周辺の燃え盛る紅葉トンネルの美しさもさることながら、道中でいちばん印象的だったのが紅葉の背後にちらつく白骨化したブナの樹々。大朝日岳へ近くなるにつれその白いブナの樹々が鮮やかな色に浮かび上る光景が眼下に広がる。

真っ赤な朝を迎える鳥原小屋。小屋前に広がる小湿原の草紅葉もいい。

小屋手前の銀玉水で喉を潤して、ゆっくりと冬を待つ森の声に耳を傾けるのがたまらなくいい。10月中旬すぎの朝日連峰は人の気配も疎らになる。ハイシーズンには感じることのないさまざまな山の音に想いを馳せて歩いてみては。
(リコメンダー:宇佐美博之)

ACCESS

朝日鉱泉までは車でのアクセスが現実的だ。東北中央道米沢北ICから国道を北上し約一時間半。レンタカーなら山形新幹線の赤湯駅が便利だ。要確認だが、季節運行のバスがJR左沢駅より運行。

ADVICE

紅葉の見ごろは9月末~10月末。とくに10月中旬前後に最盛期を迎えるブナの森歩きがおすすめだ。朝日連峰は基本避難小屋泊まりなので食事と寝具は担ぎ上げよう。道中、豊富に水場がある。

リコメンドしてくれた3人はこちら

山で暮らすように長く歩きたい!/アウトドアライター・森山伸也

越後の豪雪地に住むフリーライター。春は山菜、夏はイワナ、秋はキノコ、冬はテレマークスキーと一年を通して山にいる。著書に『北緯66.6°ラップランド歩き旅』(本の雑誌社)がある。

遠景にこだわった紅葉登山をどうぞ!!/アウトドアライター・村石太郎

登山用具について日本随一の知識を有するアウトドアライターで、北アラスカの原野を旅する冒険旅行家。本誌の人気連載「野外道具探訪記」をはじめ、アウトドア登山各誌を賑わせている。

森こそ秋山の山頂だ! 的な山旅はいかが?/山岳フォトグラファー・宇佐美博之

今年はアルプスでも猛暑、いまだトレードマークの派手短パンが手放せないでいる山岳カメラマン。大好きな山は獣道と南ア。久しぶりに浮輪で浮かんだ南アの池は縮み上がる冷たさでした。

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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