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ポーラテック アルファダイレクトがウエアリングの常識を変える

アクティブインシュレーションというカテゴリーを作った立役者のひとつ、ポーラテック・アルファ。その機能をさらに突き詰め、進化形として登場したのが、ポーラテック・アルファダイレクトだ。もはやウエアのカテゴリー分けすら無意味にするその画期的な構造と性能に迫る。

文◉森山憲一 Text by Kenichi Moriyama
写真◉熊原美惠 Photo by Yoshie Kumahara
企画協力◉エスシーティージャパン
TEL.03-5413-8597
www.challenge-21c.co.jp
製品に関する問い合わせ◉マムート スポーツ グループ ジャパン
TEL.0120-307-560
www.mammut.jp
出典◉PEAKS 2021年11月号 No.144

「行動中に脱ぎ着はしたくない。それを実現してくれるウエアです」

マムートスポーツグループジャパン企画開発本部の冨室清悦さん。着ているのは自身で開発したプロトタイプ。

「これはアクティブインシュレーションというのだろうか? それともフリース……?」

ポーラテック・アルファダイレクトを初めて見たときの感想である。

アクティブインシュレーションというのは、あくまでインシュレーション。内側に中綿が入ったウエアのことである。しかし目の前のそれは、外側こそシェル素材に覆われているが、肌面となる内側には、起毛したフリースのような生地が露出している。これは中綿ウエアといっていいのだろうか? そう感じたわけだ。

中綿が入ったウエアは保温着としてはよいが、行動時に着ると体が暑くなりすぎて着ていられないし、もこもこして動きやすさにも欠ける。それが常識だったところ、通気性とストレッチ性をもたせて行動時にも着られる中綿入りウエアとして登場したのが、アクティブインシュレーション。これは近年のアウトドアウエア界では革命的な発明のひとつで、その草分けのひとつがポーラテック・アルファである。

インシュレーションなのに通気性とストレッチ性があり、行動着としても具合がよい。瞬く間にミドルレイヤーの中心的存在になったアルファだが、これはまだ見た目もインシュレーションといえるものだった。中綿は表地と裏地に挟まれて封入されており、外側からは見えなかったのである。

しかしアルファを使っていた人からは「もっと通気性を高められないか」「もっと着心地を軽くできないか」という声が上がり始め、「ならば、裏地を取ってしまうか」という発想で生まれたのがアルファダイレクトである。

つまり、アルファダイレクトは見た目こそインシュレーションなのかフリースなのか判然としないが、その系譜としてはアクティブインシュレーションの進化形というわけだ。

そしていま、目の前には鮮やかなオレンジに輝くアルファダイレクトがある。マムートのフラッグシップであり、ブランドアイコンでもあるアイガーエクストリームシリーズの「アイガーヨッホ IN ハイブリッドジャケット」。エキスパート御用達シリーズであり、世界のトップアスリートが実際に使用している。そんなシリーズの最新作にアルファダイレクトが採用されているのである。

袖をとおしてみると、体にビタリとフィットするすさまじいほどのフィット感。なのに着心地は軽く、とても動きやすい。たしかに、フリースとも本家アルファとも異なる着心地だ。

「これは本当にエキスパートのために作られたシリーズですから。そういうトップアスリートは山で激しく動きます。そのときに暑くなったり寒くなったりしてウエアを脱ぎ着したくないですよね。適度に体を保温してくれるけれどもオーバーヒートはしない。そういう絶妙な温度調整機能が重要になってくるんですが、アルファダイレクトはまさにそこがちょうどいい素材なんですよ」

マムートスポーツグループジャパンの冨室清悦さんはそう言う。冨室さんは、自ら商品企画も手がける、企画開発本部の本部長だ。アウトドアウエアを構成するあらゆる部材や素材について精通する人でもある。

どんな環境下でも終日着たまま動き続けられるウエア。エキスパートが求めるそんなニーズに、もっとも応えられる素材がアルファダイレクトだったというのだ。

「ヨーロッパと日本では気候が違うので一概に比べられませんが、このジャケットは冬用というわけではなくて、オールシーズンアイテムとして開発されているんです。日本ではさすがに暑いですが、マムートの本拠となるヨーロッパアルプスでは、夏に着たって具合がいい。それくらい幅広い環境に対応できるウエアなんですよ」

冨室さんはそう説明してくれる。そのカギとなっているのが、アルファダイレクトならではの通気性の高さだという。裏地をなくし、中綿そのものもオリジナルのアルファとはややチューニングを変え、もともとアルファが備えていた通気性をさらに高めてあるアルファダイレクト。この通気性の高さがあるからこそ、温度の変化に対応しやすく、体をつねに適温に保ってくれるのだという。

背中のテクノウール表面には、エクストリームシリーズのロゴがエンボス加工されている。

「人によってはヌケがよすぎると感じることもあるみたいです。とくに山岳ガイドさん。山岳ガイドはお客さんのペースに合わせてゆっくり動かざるを得ないので、体が温まりにくいですよね。むしろガイドさんは息が上がってはダメなわけで。そういう用途には通常のアルファのほうがおそらくよくて、このアルファダイレクトはやはりアクティブに行動する人向けの素材だと思うんです」

アイガーヨッホ IN ハイブリッドジャケットは、アルファダイレクトと異素材とのハイブリッド構造。背中と脇の部分にテクノウールというウール素材を使っている。これはニット素材なので、アルファダイレクトよりさらに通気性もストレッチ性も高い。一方で、袖や前身頃を中心とした、風や雨を受けやすい部分にはアルファダイレクトを配置。腰回りなど、ハーネスやバックパックのウエストベルトで擦れやすい箇所にも、耐久性の高いアルファダイレクトを配置している。

適材を適所に使うことで、全体の軽量化とさらなる動きやすさ、そして収納時のコンパクト性なども実現している。こうした設計の自由度の高さもポーラテックのよいところであるようだ。素材メーカーのなかには、製造レギュレーションを厳しく定めているところもあるが、ポーラテックにはそれはあまりなく、ウエアメーカーの自由な発想が生かされやすいのだと冨室さんはいう。

一方で、性能が高いだけにポーラテックは素材価格も高い。アイガーヨッホ IN ハイブリッドジャケットも、税込みで4万2900円だ。外観的に派手なギミックがあるわけでもないシンプルなジャケットがこの価格というのは、店頭で価格タグを見たときに一瞬固まってしまう事実でもある。しかも、仕様的にもカラーリング的にも、日常などでの汎用性はまったく考えられていないウエアである。これはわかっている人でないとなかなか買うことはできない。

右胸ポケットには、内側にさらにメッシュポケットが設けられており、小物を入れられる。

「そうなんですよ、これを購入してくださる方は、『わかってる人』という印象があります。素材の機能性も、使うべきシチュエーションも、理解したうえで買っていただいているみたいなんですね。その証に、売れる色はブルーとかオレンジとか鮮やかなカラーなんです。普通はブラックとか、日常でも着られる落ち着いた色が売れ筋になるものなんですが、このアイガーエクストリームシリーズに関しては違うんです。あくまで山で使ったときにどれだけ使えるか、そういう視点で選ばれているように感じています」

マムート・マーケティング部の宇津木正太さんがそう教えてくれた。なるほど、それは納得できる話かもしれない。それくらい突き詰めて物選びをする人ならば、素材の機能や特性も言わずとも理解しているだろうから。

ジッパータブにもエクストリームシリーズを示すX字が。ディテールまで凝っている。

ところでこのジャケットは、どのようなシチュエーションで使われることが多いのだろうか?

「やはりアルパインクライマーがいちばんのメインターゲットとなりますね。そのために作られているようなウエアですから。そこまでいかなくても、雪山登山でのインナーや、残雪期登山のアウターとしても、とても調子がいいと聞いています。それから、バックカントリースキーヤー。バックカントリーではハイクアップのときにかなり汗をかくことになりますよね。一方で、止まっている時間も長い。そういうストップ&ゴーを繰り返すような現場ではかなり具合がいいようで、バックカントリーで愛用してくださっている方も多くいらっしゃいます。製品特性からしてもそれは納得できる話です」(冨室さん)

実際に山で試してみた使用感は下記インプレッションを読んでほしいのだが、冨室さんの言うことはまさに、と感じる。山でアクティブに動く人であるほど、このウエアの真価を感じ取れるはずだ。高価なウエアではあるが、ズタズタボロボロに着倒してほしい。それがこのウエアの正しい姿であろうから。

アルミラ
アズリット
ナイト

マムート/アイガーヨッホ IN ハイブリッドジャケット
¥42,900
素材:ポーラテック・アルファダイレクト+ポンテトルト・テクノウール
サイズ:S~XXL
重量:324g(L)
マムートのフラッグシップシリーズ「アイガーエクストリーム」モデル。ポーラテック・アルファダイレクトをメイン素材にして背中と脇にはポンテトルト社のテクノウールを採用している。

【インプレッション】
動きやすさに特化した正真正銘エキスパート仕様。

「研ぎ澄まされたF1カーのようなウエアだ」というのが、1日着てみた感想である。

まずは、体にぴったりしたタイトフィット。近ごろのアウトドアウエアはタイト目のフィットが多いが、これはタイトのレベルがさらに上で、拘束感すらあるほど。デイリーユースに使って具合のよいウエアではまったくない。ところが、これを着て動くとなると、体と一体化したようなこのフィット感が生きてくる。上体をひねったり腕を大きく上げても突っ張りやダブつきは感じず、動きにすべて追従してくれるかのようである。

ハーネスに干渉するハンドウォーマーポケットはなし。アクセスのしやすい胸ポケットは逆に大きめ。これらのディテールもすべて、エキスパートが好む仕様だ。着用したのは残雪期の北アルプスだったのだが、この時期ならアウターシェルはほぼ不要。保温性も防風性もまったく不足はなく、そのくせ着心地はとても軽い。初冬から残雪期まで、これ一着でほとんどのシチュエーションをカバーできるように思う。

斜面を駆け下りるような激しい動きのときもしっかり体に追従。驚くほど動きやすいアクティブインシュレーションだ。
残雪期なら休憩時も上に羽織る必要は感じない。しばらくこのままで止まっていても、体が冷えてくるようなことはなかった。

出典

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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