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山野井泰史さんがピオレドール生涯業績賞をアジア人初受賞

「登山のアカデミー賞」などとも呼ばれ、1年に一度、その年に行なわれた優れたクライミングパフォーマンスを表彰する「ピオレドール」。そこでは本賞のほかに「生涯業績賞(Lifetime Achievement Award)」も設けられており、2021年は日本の山野井泰史さんが選ばれることが決まった。

文◉森山憲一 Text by Kenichi Moriyama
写真◉山野井泰史、森山憲一 Photo by Yasushi Yamanoi, Kenichi Moriyama
出典◉PEAKS 2021年12月 No.145

登山史を飾る歴代のレジェンドが名を連ねる生涯業績賞

生涯業績賞とは、長年の登山実績を讃える賞で、これまでに12人が選ばれている。第一回受賞者のワルテル・ボナッティをはじめとして、歴代受賞者にはラインホルト・メスナーやクリス・ボニントン、ジェフ・ロウなど、正真正銘のレジェンドの名前が並ぶ。ピオレドールの本賞はこれまで何人もの日本人が受賞しているが、山野井さんはアジア人として初めて、生涯業績賞受賞者に名を連ねることになる。

ピオレドールのウェブサイトによれば、山野井さんに決定した理由は、これまでに膨大な登山実績があるだけでなく、重要なものの多くがソロで行なわれていることにとりわけ注目したということだ。

当時はクライマーの姿がほとんどなかったパタゴニア・フィッツロイを冬季単独初登(1990年/写真は前年のもの)。
ヒマラヤのチョ・オユー(8,201m)南西壁を単独初登。この登攀で世界的にも名が知られるようになった(1994年)。

現在56歳になる山野井さんは、中学生時代に登山を始め、ヨーロッパアルプスやアメリカ・ヨセミテ渓谷、カナダ・バフィン島、南米パタゴニア、そしてヒマラヤなどで数々のソロクライミングを実践してきた。8,000m峰などの高峰よりも、辺境の山や未踏の岩壁を好み、単独で高難度のクライミングを志向してきたことが特徴だ。

パキスタンにある岩峰ブブリモティン(5,985m)南壁初登。山頂で記念撮影(1995年)。
ヒマラヤのギャチュンカン(7,952m)北壁に向かう。このときに凍傷で手足計10本の指を失う(2002年)。

「最初に連絡をもらったときは僕でいいの!? と、不安を感じたくらい。なにしろ、これまでの受賞者は、本で読んだことしかないような遠い存在の人ばかり。恐れ多いという気持ちもありましたが、自分の登山人生を振り返ってみると、まあまあいい線いけたのかなという思いもあります。考えてみれば、ソロでこれだけ登っている人はあまりいないですからね。なので、素直に賞をいただくことにしました」(山野井さん)

授賞式は11月26日〜29日に、フランス南部のブリアンソンで開催される。授賞式には山野井さんも出席する予定だという。山野井大ファンの私にとってもきわめて喜ばしい。コロナがなかったら現地に取材に行きたい!

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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