膝?肩?腰?症状別、お悩み解決!|山でケガをしないための体づくり講座
PEAKS 編集部
- 2022年03月22日
登山時に起こりがちな体のトラブルを厳選し、ケースバイケースのエクササイズを紹介する。基本のエクササイズを行なったうえで、各部のエクササイズに取り組んでみよう。
INDEX
CASE1.下山時に膝の皿の上部が痛みだす
A.膝が安定せずに動いてしまっているので
お尻の深層筋をほぐし強化しましょう
膝の痛みの原因は、膝が不安定なまま動かしてしまっているから。膝を安定させるお尻の深層の筋肉を強化することで改善できる。
❶足を4の字のかたちにして座る。手を胸の前で組み、背筋を伸ばす。
❷背筋を伸ばしたまま、体幹を意識し、上半身をゆっくりと前方へ倒す。お尻の筋肉を伸ばすイメージで行なう。
❸股関節とお尻を意識して、膝立ちまで立ち上がる。背筋は猫背にならないように引き続き注意する。
❹膝立ちからさらに上半身を前傾させ、②→①の姿勢にゆっくりと戻す。股関節を外側にひねった状態の膝スクワットになり、お尻の筋肉へのアプローチにつながる。これを左右繰り返す。
CASE2.縦走中にバックパックの重みで肩が凝る
A.肩甲骨の位置をニュートラルに近づけ、
過度な疲労と緊張を改善させましょう
肩甲骨が内側に入り、肩の筋肉の上に重みが乗ってしまっていることと、腰がうねり、足腰で重さを支えられていないことが原因。体をニュートラルに戻すことで改善できる。
❶四つん這いの態勢から片手の平を後頭部に添える。背骨を高い位置でまっすぐにし、反らないようにする。このとき腰の位置を意識する。
❷片手で地面を押しながら胸を開き、旋回する。肩甲骨を中央に寄せる意識ももつ。これを両腕ともに繰り返す。
CASE3.縦走中にウエストハーネスが当たって腰が痛む
A.骨盤と腰の反りが原因。
ニュートラルに戻し、反り腰改善を
パックのサイズやショルダーハーネスが長すぎることも原因に挙げられるが、反り腰になり骨盤部分の下部が当たっていることが原因。ニュートラルな骨盤に戻せば改善する。
❶片足を前に出し、両膝を軽く曲げる。このとき両足の膝ができるだけ一直線になるようにする。足を出した側の反対の手を前に突き出しイスや壁に添える。引いた足側のモモを意識する。
❷膝を深く曲げ、上体を垂直に下ろす。このとき背筋はまっすぐに保ち、腰が反ったりお尻が出てしまわないようにする。これを両足ともに繰り返す。
CASE4.長時間歩いていると足裏が痛む
(とくにアルパインブーツを履いているとき)
A.アーチを鍛え、衝撃吸収できる足裏を作りましょう
足裏の痛みは土踏まずが下がり、足自体で衝撃吸収できていないから。アルパインブーツはソールが硬く、より顕著に痛みを感じやすい。土踏まずの筋肉を鍛えることで改善する。
初級
まずはイスに座り、体に負荷をかけないところからはじめよう。
❶イスに対してまっすぐに座り、両足の裏で地面をしっかりと捉えた状態から、足の両親指を根元から持ち上げる。
❷親指の状態をキープしながら両足のカカトを持ち上げ、つま先立ちをキープ。土踏まずの筋肉を意識する。
❸カカトを下ろす。両親指の状態はキープしたままで。このエクササイズを何度か繰り返す。
中級
イスに座った状態のエクササイズに慣れたら、上体を倒し、少し負荷をかけてみよう。
❶イスに座った状態から両腕を抱えて膝の上に置き、両足に体重を乗せる。この態勢で初級編と同様のエクササイズを繰り返す。土踏まずがつらないように、無理なく行なってみよう。
上級
さらにレベルアップ。ここまでできれば足裏には立派なアーチができあがっているはず!
❶立ち上がり、両手をイスや壁に添え、支えにする。足裏でしっかり地面を捉えた状態から親指を持ち上げ、カカトの上げ下げを繰り返す。
教えてくれた人:坂主拓國さん
登山・クライミングの安全技術・救助技術を有し、指導ライセンスを保持する山岳スポーツフィジカルトレーナー。代官山のトレーニングジム「51,5トランザクションジム」を経営。
※この記事はPEAKS[2021年3月号 No.136]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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