「なにもない」けど「なんでもある」“ラストフロンティア” 北海道・名寄市
PEAKS 編集部
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北北海道の中核都市である名寄市。交通や生活インフラが整っているだけでなく、名寄市が北海道のなかでの“住み良さランキング(*東洋経済新報社発行・都市データパックより)”で常に上位に入っている理由は、人口に対して医療をはじめとした都市機能が充実していること。隣町まで高速道路が通っており、札幌まで3時間程度、旭川空港までは約2時間なので東京まで4時間程度で着くこと。飲食店やお店の数は多いとは言えないものの、必要十分であることが挙げられる。またスギ・ヒノキ花粉は名寄には無縁の話で、空気も水も本当に美味しく、6月に旬を迎えるアスパラガスはお土産にも喜ばれ、もち米の生産地としても有名だ。カボチャやスイートコーンも寒暖差が大きい盆地ならではの産物といえる。
街は四方が囲まれた盆地にあり、険しくない優しい佇まいの山々、心地よい清流が織りなす、アウトドアアクティビティのフィールドの宝庫でもある。
そんな名寄市について語ってもらったのは、名寄市でフィッシングガイドとしても活躍するフライフィッシングショップ「ワイルドライフ」のオーナー、千葉貴彦さん。
以前は札幌で生活していたという千葉さんだが、あるときに受けた電撃的なアクティビティとの出合いを機に人生が一変。気持ちの赴くがままに理想のアウトドアフィールドを追い求め続けた結果、名寄市へUターンすることとなった――。
「魚釣りがしたくて世界各国・日本全国・北海道内のいろんな場所に行きました。でも、最終的には生まれ育った名寄が一番良かったんです」
高校を卒業した後、都会でかっこいい仕事がしたいという憧れを抱き、名寄を離れて札幌に移った千葉さん。30歳までサラリーマンとして働きながらすごしてきたものの、徐々に街遊びに飽きてきたころ、地元で楽しんでいた山遊びや川遊び、登山や釣りに傾倒していった。
「スキーはもちろん、キャンプやジェットスキーといったアウトドアの遊びもひととおりやってきたけど、最後に出合ったのがフライフィッシング。友達に誘われてスタートしたのですが、そこで”ビビッ”ときたのか、”一生やりたい!”と思ったんです」
フライフィッシングに出合ったことで、サラリーマンを辞めてニュージーランドへ魚釣りをしに行くことに。現地ではスターガイド(観光客向けの星空ガイド)として働きながら、ニュージーランド国内を1年間で2周してフライフィッシングを堪能する日々をすごした。
ニュージーランドでの生活が終わり、帰国してからは本州の釣りスポットへと旅に出つつ、時折、出稼ぎをしながら有名なフィールドへと足を運ぶ日々。また、北海道のフィールドで車中泊をしながら、鮭漁のアルバイトでお金を貯めて、ニュージーランドやカナダに行くなどしてすごしてきた。その生活を10年続けたあるとき、千葉さんは意外な結論に至る。
「40歳まで車中泊で放浪の旅を続けました。その歳になるまで名寄には帰ってくるものかと思っていたのですが、離れたことで良さがわかったのかもしれない……名寄はなにもないけど、なんでもできる場所なんじゃないかと気づいたんです」
「名寄は住んでみると心地良い場所でした。街のサイズ的にもちょうどいいし、買い物も病院等の生活インフラも充実していて、人が少なく、すぐ知り合いになれるから安心できるんです」
そして、一番の決め手は、フライフィッシングに最高・最適な場所だとわかったこと。
「名寄から2時間圏内で川・湖・海と、北海道でできる釣りがコンプリートできるんです。とくにイトウはロシアと北海道でしか釣れず、天塩川は僕にとって理想のフィールドであると言えます」
きれいな景色や雄大な川はカナダやニュージーランドにも多数存在する。しかし、“釣りをする一連の流れ”、これこそ天塩川が本当に最高であると、千葉さんは言う。
そして幻の魚と呼ばれるイトウが釣れること、これが千葉さんにとっての最大の魅力であることに間違いはない。淡水魚のなかで1番長く生き、その寿命は20年以上と言われているイトウ。サケ科のなかでは最大で、2m近くまで成長するものもあるという。
「僕も1mまでは釣ったことがあるんですよ。絶滅危惧種とされているので、もちろんリリースをする前提で釣っています。現在、僕ら釣り人と学者がいっしょになって、釣りを有効な観光資源として活用できるような形でルール設定ができないか模索しています」
雪質日本一!名寄ピヤシリスキー場のシルキースノー
千葉さんが名寄に戻ることにした理由のもうひとつが”最高の雪質”。名寄は日本屈指の極寒地帯・豪雪地帯であり、1931年には国内最低気温マイナス41℃を記録した。冬はマイナス20℃を下回る日も多く、山に囲まれた盆地であることから、標高の高い山では極上のパウダースノーをもたらしてくれる。名寄は“雪質日本一”と評されており、スキーヤーやスノーボーダーにとっては憧れのフィールドのひとつとなっている。
「札幌にいたころも市内のスキー場やニセコにも滑りに行きました。でも、パウダースノーに関しては、ピヤシリの第3リフト沿いのコースには敵わない。
ウエアに雪がまとわりつくこともないくらいサラサラで、吹けば舞うくらいの軽い雪。雪の上を滑っている感覚もなくなるくらい浮いている感じ。スキー場が街からすぐの距離だし、ゴールデンウィークすぎまで山に登って滑ることも楽しめるんです」
天塩川でのフライフィッシングとピヤシリスキー場でのスキー、このふたつこそが、千葉さんが世界中をいろいろ旅してきて実感した、”至高のフィールドと遊び”だ。
「名寄には、なにもないです。なにもないんだけど、やりたいことはたくさんできるんです」
「“名寄になにかある?”って質問に答えても、“なにか”に期待して実際に来てみると“なにもないね”ってことになるんです。そこは人それぞれの価値観によるところですね。最初から“なにもない”と言われれば、人によっては“あれもある、これもある!”ってなるんですよ。釣りとスキー以外で名寄で誇れるもの……星空はニュージーランドに引けを取らないくらい美しいですね。それと、名寄の“ピリッ”とした冬の寒さが好きなんですが、一定の気象条件を満たさないと発生しない、非常に美しいサンピラーも見られます。釣りをしているとヒグマがすぐ近くに寄ってくることもありますし、シカも家のすぐ裏に足跡を残している。狐などの小動物も多く見られます。広葉樹もいっぱいあるので、紅葉の季節は麓や街中まで色づいて、山菜もたくさんあるし……」
春になると川と山の雪解けで緑と青が織りなす景色が現れ、夏は光眩しい常緑が広がる。秋には焼けるような紅葉が天然のパッチワークのように大地を覆い、冬になると周囲は雪で一面真っ白になる――移り変わる四季が、名寄の魅力のひとつであると千葉さんは言う。
「季節ごとに目に入ってくる情報がハッキリと変わってくるんです。そういう小さな一つひとつの自然のなかのできごとを見つけられる人にとって、名寄は最高の場所だと思いますよ」
楽しさは与えられるものではなく、自ら取りに行くもの。そのほうが何倍も楽しめる。
「わかっていても、じつはむずかしいところかもしれないですね。自分も高校生までは、“名寄にはなにもない。こんな田舎には二度と帰ってくるものか”と思っていました。でもその後の人生で色々な経験をし、名寄の魅力に気づけたんです。たまにネオンが恋しいときもあるけど、そういうときは星空を見て我慢します(笑)」
アウトドアライフが満喫できる名寄はまさにラストフロンティア
千葉さんのように「なにもないのがいい」とはなかなか言えないこと。街の良さと自然の良さ、その両方を知っているからこそ言えることである。
しかし同時に、なにもない=見つけられればなにかがある、ということ。
「その人に名寄に来る”目的”があれば、逆に言えば”なんでもある”んです。それを見つけられるかどうか、楽しめるかどうか、になってくると思います」
さらに、千葉さんの“引き出し”からは、さまざまな遊び方が飛び出す。
「天塩川には堰堤と呼ばれるものがほとんどないなので、河口までの長い距離をカヌーで下ることもできます。ラフティングも最高だと思います。パックラフトで上流からキャンプしながら下流まで旅するとか。温泉に入ってまた次の日に移動、みたいにね。山でいえばシマエナガ、オジロワシ、ヤマセミといった鳥類がたくさんいるので、バードウォッチングが好きな人には最高な環境であることに間違いない。夏山もトレッキングはクマに気をつければ十分楽しめるだろうけど、トレッキングガイドが名寄にはいない。マウンテンバイクもできそうだけど……自転車が好きな人がここにきてなにかやろうと思えばなにかできるかもしれないね。さまざまなアウトドアのフィールドがあるがそれを活かせていないんだと思うんです。ある意味、名寄は観光不毛地帯。逆に言えば“全てが残されている”のです」
手付かずの自然が残されている一方で、遊びを仕事にトランスフォームしている人が、名寄にはまだあまりいないようだ。
自然のなかで“自然に”遊び、自然のなかで“仕事”をする、最高のライフワークバランスが実現できる街。
「当初、僕が釣りのガイドをすると言っても周りの人には、“そんなので食っていけるのか?”と言われたものです。“働かざるもの食うべからず”、“遊びは仕事ではない”、少しずつ変わってきているかもしれませんが、日本ではそんな風潮がありますよね。私の場合は遊ぶのが仕事だと思っているので、遊びを仕事に変えられるならなんの問題もないと思います。遊びのなかにヒントはいろいろあるし、世界中で遊びを仕事にしてる人はいっぱいいます。今後移住やUターンで地方での生活を考えている人たちには、ぜひ目指して欲しい生き方のひとつです。名寄の自然のなかにあるなにか、それを掘り起こせた人はラッキーですね。ちょっと掘ったらザクザク出てくるかもしれない! 道北はもともと観光地ではなかったので、そういう意味ではチャンスがいっぱいありますよ」
「住むだけだったらどこにでも住めます。そこに住んでなにができるか、が重要だと思います」
千葉さんの生き方は、ある意味では常人離れしているように聞こえるが、とてもナチュラルである。自分の気持ちに素直に生きることを大切に思いたい、そう感じることができた。
「将来的にアウトドアを軸にライフワークバランスを取りながら生きたい」そんな理想を追い求めるなら、まずは移住体験ツアーを利用して名寄市を訪れてみては?全身で自然の魅力を体感しながら、移住に関する生きた情報だけでなく、なにかいいヒントが得られるはず!
名寄市での移住が体験できるツアーも開催中!
希望の暮らしに寄り添いカスタマイズできる「移住体験ツアー」
◆実施期間
【5月~2月】※随時対応。希望日(平日含む)を連絡。
◆利用対象
市外在住で名寄市への移住に関心があり、移住ワンストップ窓口を通して相談した方。
◆体験内容等
モデルコース(下記リーフレット参照)の中からふたつの移住体験を選択。
※体験者(配偶者含む)の宿泊費を助成。(最大2泊まで)/同一年度内に1回のみ利用可。
◆申込締切
利用希望日の1か月前までに申し込み。
※日程によっては、受入先の都合により調整あり。または希望に添えない場合あり。
名寄市移住促進協議会:https://nayoroiju.com/
なよろ観光まちづくり協会:https://nayoro-kankou.com/top/
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文◉渡會伸行
写真◉渡辺洋一(メインカット)
企画協力◉名寄市移住促進協議会
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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