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パタゴニアの源流 “クリーンクライミング” を体現したショップが誕生

パタゴニアの東京・神田店が、この春からクライミング・コンセプトショップとしてリニューアルしている。

全国に22店舗あるパタゴニアの直営店のなかでも、神田店は独自の取り組みを行なっている個性的なショップ。昨年秋からはスキー・スノーボードを中心としたテクニカルコンセプトショップとして生まれ変わり、専門性を追求した店舗となっていた。シーズンが変わり、その方向性を受け継ぎながら今季はクライミングにフォーカスしたというわけだ。

パタゴニアの製品は、クライミング、バックカントリー、登山、トレイルランニング、サーフィン、フィッシング、カジュアルアイテムなど、多岐にわたる。そのなかでもクライミングと登山向けに作られたいわゆる「テクニカルライン」と呼ばれる製品に品揃えを特化。カジュアルアイテムなどは省略されている代わりに、他店ではあまり見られないようなものも含めて、専門性の高い製品を重点的に揃えている。

品揃えだけではない。知識・経験豊富なスタッフによるアドバイスが得られるのが実店舗のよさでもある。そのために、リニューアルにともない、クライミングに詳しい人材を各店からスカウトして集中的に神田店に配属。実戦的な ”生きた” アドバイスが得られる店ともなっている。

 

 

「都心にある店舗でありながらテクニカル製品のラインナップに絞ることに対して最初は不安もありました。大丈夫だろうかとも思いましたが、こういう店はやっぱり必要なんじゃないかと思いまして」(ストアマネージャー・三橋利央さん)

三橋さんが言う「こういう店は必要」という言葉の意味は、パタゴニアの歴史に深い関係がある。

パタゴニアというと、環境保護に力を入れている会社というイメージがあると思う。それは地球温暖化やSDGsなどが叫ばれるはるか以前、それこそパタゴニアが誕生した1970年代から社是として掲げられてきた。

それはなぜか。

パタゴニアを創業したイヴォン・シュイナードはもともとクライマーだった。その経験を生かしてピトン(岩に打ち込んで支えとする金具。ハーケンともいう)の製造販売を生業としていた。

ところがピトンは、使用を重ねるにつれて少しずつ岩を破壊していく。自分が愛したフィールドが自分が作ったもので壊されていくことに心を痛めたシュイナードは、ピトンに代わる、岩を壊さないギアが作れないものか思案を重ねた。その結果生まれたのがナッツ(ストッパー)だった。

 

ブランド黎明期のカタログをモチーフにした展示。中段のモノクロ写真に写っている人物が創業者のイヴォン・シュイナード

 

しかしナッツを発売すれば、当時の売上の大半を占めていたピトンが売れなくなってしまうかもしれない。それでもシュイナードはナッツの発売を決断。同時に、これからはピトンを使わない「クリーンな」クライミングをしようと、カタログに寄せた文章でも呼びかけた。

結果、ナッツの使いやすさは大評判を呼び、会社は成長し、ピトンによる岩の破壊も止まった。環境保護を追求することは、倫理的にもビジネス的にも正解なのだ。シュイナードはクライミングを通じて、このことを実体験として理解した。

――ここにこそ、パタゴニアの原点がある。

 

だからこそ、その源流を大事にし、再度世に問う場が必要なのだ。三橋さんが言う言葉にはそういう意味も含まれている。

神田という立地条件もある。ここは、アウトドアショップやスキーショップが集まる、東京でも有数の地。目的意識が高く、目の肥えたお客さんが多い街だ。広く浅い品揃えよりも、狭く深くが求められる場所である。

「この店で置いていないものがあっても、他のショップに行けば見つかる場合もあるし、逆に、他のショップで見つからない専門性の高いものは『パタゴニア神田店ならあると思いますよ』と、紹介してもらえることもあり得ます。そうして補え合えるのが神田という街のよさなので、ならばうちは原点を大事にした尖ったお店でいこうと」

店内には、他店では置いてあるところが少ないテクニカルアイテムがサイズ・カラーともに豊富に揃い、貴重な書籍や見るだけで楽しめる展示物も充実している。クライミングや本格登山が好きな人にはたまらない空間になっている。

こうした、ブランドの色を濃く出した実店舗は、情報にあふれ、ネット通販の発達した現代でこそ、貴重な存在になると感じた。

 

神田店ストアマネージャーの三橋利央さん

 

 

パタゴニア 東京・神田
〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2-3-18 露木第2ビル
TEL.03-3518-0571
営業時間:12:00~19:00(平日)、11:00~18:00(土日祝)
定休日:毎月第3水曜日

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PROFILE

PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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