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笠置山で「Arts and Climbs」な1日を。|筆とまなざし#274

子どもたちのためのスケッチ&クライミング教室を開催しました。

先週土曜日は、午前中にスケッチ教室、午後からクライミング教室を行なうという、一風変わったイベントを行ないました。京都在住の男性から、子どもたちに絵とクライミングの両方を教えてほしいとリクエストがあったのです。

これまでにも野外でのスケッチ教室は行なってきましたし、クライミング教室もまた然り。けれども、そのふたつを同時に行なったことはありません。最初は戸惑いました。なぜなら、どんな内容にしたらいいのかが明確に思い浮かばなかったからです。けれども、とにかく子どもたちといっしょになって絵とクライミングの時間を共有してほしいというご要望だったので、それならばとお引き受けすることにしました。場所は勝手知ったる笠置山。ここならようすに合わせていろんなメニューを組むことができます。

 山麓は桜が満開、すっきりと晴れ渡った絶好のスケッチ&クライミング日和となりました。ご両親と小学生、保育園の姉妹に加え、ご友人一家も参加してくださり、総勢8名の大所帯。聞けば、親御さんは山もクライミングも大好きで、笠置山にも登りに来られているとのこと。明日はプライベートで登るということで、そのワクワク感が伝わってきます。

 さて、午前はお絵描きタイム。まずはもっとも眺めの良い大岩展望の岩へ向かいました。この岩にはクライミングルートが多くあるのですが、反対側から階段で岩の上に登ることができ、絶好の展望スポットになっています。朝日に霞む恵那山、麓を流れる木曽川、そして名古屋へと続く平野。青空の下、春の麗かな日差しが眩しく降り注いでいました。岩の上は五畳ほど平らな部分があり、脇に行きすぎないように気をつけて好きな場所に腰を下ろしました。年長のYちゃんがバッグから取り出したのは年季の入ったドイツ製の透明水彩絵具。なんでも看板屋をしていたおじいさんが使っていたのだと言います。これはおもしろいと、透明水彩と不透明水彩の違いや絵具の滲ませ方を少しレクチャーしました。そしてスケッチブックを取り出すと、子どもたちは迷うことなく眼下に広がる山並みを描き始めました。絵は自由。思うままに描けばいい。なによりこの気持ちのいい時間を存分に体と心で感じてほしい。子どもたちが描くようすを見守りながら、ぼくは残雪の恵那山を描きました。一段落したところで親御さんがおもむろにボルダーマットを広げると、すぐ下の岩でボルダリングが始まりました。岩に登るHちゃんの横で、その岩を描くYちゃん。これはまさに「Arts and Climbs」ではないか。

午後からは駐車場からすぐのところにある子ども向けのルートの岩に行きました。この岩は昨年整備したもので、終了点が三カ所に打ってあるだけで中間支点はありません。ボルトに沿ったラインではなく、子どもたちが岩の表情を読み解きながら登りたいところを自由に登れるようにしたのです。迷いながらも登りやすそうなラインを探して登っていく子どもたち。岩のてっぺんまで登り詰めて笑顔で手を振る子どもたち。この時間がなにかしらいいきっかけになってくれますように。最初に抱いた戸惑いは、子どもたちの可愛い笑顔のおかげですっかり消えていることに気づきました。

思いがけないリクエストは、もうひとつ大きな気づきを与えてくれました。それは、笠置山が「Arts and Climbs」を実践するのに格好の場所だということ。またひとつ、新しい可能性の扉が開き始めた気がします。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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