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イタリア・オルコの岩場「SERGENT」の麓でキャンプしながらクライミング。|筆とまなざし#295

「SERGENT」へマルチピッチルートを登りに。上部には広大なスラブの海が広がっていた。

キャンプ場はオルコの岩場のメインエリアである「SERGENT」の麓にありました。「SERGENT」は上部がスラブになった花崗岩の岩壁で、多くのマルチピッチルートが築かれています。ルートスケールは300mを超すものもあり、キャンプ場からの標高差は500mほどあるでしょうか。

テントを張り終え、近くのボルダーに行くことにしました。キャンプ場の周りには大小いくつものボルダーが草原に転がっているのです。縁あって、今回のトリップには「SAMAYA」のテントをお借りしました。フランス、シャモニで生まれたブランドでバリバリのアルパインクライミングモデル。このキャンプ場にはいささかオーバースペックすぎますが、個性的なピンクのテントが岩場に映えます。

歩いてすぐのところに、写真でも見たことのあるクラックボルダーがありました。高さは7mでグレードは6b。1970年にオルコで初めてジャミングテクニックを用いて登られたクラックです。さっそく取りついてみました。中間部までは見た目より傾斜があり、岩はツルツル。ここの花崗岩は結晶は粗いものの磨かれていて固く、滑りやすい。出だしはシンハンド、上部にいくに従って広くなり快適なハンドサイズがしばらく続いて、最後はフィスト。ひさしぶりのクライミングに緊張しながら無事に完登できました。

マットのないぼくらは比較的取り付きやすい課題を見つけては飛行機でカチカチになった身体をほぐしました。もうハイシーズンをすぎたのか、キャンプ場にはほかにひと組しかクライマーの姿はありませんでした。

翌朝、谷の奥にそびえ立つ岩山が真っ赤に染まりました。天気も良さそうだったので「SERGENT」にマルチを登りに出かけました。岩を見上げて、トポと見比べて一番目についたスラブの真ん中を登るルート。330m、7ピッチ、6b。取り付きはすぐにわかりました。日陰は半袖でいると寒いほど快適な気温です。下部からスラブで、ところどころに小さなハングがあります。核心ピッチはスラブ帯の細いクラックから徐々に傾斜を増して難しいスラブとなりました。よくよくルートファインディングして抜けると、上部には広大なスラブの海が広がっていました。ここからは易しくなるもののボルトは遠く、またあちこちにボルトが打ってあってラインが判然としません。おまけにイラストのトポと写真のトポとラインもピッチ数も違います。導かれるように登っていくと、明らかにこのルートにはないピッチに迷い込んでいました。さっきまで快適な気温だったのに午後になると非常に暑い。悪い乗っ越しをしてさらに1ピッチ登ると岩の最上部にたどり着きました。そこには遠くの山々まで見渡せるすばらしい展望が広がっていました。

懸垂を繰り返して取り付きに戻り、まだ時間があったのでキャンプ場から歩いて2分のところにある「FISSURE DU PANETTON」という長さ12mほどの前傾フィンガークラックを登ることにしました。グレードは6c +、5.11bcくらい。入念にオブザベーションしてオンサイト。1982年初登のクラシックルートはすばらしいクラックでした。こんなクラックがこんなに近い場所にあるなんて。短いけれど傾斜が強く、個性的なクラックが多い。それがオルコの特徴なのかもしれません。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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