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装備や体重を減らせば、登山はラクになる?|登山と体重のディープな関係【後編】

同じ登山をするなら、ラクに登れたほうがいい。多くの人がそう考えるだろう。そのためには、装備を減らす? 体重も? でも限界がある。そこで! スポーツ生命科学研究の第一人者、鹿屋体育大学・山本正嘉教授の理論を軸に、高所登山に関する多彩なノウハウを持つミウラ・ドルフィンズの宮﨑喜美乃さんに、だれもが活用できる方法論を紐解いてもらった。

文◉山本晃市、編集部
イラスト◉高橋未来
写真◉高橋郁子

▼登山における適正体重など【前編】はこちら

装備や体重を減らせば、登山はラクになる?|登山と体重のディープな関係【前編】

装備や体重を減らせば、登山はラクになる?|登山と体重のディープな関係【前編】

2022年10月28日

減量? 装備減? エネルギー消費量を総合的に考えると……

「エネルギー消費量」は、「体重と装備の総重量」によって左右されることはわかった。換言すれば「エネルギー消費量が少ないほど、携行エネルギー源(食料等)の量は少なくて済む」ともいえる。それはつまり、「登山が“ラク”になる」大きな要因になる。だが……、装備削減や減量には自ずと限界があるうえ、決して容易なことではない。

白米おにぎり1個分のエネルギー(約180kcal)でシミュレーションするとわかりやすい。180kcalというエネルギーを抑えて登るには、体重で換算すると「3.6㎏減」が必要。装備重量も同様だ。つまり、おにぎり1個分のエネルギーを減量でカバーするには、3.6㎏のダイエットが必要ということになる。装備も同じく3.6㎏分を削らなければならない。抑えるべきエネルギーの数値が高くなるほど、この方法はどんどん非現実的なものになっていく。

ではどうする?

ここで本論の核心が浮上する。「山の特性」の構成要素のひとつ、「歩行時間」だ。これを短縮すれば、時間あたりのエネルギー消費量は増えるものの、トータルのエネルギー消費量は少なくなる。そう、“歩行時間の短縮”は、減量や装備削減と同じ効果をもたらしてくれるのだ。「体重」「装備重量」「歩行時間」、それぞれ単独で180kcalを減らす場合と、複合的総合的に減らす場合ではどちらが効率的か?
下図のシミュレーションを見てもらえれば、一目瞭然だろう。

山本教授の公式を構成する要素のうち、同じコースを登山するうえで数値固定の要素は「歩行距離」「登り累積標高」「下り累積標高」の3つ。一方、残りの「体重」「装備重量」「歩行時間」の3要素は数値の変更が可能なものだ。要は、変更可能な3つの要素のうち、各自が取り組みやすい要素の数値をそれぞれ減らせばいい。トータルで180kcal分を補えれば、どの要素で減らしても「エネルギー消費量」の合計数値は同じになる。各自に合ったバランスのよい減らし方、それが「エネルギー消費量」を少なくする理想的かつ負担の少ない方法だ。この考え方による山行スタイルの実践が、より安全快適な山行、ひいては“ラクな登山”につながっていく。

エネルギー消費量の減少=体重+装備重量+歩行時間

180kcal=おにぎり1個分を「体重/装備重量/歩行時間」各単独で減らそうとすると…

体重:3.6㎏減が必要(60.0㎏→56.4㎏)
装備重量:装備重量3.6㎏減が必要(10.0㎏→6.4㎏)
歩行時間:1時間27分短縮が必要(9時間45分→8時間18分)

「装備重量/歩行時間」のみ減らそうとすると…

体重:現状維持
装備重量:2.0㎏減
歩行時間:39分短縮

「体重/装備重量/歩行時間」を総合的に減らそうとすると…

体重:1.0㎏減
装備重量:1.0㎏減
歩行時間:39分短縮

3つのバランスが重要です!

「体重」「装備重量」「歩行時間」をバランスよく考え、ご自身の「BMI」を計算したうえで、取り組みやすいものを減らすことを心がけてください。目安としては、以下を参考にしてください。

・「BMI」25以上⇒体重だけでなく、装備も含めて工夫して重量を減らしましょう。
・「BMI」21〜23⇒装備削減に加え、歩行時間を減らす体力をつけましょう。
・「BMI」21未満⇒重量減よりも、歩行時間を減らすために体力をつけましょう。

いずれにせよ、それぞれの実力に合った山のレベル(山の特性)を考え、大いに実践してください。身の丈に合った登山を繰り返すことは、山力を効率よくアップしてくれます。チャレンジも大切ですが、急がば回れ。できることの積み重ねが、楽しみながらレベルアップするコツですよ!

軽くて高カロリーなモノはどれ?

ベースの装備重量には影響しないものの、あれもこれもと持っていくと意外と重たくなるのが行動食。山を楽しむためには、「好きなものを」「好きなように」がベストだが、重量当たりのエネルギー量が多いものを選べば、さらなる軽量化が可能だ。

行動食のエネルギー量比較

山に向かう前夜、あるいは移動中にコンビニで気になるものを物色……。行動食を選ぶときは重さをそこまでシビアには考えないだろうが、ここもシェイプすればより山行がラクになる。基本的な考えとしては水分が少ないもの、炭水化物中心より油やナッツも使ったものを選ぶと、同じ重量でもカロリーが高めだ。ただ、ひもじい思いをしないためにおにぎりやパンなどの食事もとりたいという場合には、水分量が少ないパンのほうが、同じ重量でもエネルギー量が多い。好みに合わせてうまく高カロリー食を取り入れ、飽きないで食べ続けられる行動食の組み合わせを考えてみよう。

永遠の定番食「おにぎり」1.8kcal/g

市販のおにぎりの重さは約100g、カロリーは180kcal程度が目安。白米の水分があるぶん、重量比では不利に。

 

カロリーもずっしり「あんパン」2.8kcal/g

食事系行動食でもおにぎりより重量比でカロリーはたっぷり。1個(115g)あたりに換算すると320kcal程度。

安定の栄養食「カロリーメイト」5kcal/g

良くも悪くも非常に水分が少ないので、カロリー的には優秀なアイテム。日持ちするので非常食としてもGOOD。

酒のアテにも「柿ピー」4.5kcal/g

行動食にもつまみにもなる万能選手。柿の種よりピーナッツのほうが同重量でカロリーが高いので柿ピーがおすすめ。

油と塩のハーモニー「ポテトチップス」5.6kcal/g

じゃがいもを油で揚げた、カロリーの化身のような食べ物。ほどよく塩分も摂れるので、バクバクいっちゃおう。

カロリーも凝縮「ドライフルーツ」3.5kcal/g

乾燥させているので重量あたりのカロリーが高め。ナッツを混ぜてトレイルミックスにすればなおよし。

ちょい食べにピッタリ「グミ」3.4kcal/g

砂糖や水飴が大量に使われておりカロリーは高め。行動中や短い休憩タイムでも食べやすいので持っていると便利。

イナズマ級のエネルギー「ブラックサンダー」5.3kcal/g

おいしさだけでなくカロリーも破壊的という罪な菓子。軽量化の意味では味方に付けると頼もしい相棒になる。

腹持ちの良さも◎「ナッツ」6.6kcal/g

脂質の割合が多く重量比のカロリーが圧倒的に高い。食物繊維が豊富で腹持ちも良いという行動食の王様的存在だ。

教えてくれた人

宮﨑喜美乃さん

ミウラ・ドルフィンズ勤務。健康運動指導士、低酸素シニアトレーナー。鹿屋体育大学・大学院にて登山の運動生理学を研究し山の世界へ。トレイルランの世界トップレベルで活躍するアスリート。登山ツアーや講習会も随時開催している。

※この記事はPEAKS[2021年5月号 No.138]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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