ひとりで歩く北アルプステント泊登山。朝日岳~白馬岳縦走の旅へ(前編)|劇団EXILE・佐藤寛太の旅手引き #7
佐藤寛太
- 2022年11月14日
装備企画から数年越しの北アルプス登山。蓮華温泉から朝日岳山頂へ。
こんにちは、佐藤寛太です。
先月、約2年ぶりにテントを背負って秋の北アルプスへソロ縦走に行ってきました。
2年前、初めて山の装備を揃え、テントを背負って登ったのは火打山から妙高山。1泊2日の行程で、夏山で天気がコロコロ変わるなか、途中雨に打たれ何度も転んだり、道迷いをしながらひとりで歩ききったあとの達成感はひとしおで、恵まれた環境ではありませんでしたが山が好きになりました。
今回登ったのは白馬岳。PEAKSさんで登山をはじめたばかりの僕の装備見直し企画を組んでいただいたとき、
いつか北アルプスに登るためにというお話をいただいていたので、数年越しに実現したいと思い決めました。
地図を購入し、ルートを決める作業。これがすごく自分自身と対話する時間になります。体力的に無理ではないだろうか、危険なルートはないか、日数的な余裕はあるか、持ってる装備に不備はないか。
最近はお仕事、プライベートでも複数人で登ることが多く、登山を気軽に身近に感じられていたのですが、ひとりで登るとなると準備の段階から装備の見直し、天気予報のチェックなどひとつひとつの作業に緊張感が生まれます。
何度もプランを練り直して今回は麓のキャンプ場に一泊、朝日小屋のテント場でニ泊目、計3泊4日の旅に決めました。
迎えた初日は麓の蓮華温泉キャンプ場での宿泊。都内から移動し、日帰り入浴の温泉で体を温め、日暮れとともに床に入り翌朝に備え就寝。思ったより夜間の冷えもなく、持っていた寝袋と防寒着で充分な寝心地でした。
翌朝5時ごろ。寝起きに前日魔法瓶に入れていた白湯を一杯飲み、徐々に体を起こしつつ、空が少し白んでくるなか、テントを撤収し出発。朝日小屋までは8時間近くの行程で、寝起きの身体にテントや食糧、水の詰まったザックの重さがのめり込んできます。
ひさしぶりの重い荷物を背負ってのロングハイク。蓮華温泉から朝日岳山頂までは、ほとんどが登りに続く登り。立ち止まっては木々を眺め、立ち止まっては道を確認し、立ち止まっては地図を見てあとどれほどこの坂が続くのかとうなだれ、一向に進みません。
朝日岳の頂上でパシャリ。ご覧のとおりの真顔。自分でもびっくりです。疲れもピークにきていたのでしょう。
あとは下りだけだと油断したのも束の間、朝日小屋までの道は整備されていながらも急な下り坂。初日で怪我してはシャレにならないので一歩一歩たしかめるように着実に降りてゆきます。
小屋に着いたのが午後2時すぎ。朝6時から登って約8時間の行程でした。小屋に着いたときの安堵感と達成感。
「自由だー!!!!」
と叫びたくなるような心の昂りをちょっといいお紅茶とともにゆっくりと流し込み、ほっと一息ついてからテントを広げ、日暮れまで一度昼寝。
起きたらちょうど夕暮れで雲が周りに湧いていて、いま山に登ってるんだなーという気持ちになりました。
朝日小屋で次の日の朝食用にクロワッサンとお寿司を買い込み、持ってきたアルファ米とお味噌汁で簡潔に夕食を済ませてから翌日に備え就寝しました。
ひさしぶりの縦走記録で書きたいことが多すぎました。今回は前編、後編に分けたいと思います。2日目からの行程はまた次の連載にて。
今回もお読みくださり、ありがとうございました。
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PROFILE
劇団EXILE所属。福岡県出身で子どものころは自然が遊び場。キャンプを始めたことをきっかけに、その延長で2020年より登山を開始。主にひとりで山に登っている。初のフォトブック『NEXT BREAK』が発売され、主演映画『軍艦少年』や人気漫画を実写ドラマ化した『あけとせっけん』主演など、映画やドラマ、舞台など各方面で幅広く活動する、いま人気急上昇中の若手俳優。大の読書好き。仕事が忙しいときには山や旅にまつわる本で旅をする。