編集部員も買い替えたくなるモデルが勢ぞろい! 納得の山サイフカタログ【前編】
PEAKS 編集部
- 2022年12月26日
ハイカーの多くが正解を求めてさまよっている、山に持って行くサイフ。軽量コンパクト、収納&アクセスがよく、水濡れに強いもの。それらの機能に加えてポイントになるのが、街で取り出しても恥ずかしくないデザイン。そんな山サイフの評判モデル、集めてみました!
文◉PONCHO 写真◉佐々木孝憲
「街中で出しても恥ずかしくないサイフがほしかった。」
既存のアウトドアブランドが手掛けるサイフは、定番的な機能、デザインのものが多い。一方でUL道具を中心に手がけるガレージブランドのサイフは、軽量化や使い勝手に意欲的、個性的なものをよく見かける。X︲PACやタイベックといったUL素材を用いて軽量、フォルムは薄手。これまで当たり前だと思っていた使い勝手も、ハイカー目線で見直されているのが特長だ。
「ビューティフルマネー」のサイフもそうした流れのひとつ。アウトドア道具好きが多く訪れる日本最大規模のアウトドア展示会「オフ・ザ・グリッド」が初めて開催された2015年から、自らデザインして縫製したサイフを出展、販売してきたという。
ブランドのホームページを見ると、こんな一文がある。「休日にアウトドアで使った財布。ほんとはビジネス用の財布に移し替えたい、けれども疲れ切ってそのまま寝てしまう……。あなたにもそんな経験がありませんか?
Beautifulmoneyは、「ビジネスシーンでもセーフ」なアウトドアギアを提案するブランドです」
これは、山サイフ選びに悩んでいるハイカーの心に響くコンセプトといえるだろう。
ブランドを主宰する中村崇之さんは、ULハイクに影響を受け、山岳レースのOMMにも毎年参加している山好きだ。
「最近はキャッシュレスが浸透してきていますが、それでも山小屋では、トイレや飲食で小銭が必要になるじゃないですか。だから山でもサイフは必須。けれど普段使いの革サイフを使うのはツラい。かといってアウトドア用のサイフは、例えば小銭入れがとりあえずつけましたという貧弱な使い勝手のものが目立ちます。開閉の面ファスナーもベリベリって大きな音がして、山帰りに立ち寄ることが多い登山ショップで使うのに、ちょっと恥ずかしいなぁって感じていました」
美大出身、メディアアーティストの一面も持つ中村さんは、モノづくりが好き。山でも街でも使える、使いたくなるサイフがないならと、自分でつくることにしたというのが、ビューティフルマネーのはじまりだ。
「アウトドア用のサイフは三つ折りが主流。でも普段使いを考えると使いにくい。収納したお札も丸まってしまいますし。私、面倒くさがりなんですね。だからパッと開けて、サッと中身を取り出せる二つ折りがマスト。
山へ持って行くものだから薄くなり、強度のある素材を使いたい。リップストップナイロン、タイベック、X︲PACと試作しました。自分用ならリップストップナイロンでよかったのですが、商品として見たときの素材の美しさでX︲PACを選びました」
試作の遍歴を見せてもらうと、かなり早い段階でデザイン、構造が固まっている。A4サイズの一枚のシート状のX︲PACに切れ込みが入り、それを折り紙のようにたたみ、縫ってサイフになる。ほとんど無駄がない。
「当初二つ折りした際に、X︲PACが張りのある素材感のため、内側にシワが出てしまいました。その修正のためミリ単位でカットして、縫製を繰り返しました。こだわったのは小銭入れの開口部です。財布に厚さを出さず、広く開いて出し入れしやすいよう、板バネ仕様にしました。これで面ファスナーのベリベリ音も解消。薄くて使いやすさがアップしました」
縫製糸も強度の限界を試行錯誤して90番という細糸を採用。アウトドア道具の雰囲気を持ちながら、上品さと美しさを備えた、どこで使っても恥ずかしくないサイフは、こうして完成した。
ビューティフルマネー/ワレットX-PAC
価格:5,280円
サイズ:W81×9cm
カラー:レッド、ホワイド、ディープブルー、他2 色
重量:14g
問:ビューティフルマネー
ビューティフルマネー
主宰の中村崇之さんが、本業のかたわら手掛けるアウトドア用サイフのブランド。イベント販売とホームページでの予約販売のみ。上品かつ使い勝手のよさが魅力だ。
※この記事はPEAKS[2021年5月号 No.138]]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
Info
SHARE
PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。