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若いふたりが切り盛りするヴァンナチュールとスペシャルティコーヒーの店「ペグ」(長野県松本市)【グルメトラバース】#009

山に登り、麓の食を堪能することをライフワークとする、とある山岳ガイドの彷徨旅=グルメトラバース。
今回は、仲間の嗅覚で探し当てた自然派ワインとスペシャルティコーヒーの店へ。

自然派ワインとオリジナル肉料理のアンカーに打ち付けられて

城下町であり、江戸時代から信州の商業の中心地であった松本。この松本を象徴するのが「なまこ壁」と呼ばれる白と黒の土蔵造りの建物であり、中町通りにはこの土蔵が連なっている。

その北側を流れる女鳥羽川の対岸にある縄手通りの付近は、風情のある松本のなかでもとびきり気持ちのいい街並みが続く所だ。松本駅から松本城方向へ歩き、その中町通りをしばらくブラブラと歩いてから女鳥羽川への小道に抜ける。夜になると民家も多いこの小道はちょっと暗い。

そのなかにぽかっと、スポットライトのような明かりが灯っている場所がある。そこが今夜の目的地、 「peg(ペグ)」いうお店である。

看板の通り、ヴァンナチュール(自然派ワイン)とシャルキュトリ(食肉加工品)が名物

平日は23時(月曜は定休日)までと遅い時間まで開いているので、前泊のために夜遅く松本に到着する我らにとっては憩いのオアシスとなる。じつはこのお店を最初に見つけたのは私のガイドのアシスタントである轟さんだ。

とびきりのヴァンナチュール好きの彼女は、ちょっと前からチェックしていたらしい。ヴァンナチュール(VinNature)とは、自然派ワインのこと。オーガニックワインとも違い、リュット・レゾネ(減農薬栽培)やビオロジック(有機栽培)とも違う。

オーガニックワインとはブドウを育てる農法のことで、醸造にポイントが置かれるヴァンナチュールとはまた異なる。ヴァンナチュールとは、天然酵母で発酵させ、亜硫酸塩(SO2)を添加しないか、もしくは極力少なくして作るワインのことをいう。

そのヴァンナチュールが近年人気となっている。ブドウそのものの味わいを追求し、作り手一人ひとりの個性もまた引き出されてきたからだろうか。あれ? ワインってこういうものだったのか……と気付かされるようだ。

と、かくいう私は、わかったようなことを言っても、じつはワインのことはあまり良くわからない。どちらかというと、日本酒好きのただのオヤジである。それが、最近は轟さんに引き連れられて良く自然派ワインを飲むようになった。身体にもいいらしい。その彼女の松本前進基地がこのペグというわけだ。

オーナーの菅沼博文さん、摩利子さん夫妻

若いオーナーの菅沼博文さんは食肉加工技術を学び、自家製のソーセージや燻製を作るなかでヴァンナチュールに出会った。そして虜になったのだろう。なんせソムリエにもなり、ヴァンナチュールのお店も開いてしまったのだから。

下北沢の自然派ワインのお店で修行を続け、やがて生まれ故郷の信州に戻ってきた。幼なじみの摩利子さんとは同じ波田の出身で、この松本の環境になじんでいたふたりがいっしょになり、博文さんはワインと料理担当、摩利子さんはやはり過去の経験を生かし、これまた新しいスペシャルティコーヒーという分野を担当する。

スペシャルティコーヒーという区分けもまたあまり聞き覚えのない言葉だったが、どうやら簡単に言うと、厳選された美味しいコーヒーということらしい。だから、自然派ワインを飲んだあとのスペシャルティコーヒーもまた味わいがある。

ともにアウトドア好きというふたりがつけた店の名前がペグ(peg)である。店の内装や飾り物、雰囲気が垢抜けていて、質素でナチュラル。とても素敵な山小屋にいるようだ。店の主人達の性格もたぶん混ざり合い、ただの酔っ払いのオヤジからすると、心が洗われた気分になる空気感だ。

ペグとは、テントやタープの張り紐を固定するアンカーのこと。大事なものをしっかりとつなぎ止める絆のような道具だ。その名前から、そんな若いマスターの決心のようなものを感じるのは私だけだろうか。心が汚れたおじさん達こそ、ぜひこの店に来てほしい。そんなオアシスなのだ。

洗練された店内の雰囲気と料理。日本酒好きオヤジとの相性は……?

さて、夜営業ではお目にかかれないメニューに昼限定のペグドックがある。マスターの博文さん手作りのゴツいソーセージが、これまたとびきり旨いパンに挟まれて出てくる、ホットドックと言うにはあまりにも剛毅なドッグだ。それを摩利子さんの淹れたコーヒーとともに食す。

夜だけでなく、これを食べたいがために昼間も訪れるのだ。ぜひご賞味あれ。テイクアウトも可能だが、数に限りがあるので、どうしても食べたい人は事前に予約すると良いだろう。

ペグドックはマジでクセになる。

ランチ限定のペグドック。パンとのサイズ感がアンバランスに感じるほど大きなソーセージがのっている

今夜の酒とアテ

酒は時期ごとのおすすめのヴァンナチュールをマスターが絶妙な加減で選んでくれるだろう。それに外れはまずない。こちらはいままでこちらで飲んだなかでの個人的ベスト8。

マスターのヒロさん一推しのワインは、「プロヴォック/フランソワ・エコ」。ガメイ(ボジョレー・ヌーヴォーにも使用されているブドウの品種)を使った軽快な味わいのなかに感じられる、深い果実味と心地よいタンニンが特長だ。
実際にフランスまで行って生産者のエコさんに会い、ワイン作りに対する情熱を肌で感じで来たそうで、思い入れもひとしお。大胆なエチケットの絵はエコさんの奥様作らしい。

アテはやはり肉料理。もちろん手作りソーセージを中心とした加工肉の料理も旨いが、なんと言っても絶品はハンバーグ。カウンターの奥のフライパンでジュージューと焼かれてやがて香ばしにおいが我の鼻をくすぐり出すと、もう食事を待つ犬のように落ち着きがなくなってしまう。

ペグ(peg)

長野県松本市中央3-3-11
TEL.0263-88-9199
営業時間:火~土12:00~17:00、18:00~23:00
※ペグドック提供時間は12:00~15:00
定休日:月曜日(日曜日は不定休)

8人程度のカウンター席と2~3人利用の立ち席。気のあった少人数で静かに飲む雰囲気。昼間は喫茶、夜は飲みがメイン(昼もお酒を味わえる)。

さらに付け加えると、店にはヒロさんが考案したオリジナルのカードゲームがある。その名も「ペグンプ」。大富豪のルールをベースにオリジナルのカードを加えて”全員で乾杯”などもあり、ワインを飲みながらカードゲームで楽しめる。

ぜひ一度は訪れて店の雰囲気を味わってほしい。きっと常連になってしまうだろう。

松本前泊からの西穂独標

松本を起点にする登山ルートは数限りない。そんななかで毎年初冬に訪れるのは西穂独標だ。

松本からバスを乗り継いで新穂高温泉まで入り、ロープウェイで一気に標高2,100mまで上がると、そこはすでに銀世界。西穂山荘というしゃれた山小屋もあり、天気が良ければ小屋から往復2~3時間で西穂独標のピークに立てる。その奥にある西穂高岳ほど厳しくはなく、岩稜を含む本格的な雪山の入門コースと言える。そのため、雪山を始めて間もない登山者からのガイド依頼が多い山だ。

少し前までは松本発の10時台のバスがあり、東京で朝一の特急あずさに乗れば間に合ったのだが、いまはそのバスもなくなってしまい(季節運行)、その日のうちに山小屋まで登るには朝の7時台のバスに乗らなくてはならなくなった。

おかげで都内からの始発では間に合わなくなり、松本で前泊をしなくてはならなくなった。喜んでいいのか悲しんでいいのか……。やっぱり喜ぶべきだろう。松本の夜は楽しいのだから――。

雪山入門として人気の西穂独標

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PROFILE

川名 匡

PEAKS / 山岳ガイド

川名 匡

「K&K山岳ガイド事務所」主宰。日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドステージⅡ。 登山歴45年、ガイド歴25年のベテラン。神奈川県・横須賀を拠点に各地の山を飛び回る。 山業界きってのグルメ通であり、下山後のうまい酒とメシが欠かせない。

川名 匡の記事一覧

「K&K山岳ガイド事務所」主宰。日本山岳ガイド協会認定山岳ガイドステージⅡ。 登山歴45年、ガイド歴25年のベテラン。神奈川県・横須賀を拠点に各地の山を飛び回る。 山業界きってのグルメ通であり、下山後のうまい酒とメシが欠かせない。

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