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タイプの違いを知り、適切なテントを選ぶ【後編】|PEAKS MOUNTAIN GEAR COLLECTION 2023

夜から朝の時間も楽しまないと、山の本当の魅力はわからない。それもできれば、薄い生地の向こうは大自然というテント泊で風を感じ、動物や鳥の声を聴き、太陽と星の動きを感じたい。快適にすごせるテントを選べば、そこはもう、その日だけの小さなホテルだ。

編集◉PEAKS編集部
文◉高橋庄太郎
写真◉猪俣健一

タイプの違いを知り、適切なものを選ぶ

現代の山岳用テントの中心は、ポールを組み合わせるだけで立体化する“自立式”で、これは地面が硬い場所でも簡単に設営できるタイプである。また、テントの構造としては、居住空間であるインナーテントの上に屋根となるフライシートをかぶせることで内部と外界の間に二枚の生地の壁ができ、防水性や通気性が高まって快適に使える“ダブルウォール”タイプが主流だ。ゆえに、新しく開発されるテントは“自立式のダブルウォール”タイプが大半である。だが、ペグを打たねば自立しない“非自立型”には主に重量面でメリットがあり、テントそのものに防水性を持たせてフライシートを省いた“シングルウォール”タイプも設営の簡便さなどの長所をもっているため、根強い人気を持っている。しかし、初めてテントを購入するのならば、やはりおすすめは自立式ダブルウォールタイプのテントだ。初心者はいうまでもなく、あまりテントに慣れていない人でも直感的に設営でき、雨除けのフライシートの力で悪天候時も不快な思いをせず、テント内ですごしやすい。いくらか華奢な素材や構造になるが、1㎏を切るモデルも続々と登場し、選択の幅も広い。

シートゥサミット/イコスTR2

余裕の広さでベースキャンプにも

215㎝の縦幅に対し、横幅は135cmもあり、3人でも使えるサイズ感。インナーテントとフライシートには厚手の生地が使われていて少々重いが、その分だけタフだ。メッシュ使いの通気性など居住性も高く、ベースキャンプとして長期滞在に使うのもいい。

  • 価格:55,990円
  • 最小重量:2,154g
  • 収容人数:2名
  • (問)ロストアロー
天井部分には立体的なベンチレーター。テント内の湿気と熱気を効率よく排出する

ニーモ/ホーネットエリートオズモ1P

徹底的な軽量化で、驚異の600g台

テントを真上から見ると、メインのポールはY字型。最低2カ所にペグを打てば立体化する“半自立式”だ。最低限のポールと超薄手素材による軽量化は驚異的レベルに達し、1人用で657gを実現。だが内部は狭い足元でも幅81cmを確保し、想像以上に余裕がある。メッシュ製のインナーテントは通気性が高く、蒸し暑さに対応。

  • 価格:70,400円
  • 最小重量:657g
  • 収容人数:1名
  • (問)イワタニ・プリムス
インナーテント真上には、プロペラのような形状の樹脂製パーツ。頭部空間を広げる

ライペン/トレックライズ2

居住性に加え、通気性までアップ

ライペンの定番であるトレックライズの基本構造はそのままに、出入り口を両側に設けた派生的モデル。2人で使った際にはそれぞれが専用の出入り口を確保でき、居住性が格段に高まっている。フライシートも通常のグリーンからオリーブ色に変更されている。

  • 価格:74,800円
  • 最小重量:1,800g
  • 収容人数:2名
  • (問)アライテント
出入り口が2カ所あれば、テント内に風を通しやすい。換気性が抜群だから涼しい

スナグパック/イオノスフィア

耐風性が高い、低めのトンネル型

出入り口と足元にポールを位置させ、前後からペグでテンションをかけて立体化させる非自立式。耐水圧が非常に高い厚手の生地なのに、重量は1.5㎏程度に抑えられている。この形状は確実に固定さえできれば風に強く、悪天候時でも安心だ。買いやすい価格もありがたい。

  • 価格:35,200円
  • 最小重量:1,520g
  • 収容人数:1名
  • (問)ビッグウイング
足元にポールを通し、最低限の高さを確保。その位置に開閉可能なベンチレーターがある

ビッグアグネス/タイガーウォール UL2ソリューションダイ

環境に配慮した素材を活用

商品名の“ソリューションダイ”とは、製造時のエネルギーと水の使用を最大限に減らした製法の素材。しかし携行性や快適性は犠牲にせず、超薄手の生地で重量992gを成し遂げている。インナーテントには全面的にメッシュ素材を使用し、蒸し暑い日本の気候に向いている。

  • 価格:76,780円
  • 最小重量:992g
  • 収容人数:2名
  • (問)ケンコー社
インナーテントの頭上から足元に巨大なポケットがあり、荷物の片づけに重宝する

ヒルバーグ/ニアック1.5

フライシートだけでも大活躍

サイドから風を通すフライシートと、通気性が高いインナーテントは、トグルで連結。ポールを差し込むと一気に立体化し、設営がスムーズだ。インナーテントを外せば、フライシートだけでスクリーンシェルターのようにも利用することができ、応用度が広がる。

  • 価格:135,300円
  • 最小重量:1,600g
  • 収容人数:1~2名
  • (問)エイアンドエフ
経年劣化する防水コーティングなしでも雨を浸透させないケルロン素材を使用

ヘリテイジ/トレイルシェルター2

超軽量! ミニマルなシェルター

トレッキングポールを2組使用し、前後でフレームを形成。2人分の空間を作り、一晩を明かせる。ガイラインをうまく使えば、トレッキングポールなしでも設営可能だ。ただし耐候性には限度があり、使用は晴天時、もしくは緊急対策にとどめたい。

  • 価格:45,650円
  • 最小重量:438g
  • 収容人数:2名
  • (問)ヘリテイジ
110cmに合わせたトレッキングポールを組み合わせ、正三角形の内部空間を生み出す

ライペン/ライズ1

シンプルな構造で驚異的な設営時間

2本のポールをスリーブに差し込むだけで立体化。ペグを打つ時間を含めても、慣れれば2~3分で設営できる。フロアにはL字型のファスナーがついていて、地面を露出させることができ、雨天時はそこで濡れずに靴を履いてから外に出ていくなどという使い方も可能だ。

  • 価格:40,700円
  • 最小重量:880g
  • 収容人数:1名
  • (問)アライテント
ベンチレーターは片方が高い位置で、もう片方は低い位置。これが空気の流れを生み出す

モンベル/ステラリッジテント1&レインフライ

4色から選べるレインフライ

本体とフライシートが別売りで、フライはブルー系など好きな色を選べる。設営しやすいシンプルな構造で居住性も高く、リーズナブルな価格もあって、いまや日本中でもっともよく見かけるモデルだが、それだけにフライの色で自分のテントを識別できるのは便利だ。

  • 価格:32,450円(ステラリッジテント本体)、15,400円(レインフライ)
  • 最小重量:800g(本体)、340g(レインフライ)
  • 収容人数:1名
  • (問)モンベル
レインフライのフックはテントのゴム製ループに引っ掛けるだけ。すばやい設営ができる

プロモンテ/VL-26T

身長が高い人に適したロングタイプ

日本メーカーのテントは200~210cm前後の長さが多く、しかも上に向かって傾斜している。だから背が高い人にはかなり窮屈だ。そこで登場したのが225cmのロングタイプ。180cmを超える人でも余裕を持って使用できる。防水性や通気性にも間違いがなくて、快適だ。

  • 価格:68,200円
  • 最小重量:1,385g
  • 収容人数:2名
  • (問)エイチシーエス
フックはひねって掛け、ひねって外す独自の形状。慣れれば設営/撤収がスピーディだ

 

※この記事はPEAKS[2023年4月号 No.159]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

 

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