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群像撮影、アベンジャーズ風|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #14

山小屋まわりのドラム缶の上にたまった雨水が、気づくと薄氷に変わる今日このごろ。朝夕の冷え込みは下界のそれとは訳が違い、ダウンジャケットの使用も視野に入れる季節になっている。ライチョウも秋羽になり足回りの羽毛が増量され、もともとなかなかの視覚的悩殺力を有する御御足の魅力を飛躍的に増大させている。また子育てもおおよそ終わり、地域ごとの集団生活へと生活形態も変化する時期である。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

「群像撮影、アベンジャーズ風」

9月も半ばをすぎると初夏に生まれたヒナたちも親と遜色のない大きさにまで成長する。ライチョウ社会ではここまで成長すると、周辺地域の個体で集まりコミュニティを形成する。具体的には、これから訪れる厳しい冬を前に、共に越していく仲間たちとのすり合わせを兼ねた群れを作っていく……ということである。
また必ずしも群れを成すわけでもなく、単独であったり2~3羽の少数の組み合わせも存在する。一方で、知人曰くであるが、20羽以上の秋群れに会ったという例もある。

私が例年交流を深めている地域のみなさんはというと、その構成はシーズンによってまちまちである。
ライチョウの生存率と照らし合わせると、母鳥1羽に対して2ないし3羽の子どもたちが同伴している。運が良ければ(母鳥の手腕も影響するが)ひと家族だけで6~7羽ということもあるのだが、秋群れは近隣の家族(隠居していたオス鳥たちも含む)が幾つか合流して形成されるため10羽程度の群れになることは十分にあり得る。
またライチョウは1日の生活において、群れになる時間とバラで活動する時間とがある。
ただ毎年同じ動きをするとは限らないので、シーズンごとに下調べをして彼らの動向を探り、お目当てのシチュエーションが発生する機会を伺う。

稜線の端端を彼らを求めて歩を進める。ガレ場を上っては下り、それをいくつか繰り返した先で数羽の群れを視界に捉えた。彼らを刺激しないようにホルスターから長玉を取り出す。基本的に最初は長玉による望遠撮影からはじめてから次第に広角レンズを使用しての撮影に移行するのが常套手段である。
観察をはじめて少し経つと、視界の端からさらなる群れが現れる。
気付けば計13羽の群れが形成されていた。

今回は、さながら映画『アベンジャーズ』のワンシーンのように、一堂に立ち並ぶ秋群れのライチョウたちを撮した一枚。
これは実際にやってみないとわからないことだと思うのだが、これだけの数のライチョウたちを構図を考えつつ一枚のなかにまとめるというのは意外と難しい。今回も脳内ストレージから理想の在庫を引っ張り出し、また自分の理想を具現化することができた。

今週のアザーカット

写真展やイベントの告知などを兼ねてインスタグラムなどで写真や動画をたまに投稿しているのだが、過去の投稿にて「私を中洲にして流れていくライチョウたち」などの動画もあげている。なんだかんだでライチョウの写真はあまり載せていない(ちゃんとした作品はちゃんとした機会に公開する派)のだが、興味があれば覗いていただけると嬉しいです。

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

 


 

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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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