保温力だけではなく、登りたい山をイメージしながら選ぼう【ウィンターブーツ】 | WINTER GEAR CATALOG あなたのほしい雪山ギアがみつかる
PEAKS 編集部
- 2023年12月20日
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好評発売中「PEAKS 2024年1月号（No.163）」より、誌面記事の一部をご紹介します！
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雪山といっても標高の高い山岳地帯と積雪エリアの低山では、登山靴に求める機能は異なる。共通しているのは保温力だ。雪や冷気から足を守るために保温素材を封入したり、インナーを内蔵したりして保温力を高めている。標
高の高い山岳地帯での雪山登山靴には、クランポンを装着するためのコバと雪面を蹴り込めるほど硬いソールは欠かせない。
長期間の雪山などのよりシビアな登山であれば、重量にも注目すると一歩一歩の疲労感を軽減できる。積雪エリアの低山でのシューズには、チェーンスパイクを装着したうえで軽快に歩けるほどの適度なやわらかさのソールが必要だ。
編集◉PEAKS編集部
文◉大堀啓太（ハタケスタジオ）
写真◉熊原美恵
ウィンターマウンテニアリングブーツ
積雪した標高の高い山岳地帯を登るための機能を備えた登山靴を、ここではウィンターマウンテニアリングブーツと呼ぶ。その機能や大きく3つに分けたタイプの特徴を紹介するので、参考にしてほしい。
①レザー・シングルタイプ
アッパー素材にレザーを採用したシングルタイプ。レザーは、保温性があって暖かく、剛性も高いために曲げやねじれにも強く安定感がある。メンテナンスしながら大事に扱えば長く使える耐久性も備えている。快適さが高い分、重量がかさむのがデメリット。
②化繊・シングルタイプ
アッパー素材に化学繊維を採用したシングルタイプ。レザー・シングルタイプに比べて、軽量なため一歩一歩の疲労感が軽減される。抑えめな価格帯もメリットのひとつだ。しかし、耐久性や保温性に関しては、レザー・シングルタイプに劣ってしまう。
③ゲイタータイプ
靴とゲイターを一体化させたタイプ。ゲイターによって足首から靴全体を覆うようにカバーできる2層構造のため、
高い保温力と軽さを両立。ブーツ内への雪の侵入も軽減できる。価格帯は高いものの、雪山で足さばきを軽快にできるメリットは大きい。
◉対応クランポン：C ／クリップオン（ワンタッチ）、H ／ハイブリッド（セミワンタッチ）、S ／ストラップ
▼①レザー・シングルタイプ
足元の絶対的な暖かさ。「ローバー／アルパインエクスパート Ⅱ GT」
400g/㎡ものプリマロフトのシートで、足全面をカバーした高い保温力を備えている。ベロ部には、固さの異なる素材を適所に配置したC4タンを採用し、足首周りのフィット感と動きやすさを高め、長時間でも快適に行動できる。
- 64,900
- サイズ：UK6 ～ 11（24.7 ～ 29.0cm）
- 重量：約900g（UK8 ／片足）
- 保温素材：プリマロフト
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）イワタニ・プリムス
1．保温素材入りの暖かさ
雪や氷点下を下回る冷気から足を守るために、プリマロフトやゴアテックスインサレーテッドコンフォートなどの保温素材が封入されている。モデルによっては、断熱材を使用したインナーで保温しているものもある。
２．クランポン対応のコバを装備
コバとはつま先やかかとにある溝のことで、クランポンの金具をかけて装着するポイントだ。コバによっては、装着できるクランポンの種類が変わる。それぞれの靴の対応クランポンも紹介するのでチェックしよう。
３．雪面も蹴り込みやすい高い剛性
クランポンとの装着相性や雪面行動を重視したソールは硬く作られている。凍りついた雪面に足を蹴り込むときでも足先までパワーをしっかりと伝えられ、ソールが曲がってしまうことによるクランポンの外れを防ぐ。
雪山登山靴とは思えない軽快さ。「スカルパ／モンブランプロGTX」
動きに追従する柔軟性を備えた足首周り、足全体が包み込まれるような高いフィット感、無駄を削ぎ落したアッパーデザインで、軽快な行動をサポート。カフ上部にはゲイターを装備し、雪の侵入とヒートロスを防ぐ。
- ¥91,850
- サイズ：EU39 ～ 48（24.5 ～ 32.0cm）
- 重量：約900g（EU42 ／片足）
- 保温素材：ゴアテックス・インサレーテッド
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）ロストアロー
雪山でよく見かける黄色いやつ。「スポルティバ／ネパールエボ GTX」
アッパーには、足なじみのいいスエードレザー（防水加工済み）を採用。足首は高めだが、可動域を広げる3Dフレックスシステムにより軽快に行動できる。足と一体化するようなフィット感と高い保温性に定評がある。
- ¥89,100
- サイズ：EU36 ～ 48（約23.0 ～ 29.0cm）
- 重量：約1,040g（EU42 ／片足）
- 保温素材：ゴアテックス・インサレーテッドコンフォート
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）日本用品スポルティバジャパン・ディビジョン
フィット感高く、頼もしい重厚さ。「ザンバラン／マウンテンプロ EVO GT RR PU M’s」
防水加工を施した2.6 ～ 2.8mm厚のペルワンガーレザーをアッパーに使用して、保温性と堅牢性を高めている。インナーのタンは上下に可動できる仕様で、それぞれの足型に合わせて甲部のフィット感を調整可能。
- ¥80,300
- サイズ：EU40 ～ 48（約25.0 ～ 29.0cm）
- 重量：約915g（EU42 ／片足）
- 保温素材：ゴアテックス・インサレーテッドコンフォート
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）キャラバン
▼②化繊・シングルタイプ
雪山のオールラウンダー。「アゾロ／6B+ GV」
アッパーには、耐摩耗性に優れたショーラー社のケプロテックを採用。足首周りは高いサポート力と運動性を両立したデザインで、シーズンを通して使える保温性を備え、雪山登山からアルパインクライミングまで活躍。
- ¥66,000
- サイズ：UK6 ～ 10（約25.0 ～ 29.0cm）
- 重量：約910g（UK8 ／片足）
- 保温素材：ゴアテックス・インサレーテッドコンフォート
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）モンベル
お手ごろ価格、なのに驚きのスペック。「モンベル／アルパインクルーザー2800」
圧倒的な軽さと厳冬期の雪山登山にも対応する保温性も両立しながら、手に取りやすい価格帯ではじめの一足にも選びやすい。足型が広い登山者用に、ワイドモデルをラインナップしているのは、さすが日本のメーカー。
- ¥50,600
- サイズ：22.0 ～ 29.0cm
- 重量：822g（25.5cm ／片足）
- 保温素材：ゴアテックスデュラサーモ
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）モンベル
軽快さ重視のテクニカルブーツ。「ボリエール／アルワ」
履き口に伸縮性のあるベルクロテープを備えた軽量なテクニカルブーツ。ベルクロテープを締めることで、足首のサポート力を高めながら、雪の侵入も防ぐことができる。ウインタークライミング全般に対応する一足。
¥75,680
サイズ：UK5 ～ 13（23.0 ～ 31.0cm）
重量：830g（UK7 ／片足）
問ロストアロー
保温素材：シングルレイヤー・シンサレート
対応クランポン：C、H、S
▼③ゲイタータイプ
高所登山にも対応する圧倒的な保温力。「マムート／ノードワンド 6000 ハイ」
商品名の通り6,000m級の山にも対応できるモデル。工業炉用の断熱材にも使われるほどのアルミナ断熱材と二重断熱されたカーボンインソールで、圧倒的な保温力を誇る。インナーブーツのBOAフィットシステムは、グローブのままスムーズに調整可能。
- ¥121,000
- サイズ：UK6 ～ 12（約24.5 ～ 30.5cm）
- 重量：約990g（UK8.5 ／片足）
- 保温素材：アルミナ断熱材
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）マムートスポーツグループジャパン
軽さも保温性も妥協しない。「スカルパ／ファントムテックHD」
雪山登山からアイスクライミングまで対応するゲイタータイプ。片足800gと圧倒的に軽く、足首周りの柔軟性も高いために軽快に行動することができる。ゲイターの履き口にはフィット感を調整できるドローコードを装備し、雪や冷気の侵入をしっかり防ぐ。
- ¥116,600
- サイズ：EU37 ～ 48（23.0 ～ 32.0cm）
- 重量：800g（EU42 ／片足）
- 保温素材：プリマロフト
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）ロストアロー
フィールドでの実用性も追求。「ザンバラン／アイガー LITE GT RR BOA PU」
3,000m級の冬期登山を想定したモ
デル。グローブ装着時でも操作しや
すいように、BOAフィットシステム
の大きめのダイヤルをブーツ外側に
備え、フロントの止水ファスナーに
は大きめのタブが付けられている。
- ¥110,000
- サイズ：EU40 ～ 48（約25.0 ～29.0cm）
- 重量：約883g（EU42 ／片足）
- 保温素材：ゴアテックス・インサレーテッドコンフォート
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）キャラバン
保温力まで調整できる万能さ。「ザ・ノース・フェイス／サミットトーレエガーフューチャーライト」
スピード重視の冬期登山スタイルモ
デル。保温性を備えながら片足
681gと抜群の軽さを誇る。約3㎜
の保温タイプと約1㎜通気タイプの
2つのソックライナーが付属し、山
域や季節に合わせて機能調整が可能。
- ¥89,100
- サイズ：US5 ～ 12（約23.0 ～30.0cm）
- 重量：681g（US9 ／片足）
- 保温システム：「保温」と「通気」2種類のインナーソックスが付属
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）ゴールドウインカスタマーサービス
冬期テクニカルブーツの最高峰。「スポルティバ／G-サミット」
アイスクライミングなどのテクニカルな登攀や、高所登山に適した保温性と軽さを備えたダブルブーツ。インナーブーツは、デッドエアを確保する4層のコアラップセル構造で、軽さと保温性を両立している。
- ¥143,000
- サイズ：EU37 ～ 48（約23.5 ～ 29.0cm）
- 重量：850g（EU42 ／片足）
- 保温システム：4層構造のインナーブーツ
- 対応クランポン：C、H、S
- （問）日本用品スポルティバジャパン・ディビジョン
スノーハイキングシューズ
積雪エリアの低山ハイキングや雪原でスノーシューを楽しみたいなら、保温性と軽快さをもったスノーハイキングシューズが必要だ。3シーズン用トレッキングシューズから履き替えて、快適さを手に入れよう。
冬期ハイキングを軽快にする一足。「サロモン／X ウルトラ 4 ミッド ウィンターシンサレートクリマサロモン ウォータープルーフ」
トレイルランニングシューズの軽快さを備えながら、200gもの3Mシンサレートインサレーションを封入することで高い保温性も両立。独自の防水透湿メンブレンのクライマサロモンウォータープルーフを採用し、ドライ感が持続する。
- ¥24,200
- サイズ：25.0 ～ 28.5cm
- 重量：437g（27.0cm ／片足）
- 保温素材：3Mシンサレートインサレーション
- 対応ギア：チェーンスパイク、スノーシュー
- （問）サロモン
１．足先が冷えない保温性
3シーズン用トレッキングシューズとの大きな違いは、保温素材が封入されていること。標高の高い山岳地帯ほどシビアな環境ではないが、雪や冷気によって足先は冷やされるため、保温性は欠かせない機能だ。
２．踏み込みやすい適度な剛性
雪上での歩きやすさを重視しているため、ソールは適度にやわらかい。クランポンは装着できないが、チェーンスパイクやスノーシューは装着可能で、凍結した登山道や目の前に広がる雪原でも軽快に行動できる。
あのターギーの履き心地を冬にも。「キーン／ターギー レースブーツ ハイ ポーラー ウォータープルーフ」
キーン定番のトレッキングシューズであるタ
ーギーのウィンタータイプ。保温素材が封入
されたハイカットのブーツタイプでとても暖
かく、かかとを固定してくれるヒールキャプ
チャーシステムでフィット感も高い。
- ¥26,400
- サイズ：25.0 ～ 28.0、29.0、30.0cm
- 重量：685g（27.0cm ／片足）
- 保温素材：キーン・ウォーム
- 対応ギア：チェーンスパイク
- （問）キーン・ジャパン
世界中から愛されるウィンターシューズ。「メレル／MTL サーモローグ 4 ミッド ゴアテックス」
機能性が高く評価されて愛用者が多いため、4回ものアップデートを重ねたメレルのウィンターシューズの最高峰。2種類の保温素材を採用して高い保温力を備え、透湿防水素材のゴアテックスがシューズ内をドライに保つ。
- ¥38,500
- サイズ：25.0 ～ 28.0、29.0、30.0cm
- 重量：約570g（27.0cm ／片足）
- 保温素材：プリマロフトゴールドエコ
- 対応ギア：チェーンスパイク、スノーシュー
- （問）丸紅フットウェア
山から街まで活躍するデザインと機能。「モンベル／ネージュウォーカー Men’s」
アッパーにやわらかな履き心地の素材を採用することで、積雪の低山ハイキングからスノーシュー、冬のタウンユースにも活躍する使い回しがいい一足。アウトソールのアイスグリッパーは、凍結路面でも安心のグリップ力。
- ¥21,560
- サイズ：24.0 ～ 29.0cm
- 重量：428g（25.5cm ／片足）
- 保温素材：シンサレート
- 対応ギア：チェーンスパイク、スノーシュー
- （問）モンベル
残雪期まで見据えるなら、この一足。「シリオ／P.F.731 AS」
ハイブリッド（セミワンタッチ）タイプのクランポンまで装着でき、積雪低山から残雪期登山まで活躍する一足。日本人の足型を研究した専用設計は日本メーカーならではで、足入れだけでもフィット感の高さを実感できる。
- ¥47,300
- サイズ：23.5 ～ 29.0cm
- 重量：約760g（26.0cm ／片足）
- 保温素材：ゴアテックス・インサレーテッド
- 対応ギア：チェーンスパイク、スノーシュー、H.S
- （問）シリオ
※この記事はPEAKS［2024年1月号 No.163］からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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編集◉PEAKS編集部
文◉大堀啓太（ハタケスタジオ）Text by Keita Ohori
写真◉熊原美恵 Photo by Yoshie Kumahara
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
