プロトレイルランナー井原知一が「バークレーマラソンズ」に挑む。ドキュメンタリー映画『メインクエスト バークレーマラソンズに導かれし者たち』公開
山本 晃市
- 2024年01月06日
“悪魔のレース”と呼ばれる「バークレーマラソンズ」。過酷なレースの真髄と本大会に挑み続ける井原知一の境地に迫るドキュメンタリー映画の配信公開がいよいよ始まる。
文◉山本晃市(DO Mt.BOOK)
写真◉藤巻 翔
Profile
井原知一 いはら・ともかず
1977年、長野県長野市生まれ。プロトレイルランナー、トレーニング・アドバイザー。人生のプライオリティは「家族、仕事、トレラン」の順。自身で掲げた「100miles, 100times」に挑み、2023年までに100マイル完走数70。「夢は大きく、目標は小さく」「住所は宇宙、毎日が奇跡」など心に残る金言とともに、自らの行動による多くのメッセージを発信し続けている。
すべてがクレイジー、謎のベールに包まれた“悪魔のレース”
距離100マイル以上、累積標高差2万4,000m以上、制限時間60時間。過去最速優勝タイム52時間。コースマーキングの一切ないフィールドでチェックポイントをクリアしつつ、フィニッシュを目指す。過去36年間での完走者15名、完走率1%未満。
体力、走力、技術、知識、ナビゲーション能力、精神力……、あらゆる山岳踏破能力を要求される。
世界一過酷なレースと評される本大会の難易度の高さは、コース設定やレギュレーションだけではない。大会情報も一切公表されず、エントリー方法すら自ら調べる必要がある。
日本屈指のプロトレイルランナー井原知一が過酷かつ破天荒な本レースの存在を知り、その魅力にとりつかれる。以後、大会への出走、完走をすべく、あらゆる手を尽くす。
2018年、ついに願いが叶い、オーガナイザーのゲイリー・カントレルからメールが届いた。
「残念ながら当選しました。これから先いいことはひとつも起きません。完走できるなんて微塵も思わないでください。あたなを選んだのは、あなたが嫌いだからではありません。いい人にも悪いことは起きるようです。あなたの夢は決してかないません。それでもよければお越しください」(井原訳)
通称“お悔みメール”。
メールを受け取った井原は、あくまでもクールに闘争心を燃やした。
“バークレー・ドランカー”井原知一。通称TOMO
「Help is not coming――もちろん助けは来ません」(井原訳)
この言葉をキャッチフレーズとする本大会は、すべてがクレイジー、しかも謎のベールに包まれている。
だからこそ、と井原は語る。
「バークレーマラソンズ、そこは夢の墓場と言われる場所。出走者に保障されているのは失敗のみ。でも、それって自分にとっては最高のロマンかな」
“バークレー中毒”。
井原はさらに続ける。
「夢は叶えるもの、夢は続きます」
自ら掲げた壮大な目標、「100miles, 100times」。
そのコレクションに本レースを加えるべく、2023年度も井原は「バークレーマラソンズ」のスタート地点に立った。
4度目の挑戦。
どんな走りを魅せてくれるのか……。
「メインクエスト バークレーマラソンズに導かれし者たち」は、準備段階から井原を追い続けたドキュメンタリー作品だ。
公開予定、1月7日。
「バークレーマラソンズ」の悪魔的な魅力、そして井原の不屈のスピリット。
瞬きのできない、貴重な記録映像を目にすることになる。
(文中:敬称略)
「メインクエスト バークレーマラソンズに導かれし者たち」
出演:井原知一
監督/編集:上原源太
プロデューサー:藤巻 翔
撮影:井上典慎(Nowri)、藤巻 翔
音楽:nobsemilong
語り手:上原源太
ナレーション:福田ゆうあ
デザイン:井口 創
写真:藤巻 翔
翻訳:中島良平、Aidan Walsh、Marco Lui
1月7日午前0時より以下にて配信公開(有料)
https://vimeo.com/ondemand/mainquest001(日本語版)
https://vimeo.com/ondemand/mainquesteng(英語版)
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PROFILE
PEAKS / 編集者・ライター
山本 晃市
山や自然、旅の専門出版社勤務、リバーガイド業などを経て、現在、フリーライター・エディター。アドベンチャースポーツやトレイルランニングに関わる雑誌・書籍に長らく関わってきたが、現在は一転。山頂をめざす“垂直志向”よりも、バスやロープウェイを使って標高を稼ぎ、山周辺の旅情も味わう“水平志向”の山行を楽しんでいる。頂上よりも超常現象(!?)、温泉&地元食酒に癒されるのんびり旅を好む。軽自動車にキャンプ道具を積み込み、高速道路を一切使わない日本全国“下道旅”を継続中。
山や自然、旅の専門出版社勤務、リバーガイド業などを経て、現在、フリーライター・エディター。アドベンチャースポーツやトレイルランニングに関わる雑誌・書籍に長らく関わってきたが、現在は一転。山頂をめざす“垂直志向”よりも、バスやロープウェイを使って標高を稼ぎ、山周辺の旅情も味わう“水平志向”の山行を楽しんでいる。頂上よりも超常現象(!?)、温泉&地元食酒に癒されるのんびり旅を好む。軽自動車にキャンプ道具を積み込み、高速道路を一切使わない日本全国“下道旅”を継続中。