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ベトナム・カットバ島で世界的に有名なハロン湾へ|筆とまなざし#363

ジャングルでのクライミング、そしてフローティングハウスが集まるクアヴァン村へ。

二日続けてバタフライバレーで登った。どのルートもクオリティーが高くておもしろいものばかりだった。ボルトや終了点もしっかり整備されていて安心してトライできる。トポを見ると2007年ごろからカットバ島を訪れた欧米人クライマーによって開拓されたものであることがわかる。今回、岩場で出会ったクライマーは欧米からやってきた人々ばかりで、ベトナムの人々がクライミングを楽しんでいるという印象はなかった。

バタフライバレーの真ん中にドラゴンケイヴという、大きなオーバーハングを有したセクターがあった。そこがバタフライバレーのみならずカットバ島のクライミングの目玉とも言える場所だった。今回はやさしめのルートしか登れなかったが、どこにあっても四つ星の「PAPPI’S PARADISE 7a」というルートがとくに印象的だった。惜しいのはこの場所が鬱蒼とした森のなかにあることである。東南アジアのクライミングといえばビーチに面した開放的な雰囲気をイメージしていただけに、ずいぶん趣が違った。もちろん、このジャングルも東南アジアらしいといえばらしいのだけれど。

カットバ島を世界的に有名にしているのが北部に広がるハロン湾である。石灰岩の岩峰がニョキニョキと海から聳り立つ多島海でその風景は独特の雰囲気を醸し出している。さらにハロン湾が珍しいとされるのは、海の上に村があることである。クアヴァン村というフローティングハウスが集まった水上村にはおよそ700人の人々が漁を営みながら暮らしているといわれる。しかしハロン湾の風景や村を見ようにも船でしか行くことができない。いちばん手っ取り早い方法は現地ツアーに参加することである。バタフライバレーから町に戻ったその足でツアー会社を訪ね、翌日のツアーに申し込みをして宿に戻った。

翌朝8時に宿の前に迎えがきてくれた。島の北側にある船着場へ向かい、クルーズ船に乗り込む。ぼくらが参加したツアーには20名ほどの旅行者が参加していた。生憎の雨模様だが、霞んだ空気が風景によく似合っているように思えた。出港してすぐにクアヴァン村を通りすぎた。色とりどりの家がモノクロームの風景に鮮やかに浮かんでいる。学校も海の上にあるらしい。幌がついた小さなボートが行き交い、人々の日常生活が垣間見られる。

島を縫うように進んだクルーズ船は1時間ほどで錨を下ろした。ここでカヤック体験をするらしい。シーカヤックは数回しか漕いだことがないけれど、いきなり舟に乗せられて海へと漕ぎ出る。思いのほかカヤックは安定していて、凪いだ水面を進んでいく。ガイドの漕ぐカヤックを追ってアーチ状になった岩をくぐり、狭い洞窟を通り抜けるとポッカリと空が円形に空いた静かな場所に出た。周囲をぐるりと岩で囲まれたその空間はカヤックでしか行けない秘密の場所だった。パドルを漕ぐ手を休めて海水に手を入れると想像以上に温かかった。

クルーズ船に戻るとランチタイムとなった。生春巻きに魚料理など、コックが船上で腕を振るってくれた料理がとても美味しい。お腹が膨れるとカヤックの疲れも出てきてお昼寝モード。曇天の下を、船は今朝出発した港へ向かって静かに進んでいった。

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PROFILE

成瀬洋平

PEAKS / ライター・絵描き

成瀬洋平

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

成瀬洋平の記事一覧

1982年岐阜県生まれ。山でのできごとを絵や文章で表現することをライフワークとする。自作の小屋で制作に取り組みながら地元の笠置山クライミングエリアでは整備やイベント企画にも携わる

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