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秋群れ|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #37

安曇野ではやっと最低気温が20℃を下回る日が出てきて、多少はすごしやすくなってきた。標高500m界隈の里から見上げる北アルプス表銀座の稜線は2,700m前後であるから、その標高差はおおむね2,200mほどとなり温度差にして約13℃下げたものが山の上の気温に相当することになる。下界の残猛暑を考えればなかなかに涼やかですごしやすい。そしてこの時期は運が良ければライチョウの秋群れに出会えるかもしれない。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

秋群れ

1羽でも十分に魅力的なライチョウであるが、複数体、ましてや大群との遭遇となれば己が胸中のヒャッハー指数はうなぎ登りになること間違いない。

子育ても2カ月を過ぎ、ヒナたちも立派な若鳥に成長してきたこのころは、来たる雪の季節に向けて生息山域の生存個体が一堂に集まり群れをなし始める。個人的には「町内会の皆さんがひとっ所に集まって共同生活をはじめる」と解釈している。もっとも、集まるのは1日のあいだでも限られた時間だったりするので、この群れに出会うのには正直なところ運の要素が絡んでくる。私もいちライチョウオタクとしてぜひとも眼福にあやかりたく、毎年試行錯誤を繰り返し秋群れを探している。

あくまで個人的な認識だが、この時期のライチョウとの遭遇率は低い。

理由としては、オスは繁殖期後の隠遁生活期であるため、人目につくところにわざわざ出てこないというのと、メスに関しては子育てしている個体ならば見かけることはできるが、子育てに失敗したメスはオスと同様にひっそりと暮らしていることが多いため、同様になかなかお目にかかれない。もう少し季節が進んで本格的に秋群れが形成されるようになると遭遇率は並になるのだが、ちょうどいまはライチョウ探索不遇の時期といえる。

また先に触れたとおり、生息山域の生存個体が集まるという特性上、いる所にはまとめて居るが、かわりにほかのところには居ないというアタリハズレが顕著な状態になる。じつはこのエッセイを書いている前日まで2泊で稜線に上がっていたのだが、探せど探せど彼らの姿を捉えることが叶わなかった。こういうときは頭を空っぽにして呆けながら散策しているほうが不意に会えたりするのかもしれない。

さて、本来なら撮りたてホヤホヤの一枚をお送りしたかったのだが叶わず、別の年に会うことのできた秋群れのみなさんの姿を紹介したいと思う。

今回の一枚は成長した若鶏を含め地域のライチョウさんが一堂に会した群の姿である。密集度が極めて高く、この画角に11羽(わかりづらいものも含めて)が写り込んでいる豪華なショットである。このような団体さんで見かけることができるのは限られたタイミングでしかないので、もし山で遭遇できることがあれば、彼らを刺激することなく、ゆっくりその大興奮の場面を堪能していただければと思う。

 

今週のアザーカット

およそ2日間の捜索もむなしく秋群れに会うことが叶わなかった下山前日の夜。宿泊先の窓に彼らへの募る想いを走らせました。基本的に山では隠密で行動しているので、いつどこの山小屋でということは申しませんが、もしかしたらまたどこかの山小屋などで想いをこじらせた私が落書きしているかもしれません(笑)。

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら

 


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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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