雪山装備のギアといえばアイスアックス。どんなルートを登りたいかをイメージしよう。|PEAKS 2025年1月号(No.169)
PEAKS 編集部
- 2024年12月02日
INDEX
雪山装備のギアといえばアイスアックスだろう。ドイツ語でピッケルともいう。アイスクライミング用もそのうちだが、ここでは縦走用のアイスアックスを紹介する。
主な使い方は、歩行時のバランス取り、斜面での手掛かり、耐風姿勢の支持支点、滑落停止時のブレーキだ。使いやすさを決める重要なポイントは長さで、身長だけではなく登るルートによっても適切な長さが変わる。まずはどんなルートを登りたいかをイメージしよう。
なだらかな山なら長めがバランスを取りやすく、急斜面が多ければ短めが取り扱いやすい。理想はルートに合わせて複数持つことだが、まずは選ぶポイントを参考に好みの一本を選んでほしい。
編集◉PEAKS編集部
文◉大堀啓太(ハタケスタジオ)
写真◉熊原美惠
各部名称
①ヘッド
歩行中に手で握る部分。形状や仕様によって持ちやすさが左右される。
②ピック
雪面に突き刺せる尖った先端。滑落停止時などには、この部分を活用。
③アッズ
雪や氷を削るときに使用。斜面に足場や幕営地などの平面を作りだせる。
④シャフト
ピックやアッズを使うときに握る柄。握りやすさを考えられた形状もある。
⑤スパイク
杖のように使ってバランスを取るときに、地面に突き刺す部分。
選ぶポイント
■選ぶポイント
ヘッドの形はさまざまあり、シャフトとの結合部の形状によっても握りやすさが変わる。持ちにくいと扱いづらくて、ストレスも溜まる。雪山用のアウターグローブを着用して、実際の握り心地を確かめたい。
■シャフトの長さ
腕の長さと同程度が扱いやすい長さといわれる。ほかにも、身長マイナス110cmや、ヘッドをもって腕を下ろしたときにスパイクがくるぶしの位置にくる長さも目安になる。3つとも確かめてみるのもいいだろう。
■シャフトの形状
シャフトの形状は2種類ある。まっすぐなストレートシャフトと、曲がっているベントシャフトだ。杖のように使いやすいのがストレートシャフトで、急斜面でピックやスパイクを刺しやすいのがベントシャフトだ。
①ブルーアイス/ブラックバード
はじめての1本にもおすすめのオーソドックスなアイスアックス。シャフトの下部は滑り止め加工が施され、振り下ろし時のスリップを防ぐ。ピック・アッズプロテクターとスパイクプロテクターが付属で持ち運びに便利。
- ¥20,680
- サイズ:49、54、60、67cm
- 重量:330g(49cm)
- 問)ケンコー社
②カンプ/ネーヴェ
スタンダードな形で扱いやすく、傾斜がきつ過ぎない雪山で活躍。ピックは強度が高いクロモリスチールを、シャフトには錆に強くタフで軽量なアルミニウムを採用。上下に可動するハンドリーシュが標準装備されている。
- ¥16,500
- サイズ:50、57、65、73cm
- 重量:約475g(57cm)
- 問)キャラバン
③ペツル/グレイシャー
軽量ながら硬い雪面に対応するトレッキング用モデル。ピックは先端を3mmまで細くしたノコギリ歯状で、スパイクには強度が高いステンレススチールを採用。ヘッドの一部をプラスチック加工してグリップ力を向上。
- ¥15,730
- サイズ:60、68、75cm
- 重量:350g(60cm)
- 問)ペツルジャパン
④ミゾー/レインボー
シンプルで機能的な日本ブランドの一本。ピックとスパイクにチタン合金を採用し、軽さと強さが理想的なバランス。チタンは熱伝導率が低いため手の温度が急速に奪われにくく、錆にも強いためメンテナンス性も高い。
- ¥35,750
- サイズ:50、60、65、70cm
- 重量:390g(60cm)
- 問)ミゾー
⑤モンベル/スノーリッジ
雪山登山の一般ルートからバリエーションルートまで活躍するアイスアックス。ヘッドとスパイクには高強度のクロモリ鋼を採用し、ピックは打ち込みやすい形状を追求。ピック・アッズカバーとスパイクカバーが付属。
- ¥19,250
- サイズ:50、55、60cm
- 重量:472g(60cm)
- 問)モンベル
⑥グリベル/エアーテック EVO
ハードなルートや状況に対応する強度をもったテクニカル規格のモデル。骨形状のGボーンシャフトで軽さと強度を両立。シャフト下部はラバー仕様でグリップ力を高め、持ち運びに便利なナイロン製のカバーが付属。
- ¥31,350
- サイズ:48、53、58、66cm
- 重量:473g(53cm)
- 問)マジックマウンテン
⑦ブラックダイヤモンド/レイブンプロ
持ちやすくて握りやすいのが特長。台形断面のシャフトと、下部の溝でグリップ力を高めている。ヘッドとシャフトの結合部はくびれ形状で、指がしっかり回って握りやすい仕様。ピックとスパイクは鋭利で刺さりやすい。
- ¥19,360
- サイズ:50、55、60、65、70、75cm
- 重量:406g(60cm)
- 問)ロストアロー社
リーシュ
アイスアックスと体をリーシュで繋ぐと、転倒などによるアイスアックスの紛失を予防できる。
グリベル/ロングリーシュEVO
ラバー製のスパイクガードが付いたハンドリーシュ。使用できる最長は80cmと対応幅が広く、幅11mmのしなやかなテープは軽量でフィット感が高い。
- ¥2,750
- 重量:30g
- 問)マジックマウンテン
モンベル/2ウェイピッケルリーシュ
ハンドリーシュとしてもショルダータイプとしても2通りの使用が可能。ハンドリーシュには伸縮するエラスティックコードを採用し、体に絡みにくい。
- ¥3,850
- 重量:80g
- 問)モンベル
カバー
鋭利なピック、アッズ、スパイクは人や物を傷つけないようにカバーで覆って保護しよう。
ペツル/ピックスパイクプロテクション
ピックとスパイクの先端を保護できるキャップ。バックパックのなかでも目立つカラーで、紛失しにくいデザインを採用。さまざまなアイスアックスに対応する。
- ¥2,090
- 重量:13g
- 問)ペツルジャパン
ブラックダイヤモンド/アックスプロテクター
ピックとアッズをカバーするプロテクター。ゴムのような弾力性とプラスチックのような強さを備えたTPU素材を採用し、ドローコードでフィット感を調整。
- ¥1,760
- 重量:39g
- 問)ロストアロー
※この記事はPEAKS[2025年1月号 No.169]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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