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ナンガ 石川直樹 写真集

ナンガと写真家石川直樹さんがコラボレーション!世界TOP10の高峰ナンガパルパットの写真集

ブランド創業30周年を迎えた日本発のアウトドアブランド、ナンガ。
そのナンガから、ブランド名「NANGA」の由来にもなっているパキスタンの高峰・ナンガパルバットをめぐる写真集、そしてフォトプリントが施された寝袋、ダウンジャケットをはじめとするアイテムが発売された。

撮り手は、写真家の石川直樹さん。
地球上に14座ある8,000m峰すべてに完登した石川さんは、11座目としてナンガパルバットに登頂しており、そのさいに写した山岳風景とその名を掲げるナンガとのコラボレーションアイテムとなっている。

撮影のウラ話に、ナンガパルバットという特別な山のこと、そして次なる目標について——。

写真集発刊を記念して開催されたトークイベント、石川さんのことばとともに、“ナンガ”のスペシャルな写真集をお伝えする。

編集◉PEAKS編集部

ナンガパルバットの写真集をナンガから——そのきっかけとは?

ナンガ 石川直樹
▲マイクを手にトークする石川さん。

標高が8,000mを超える、いわゆる“8,000m峰”は地球上に14座ある。写真家の石川直樹さんがはじめてその頂を踏んだのは2001年、世界最高峰のエベレストでのことだった。

’12年にマナスル、’13年にローツェ、’14年にはマカルーと、続々とピークを極めていき、今年2024年10月4日にシシャパンマに登頂したことで、全山を制覇。日本人で2人目の14サミッター(=8,000m峰の全山登頂者)となった。

遠征中に撮影した作品をもとに、山名をタイトルにとった写真集を編んできた石川さん。今回、ナンガとコラボレーションしている「ナンガパルバット」には2022年8月にはじめて挑戦したものの、雪崩の影響により撤退を余儀なくされた。それでも、翌年の2023年7月に再挑戦し、自身の8,000峰m11座目として登頂を果たしている。

 

「2023年の1月に、渋谷で <K2 / Broad Peak / Nanga Parbat> というタイトルの写真展をやっていたのですが、そこにナンガの方が来てくださって。僕は『ナンガの会社名は、この山からきているんですよね。ナンガパルバットってどんな山か知っていますか?』というようにお話をしたんですが、あまりご存じではないようすで……」(石川さん)

たしかに、8,000m峰のなかでもエベレストやK2、マナスルといった峰々に比べて知る機会が少ない印象のあるナンガパルバット。このときは前述のように登頂が叶っていなかったため、中腹までの写真が展示されていた。

「ブランド名が“ナンガ”なのだから、もっとナンガパルバットのことを知ってほしい。この山の怖さ、ヤバさ、すごさ、強さ、めずらしさ、特別さをぜひ知ってもらいたいという思いで、今回、写真集をつくらせていただきました」

写真展での出会いを経て向かった翌年の再挑戦。その際に写し取られた風景が、写真集に収められることになった。

 

写真集 ナンガ
NAOKI ISHIKAWA NANGA PARBAT / NANGA EDITION。表紙にはナンガオリジナルの難燃素材、ヒノックを採用している。

創業者である横田晃の「困難だからこそやってやろう、みんなが登らんとこを登ったろう」という思いから名づけられたナンガとしても、これはブランドの“DNA”を社内外に改めて示すこの上ない機会。

そして今年2024年は折しも、創業30周年のアニバーサリーイヤー。

この写真集は、周年を記念するアイテムという役割も背負った、<NANGA EDITION>の特別な一冊となっている。

ナンガ 原宿 イベント
▲トークイベントの会場となった「NANGA SHOP HARAJUKU」には、60人を超える聴衆が集まった。

ナンガパルバットは“緑と高峰”がある、孤独な巨峰。

▲赤マークがナンガパルバット

 

ナンガパルバット、それはどんな山なのだろうか?

「この山は孤独な巨峰。パキスタンにはK2やブロードピーク、ガッシャーブルムなどが連なるカラコルム山脈があるのですが、ナンガパルバットだけ左下にずれていてこの山脈に入っていないんですよ。パキスタンにあるのに、山系としてはヒマラヤ山脈に属していて、ひとつだけ孤独にそそり立っているんです」

ほかの8,000m峰とは山脈をたがえたロケーションが、特徴のひとつだという。

 

ナンガ 石川直樹
▲今回、メインビジュアルにも据えられた一枚がプリントされたダウンブランケット(右)と、ロングスリーブティー(左)。

収録作品はこちらからチェック!

 

また、もうひとつの特徴が“緑のある高峰”だという。
今回のコラボレーションでメインビジュアルになった一枚を示しながら、石川さんは話す。

「この道をちょっと行くとベースキャンプ(※以下、BC)があるのですが、これだけ山に近いのに緑があるってことがとてもめずらしいんですね。(ヒマラヤ登山の場合)BCに近づいてくると、ふつうは森林限界を超えて氷河が広がっているのですが、ナンガパルバットではまだ草が生えていたり、花が咲いていたりする。こういう“緑と高峰”がある風景は、ヒマラヤのほかの13座には決してない環境なんです」

 

ナンガパルバットの標高は、世界第9位の8,126m。現地名の“ディアミール”は“山々の王”の意で、これまでに多くの遭難者を出してきた山でもある。石川さん自身も、初挑戦時には大きな雪崩が第1キャンプに襲いかかり、テントをはじめとする装備の一切を失っている。

だが、BCは草原の上にあり、その直前には現地の人々が生活する村もある。
広がる緑とそそり立つ岩と雪の壁という、印象的なコントラストの一枚が象徴するように、ナンガパルバットは石川さんの目にも「特別な山」と映る一座なのだ。

なぜ、あえてフィルムカメラを持っていくのか?

ナンガ 写真集
▲収録作品をスライドショーで紹介しながら、トークを進行する石川さん。

登山家としてではなく、写真家としてヒマラヤの高峰に通いつづけている石川直樹さん。写真家としての14サミッターは、史上初とされる。

そんな石川さんが手にしているカメラは、フィルムカメラ。それも、大きく重い中判カメラと呼ばれるもの。自身も「重さというのは苦しさに直結する」と語るとおり、高所登山の世界では軽量化が是とされているが、あえてそのカメラを持っていくことには、どのようなこだわりがあるのだろうか?

「2011年の2度目のエベレストから今年のシシャパンマにいたるまで中判カメラを使ってきたのですが、8,000m峰においてフィルムカメラで撮っている人というのは、日本はもとより世界にもいなかったので、自分が必ず撮ろうという気持ちがありました」

そう語る石川さん。
表面に乳剤が塗られているフィルムは、外に出していると高所の寒さにより凍ってしまう。そのため山行中はバックパックにカメラごと忍ばせつつ、撮影機会ごとに取り出してシャッターを切る。
さらに、使用しているブローニーフィルムは1本で10枚撮り。フィルム交換の回数も多くなるが、そのたびに厚手のグローブを外し、かじかむような寒さのなか作業しているという。

 

石川直樹 写真集
▲トークイベント終了後には、写真集の発刊を記念したサイン入り発売も行なわれた。

「重くて捨てたくなったこともたくさんありますよ……。途中でクレバスに投げて帰ろうかなって思ったことも本当にあったくらいです」と冗談かつ本音を飛ばしつつ、
「自分の目の前の風景って、どれだけインパクトがあってすごいなって感動しても、どんどん忘れていっちゃうんですよね。それを記憶したいし、記録しておきたい気持ちがあります」と語る。

あえてのフィルムも、「10枚だとかなり限られていますが、だからこその一期一会の感じ」があると言う。
まさに“一写入魂”の精神。写真家としての自己意識があってこその写真作品であり、一枚一枚の色合いや質感から伝わってくる温かさの源、そのスピリットに触れたような感じがする。

14サミッターの写真家、石川直樹さんのこれからの目標。

石川直樹 ナンガ
▲会場には額装された石川さんの作品が展示された。

トークイベントの終盤、聴衆として集まった参加者からの質問に石川さんが答えた。

ヒマラヤなど海外の高峰を写したものにとどまらず、生まれ育った都市・東京を撮ったスナップ調の作品、人類学や民俗学的な関心から日本国内の地方に取材した作品と、ジャンルレスにレンズを振り向ける石川さん。

——“こういうカメラを使って、このような作品を作っていきたい”という具体的な展望はありますか? と問われると、

「フィルムがある限り、やはりこれからも中判カメラを使っていきたいです。シノゴ(4×5)やエイトバイテン(8×10)と呼ばれる、もっと大きなフィルムの大判カメラで撮ってみたい気持ちもあるんですが、8,000mだと中判カメラがギリギリの限界点ですからね。でも、ピンホールカメラという、レンズがなくて穴だけで撮るプリミティブなカメラとかには関心がありますね」

 

また、——14サミッターになったいま、次の目標はありますか? という小学6年生からの質問には、

「8,000m峰14座というひとつの区切りではあるんですけれど、23年間くらいヒマラヤと関わってきたので、その過程で知り合った仲間、シェルパたちがたくさんいるんですね。ネパール、パキスタン、チベットは僕にとってものすごく思い入れのある場所なので、“これを成し遂げるぞ!”というものがなくても、彼らとの付き合いはずっと続いていくと思っています」と返答。

加えて、「来年の5月にアラスカに行くのですが、その内容はまだ秘密です。でも、いままでとは少し違ったことをしようかと考えているところです」とイベントを締めくくった。

 

フィルムカメラとともにヒマラヤの高峰に挑戦し続け、14サミッターとなった写真家の石川直樹さん。
これから世界のどこに足を延ばし、なにを被写体として、どのような写真作品を届けてくれるのだろうか——ひとまず、アラスカでの活動報告を想像と期待をふくらませつつ心待ちにしたい。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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