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嵐の中の追跡 その1|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #45

前回紹介した愛機「ペンタックスK-3 MarkⅢ」が、先日まさかの生産終了になってしまった。急報を受け慌てて予備機として1台を購入。気温がマイナス20℃を下回る環境で安心して使えるというのは大きなアドバンテージなので現状では欠かせぬ相棒である。気づけば3年半以上も使い続けているが、非常に肌に合っているのでまだまだ第一線で使うつもりである。

編集◉PEAKS編集部
文・写真◉高橋広平

嵐の中の追跡 その1

私のなかの定義として、厳冬期は1、2月を指す。日中でも気温マイナス10℃以下、夜間に至ってはマイナス20℃に達する。さらに身を突き刺し切り裂いてくる風が襲ってくるので体感気温はマイナス30〜50℃にもなり、居るだけで命の危機を感じる環境である。しかし冒頭で触れた愛機はそんな厳しい環境でもしっかり撮影ができるので頼もしい。

私が厳冬期の北アルプスに進出してかれこれ15年ほど経つが、近年の厳冬期の山行は撮影はもちろん、ライチョウが温暖化による積雪量変動の影響をどのように受けているかの生態調査も兼ねている。そのフィールド観察の積み重ねのおかげで環境の変化も肌で感じることができるようになった。

この15年でフィールドの様相はだいぶ変わっている。まず、暖かい。とは言っても十分に命に関わるほどには寒いのだが、寒さの質にトゲがなくなってきている。ひと昔前はもっと痛みが伝わってくる寒さだった。

次に積雪量。じわじわと気付かない程度の速さで年々少なくなり、この2〜3年は特に顕著だったが、今年に関しては少し盛り返してきているように感じる。地球温暖化とは気象のバランスが極端化することと認識しているので、積雪量の多い年と少ない年に二極化していくのかもしれない。

そんな私が経験した厳冬期のなかでもかなり寒かったときのことであるが、吹き荒ぶなかに見つけたオスの群れ。少しずつ移動をする彼らを膝ラッセルをしながら追跡する。斜度35度とそこそこ急な斜面に行き着く。積雪量の多かったこの年は例年見かける周辺のダケカンバもほとんど埋まって、一面がなんの障害物もない状態であった。前日までの気温や積雪量によっては雪崩の可能性もある場所だったが、この日に関しては大丈夫と判断、意を決して斜面に踏み込んだ。

今回の一枚は急斜面に並ぶ5羽のライチョウたち。彼らの頭上には迫り出した雪庇が生まれているのだが、その大きさが吹き付ける風雪の凄まじさを物語っている。この群れにはボスがいて、彼の号令で集団の行動が決められているように見受けられた。そうこうしているとボスが号令をかけ、次なる動きを見せる……。つづきは次回にて。

今週のアザーカット

注意喚起です。先日フィールド確認に赴いた際、本来ならこのフィールドにいるはずのないある動物の足跡が多数ありました。キツネです。キツネはカラス同様に人間の行動を観察していることが多く、その活動範囲をトレースして食べ物がないかを探っている節があります。キツネはライチョウの捕食者でもあります。このときはいたるところに足跡があったため、ライチョウへの影響も心配です。みなさまも山行の際は決して食べ物を残したりせず、確実に持ち帰るなどの処分をお願いします。自然環境は守り整えることは容易ではありませんが、油断すると一気に瓦解します。生態系を乱さないためにもぜひ気に留めておいてください。

▶過去の「旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺」一覧はこちら


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PROFILE

高橋広平

PEAKS / 雷鳥写真家・ライチョウ総合作家

高橋広平

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
Instagram : sundays_photo

高橋広平の記事一覧

1977年北海道生まれ。随一にして唯一のライチョウ専門の写真家。厳冬期を含め通年でライチョウの生態を紐解き続けている。各地での写真展開催をはじめ様々な方法を用いて保護・普及啓発を進めている。現在「長野県内全小中学校への写真集“雷鳥“贈呈計画」を推進中。
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