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ハウツー本でもガイド本でもない。しがらみも忖度もない熱い言葉が綴られた同人誌『FREE HEEL BOOK Vol.1』|(PEAKS 2025年3月号 PICK UP BOOK)

編集◉PEAKS
文◉中島英摩
写真◉熊原美惠

reviewer 中島英摩

長野県在住、アウトドアライター。高校生まではスキーをしていたが、身体がまったく覚えておらずアラフォー初心者状態でスキーを再開。手持ちのATスキーすらまだ乗りこなせていないが、本書をきっかけに心が揺れている。

雪の上をどこまでも。いまこそ時代を巻き戻し、自由を手に入れるフリーヒールの世界とは?

テレマークスキーに関する書籍の書評と聞いて「一応スキーは滑りますけど、下手ですよ」と返事をすると、「ちょうどいいです」と言われた。大人になっても滑り倒している周りの人たちは上級者ばかりで、自分の下手さに恥ずかしさを感じて、言い訳を並べてはもう一歩が踏み込めず無難なスキーしかしてこなかった。とりわけテレマークスキーにはなんとなく距離を感じていた。運動神経抜群の友人がド派手に転んでいる姿を見て怯んでいたし、独特な滑りを熟せるとも思わなかった。だけどどこかで、優雅に滑るテレマーカーに憧れを抱いていた。

これは、ハウツー本でもガイド本でもない。テレマークスキーの変遷は書かれているものの、道具のカタログが最後に添えられている程度で、滑り方の基本といったマニュアルやノウハウはない。それはテレマークの魅力である自由を妨げないためかもしれない。本書は発起人で編集人の森山伸也さんによる前書きから始まる。快適、便利、進化に囚われ生き急ぐ現代からの原点回帰。「かかとを解放して、安定を捨てることで、どこへでも行ける自由を得たい」と、同人誌だからこそしがらみも忖度もない熱い言葉に、もしかしたら読み進める前にスキーショップに駆け込む人がいるかもしれない。

本編では、テレマーカーたちの偏愛ぶりが存分に語られていく。

おどろいたのは、ほとんどの方が大人になってから始めていることだ。スキー経験のない素人だった人や雪にも触れてこなかった人もいる。最新ギアがあるなかで、技術的な難しさや習得への道のりを考えるとなぜテレマークなのかと思うが、登山や縦走だって、やらない人から「わざわざ」「なんで」と言われるもので、苦労や不自由を楽しんでいる点では同じだ。読み進めていくにつれて距離が縮まってくる。荒山礼志さんの一節に「なんなんだ、この遊びは?奥が深そうだ。めざすところが見えない。出口の見えない遊びに首を突っ込んでしまったのか!?なんだかニヤけてしまう」とある。知っているぞ、その感覚。沼だ、確実に足(かかと?)を掴まれ、ぐいぐい引き込まれていくんだ。

自然で遊ぶことに長けた先輩方は、少年少女のように目を輝かせて語る。そして巻き込むのがうまい。「聞いていたのと違う」なんてこともあるが、それにおもしろさを感じる人が引き寄せられていく。十人十色の楽しみ方、ストーリーにハードルが下がってきた。そうだなぁ、縦走するようにスキーで山歩きしたい。歩くだけでもいいかな、急斜面を滑らなくてもいいかな。「いい、いい!とりあえず始めればわかるから」。そんな声がページをめくるたびに聞こえてくる。そうか、別に恥じなくたっていい。沼に飛び込んでみるか。

FREE HEEL BOOK Vol.1

・FREE HEEL BOOK 編
・¥2,200
・FREE HEEL BOOK

フリーライターである森山伸也さんが編集人となりフリーヒールスキーの魅力を発信するべく制作した雑誌。反戦や反権力、自然回帰を求めたカウンターカルチャーとして発展してきた、テレマークスキー。こんな時代だからこそ、かかとを解放して自由を得る。なににも捕らわれない楽しさがテレマーカーたちの言葉や写真家の作品で綴られている。

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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