キャンプ×防災で備える力をはぐくむ「はじめてみよう！防災キャンプ」開催レポート

スイッチを押せば灯りがともり、蛇口をひねれば水が出る。
そんな日常が、ある日突然使えなくなったら——？

リニア中央新幹線神奈川県駅（仮称）が設置される神奈川県相模原市にある、「FUN＋TECH LABO（ファンタステックラボ）」で開催された、もしものときに役立つ知恵を楽しく学べる体験イベント「はじめてみよう防災キャンプ」（主催：相模原市イノベーション創出促進拠点運営事業）。小学生とその保護者を中心に、グループワークや調理体験を交えながら「備える力」を育みました。

講師を務めたのは、キャンプのある暮らしを提案するクリエイターズユニット・CAMMOC（キャンモック）の三沢真実さんと内舘綾子さん。防災士の資格も持つふたりの実体験も交えながら、「キャンプの知恵が、どう防災に役立つのか」を教えてもらいました。

キャンプと防災の共通点を探してみよう

まずは、自分が暮らす場所の災害リスクや家の安全性、避難の種類などを確認しながら、災害時に必要なことを整理。そして、「衣・食・住・心」をテーマに、カードを使って防災とキャンプの共通点を見つけていきます。

まずは、「住」に役立つこと。避難所の床が硬くて冷たくて眠れない……。そんなとき、キャンプで使っているマットやコットが活躍。また、水道が止まったときのために、キャンプで簡易トイレにチャレンジしてみるのもひとつの備えになることを教えてもらいました。

続いては、「衣」。災害時には着替えも限られ、水道が止まれば洗濯もままならない。そんな状況でも快適にすごすための工夫を紹介。速乾素材のインナーや、消臭効果のあるアルカリイオン水など、アウトドアで活躍するアイテムが非常時にも役立つことを、実体験を交えて教えてくれました。

「替えの靴下を忘れた3泊4日のキャンプでも、これに助けられました」と紹介してくれたのは、洗浄・除菌・消臭の３機能が同時にできるマルチクリーナー「wash-U」。水を電気分解したアルカリ性の水で、災害時に水道が止まって洗濯や食器洗いができないときにも活躍するそう。

「食」は水漬けパスタで楽しく学ぶ！

もっとも盛り上がったのが、「食」の体験。「水漬けパスタ」は、茹でる必要がないうえ、少ない火力で調理できるアウトドアにも非常時にもぴったりのレシピです。クッカーとパスタを前に、普段あまり料理をしない子も「やってみたい！」と目を輝かせます。親子でいっしょにパスタとソースを混ぜたり、火加減を調整したりしながら、完成！

「簡単だね！」「家でもやってみたい！」

そんな声が飛び交うなか、完成したモチモチのパスタをみんなで試食。食べることを通じて、「水やガスを節約し、自分の力で食をととのえる」という感覚が自然と身についたようでした。

さらに、常温で157日間保存可能な、さとの雪食品の「ずっとおいしい豆腐」の試食も。長期間保存可能なことに加えて、素材にこだわった大豆・にがり・水のみを使用し保存料は不使用。「豆腐はあまり好きじゃなかったけど、これはおいしい！」とおかわりを求める子どもの姿もありました。

体験の締めくくりは「わたしのキャンププラン」を考える

イベントの最後は「心」に注目。お気に入りの香りや本、ぬいぐるみなど、「自分を落ち着かせるもの」があるだけで、キャンプや避難生活での安心感が変わります。また、電波が届かないキャンプ場でスマートフォンから離れてみることが、災害時の情報過多による不安を減らすヒントになるかもしれません。

締めくくりは、「わたしのキャンププラン」を共有する時間。今日学んだことをもとに、次にどんなキャンプがしたいのか？を発表。

「まずは家の中でのキャンプから始めてみます！」
「公園でデイキャンプがしたい」
「パスタを水に漬ける時間を研究してみたい」

など、キャンプを楽しんでいるうちに、気づけば備えにもなっていく。そんな“身近な一歩”を踏み出すきっかけになった１日でした。

CAMMOCのWEB連載
「キャンプしてたら防災できた！」