
アウトドアの名脇役「ペグ」|低山小道具研究家・森勝さんのとことん小道具研究

森勝
- 2025年06月10日
ライターやライト、小型ナイフ、ホイッスル、あるとなにかと役立つ山の小道具について、森勝さんが熱弁します!
見すごされがちなアウトドアの必需品
テントやタープを設営するときに必要なペグですが、脇役すぎてあまり注目されない道具のひとつでもあります。キャンプ場のふみ固められた地面から低山の腐葉土質で柔らかい地面、山岳地帯のザレた岩混じりのテント場など、地面によって食い込むペグが変わってきます。付属のペグでも問題ありませんが、行く場所の地面がわかっていればそこに合ったペグを使い、わからないときは数種類のペグを組み合わせて持つと、さまざまな地面に対応することができます。
■アイテム一覧:1)モンベル:アルミ V ペグ 16、2)シートゥーサミット:グラウンドコントロールライトテントペグ、3)アライテント:アルミパイプペグ 20、4)MSR:カーボンコア ステイク、5)バーゴ:チタニウム ステイク T‑101、6)ニーモ:エアピンウルトラライトテントステイク、7)コフラン:ABSテントペグ 6 インチ、8)スイスピラニア:RT150テントペグ
断面がV字のペグ(1)は軽量で付属ペグに使われていることが多い形状です。製造上の問題でガイラインを引っかける部分が保持力が弱い側に付いていますが、地面に固定できるなら問題になることは少ないです。
Vペグの問題点を改良したのがシートゥーサミットのペグ(2)。Y字にすることで土を多く保持する位置にガイラインを引っかける部分を作りつつ、7gと軽量化。
V字ペグは土が詰まりやすい問題もあります。中空ペグは詰まりがなく軽量で保持力の強いペグです。なかでも私が一番愛用しているのがアライテントのペグ(3)。地面に固定したあとも見つけやすく、ガイラインが引っかかりやすいヘッド。国産ならではの品質のよさがあり、とにかく使いやすい。
中空ペグを軽量化したのがMSRのカーボンペグ(4)。重量はたったの5g。軽量で保持力もほしいときに使用しています。
おなじ5gのチタン製ピンペグ(5)は、岩混じりの地面で隙間にねじ込みたいときに使用しています。叩くとすぐに曲がってしまうので、使い方が特殊。ですが、意外と役に立つペグです。
細いニーモのペグ(6)はロープワークに自信がなくても引っかけてガイラインを結びつけられます。
一般的な登山ではあまり使用しませんが、じつは腐葉土質の多い低山では一番使えるのがプラペグ(7)。面積が広く、柔らかい地面でも保持力が高い。明るいカラーは下草に隠れても見つけやすいです。
プラペグ界に突然現れた新星がスイスピラニア(8)。保持力がとても高いのが特徴です。プラペグは垂直に刺したほうが保持力が高いことを理解した構造に。ヘッドが真っ平らでロープワークを知らなくても絡められるツメもあり、完璧な設計だと思っています。
さまざまなペグがありますが、最終的には地面との相性とロープワークなどの応用力です。岩の多い山岳テント場では岩に結びつけたほうが早くて確実ですし、低山だと木や倒木に結びつけたほうがよい。逆にキャンプ場は地面が固く、山岳用の軽量ペグだとまったく歯が立たない場所も多い。自分の行動範囲の地面を観察して最高の組み合わせを見つけて、強風にも耐えられる完璧な設営を目指してください。
私の組み合わせ
メインは中空ペグで、低山ではプラペグも混ぜて4本ずつの12本が基本。場所と重さを考慮し本数や組み合わせを変えている
テコの原理を思い出して
よく打ち込まずにペグの頭が出ていると、テコの原理で簡単に外れてしまう。大切な のは支点・力点・作用点
教えてくれたのは……
低山小道具研究家
森 勝さん
高尾山や奥多摩など関東の低山をおもなフィールドに、アウトドアアイテムの研究を重ねるアウトドアライター
http://morikatu.seesaa.net
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PROFILE

高尾山や奥多摩など関東の低山をおもなフィールドに、アウトドアアイテムの研究を重ねるアウトドアライター。
http://morikatu.seesaa.net