四角友里のにっぽん“食”名山#05「徳澤園のソフトクリーム」
ランドネ 編集部
- 2017年05月28日
街では夏日を記録する日もあり、本格的な山シーズンまでもうすこし。
みなさまのなかには「山とビールはセット」という方も多いかと思いますが、甘党の私が欠かせないのはソフトクリーム!! 北アルプスを代表する登山口のひとつ、上高地に“自分の足で2時間歩いた人にしか食べられないソフトクリーム”があります。
▲2003年、初めて大正池から河童橋まで散策し、「あの美しい景色のなかへ行ってみたい」という気持ちが芽生えた上高地。私にとって、いつまでも変わることのない大切な場所
山歩きを始めたばかりのころのGWに、上高地バスターミナルから歩いてすぐの小梨平でキャンプをし、2日目に往復4時間のトレッキングをしました。けれど驚くほど体力のない私は、平坦な道のりとはいえ不安で……。バックパックをテントに置いてポケットにお金をしのばせ、ほぼ手ぶらで歩く、上高地だからこその作戦を考えたんです(笑)。
2時間ほど歩くと広々とした草原が見え、「徳澤園」の建物が現れました。そして、徳澤園のまわりに集う山慣れた装備の登山客たち。その姿はとてもまぶしく、先にある世界に憧れを抱きました。
▲かつては牧場だったいう芝生は、いまでは気持ちのよいテント場に。この風景とソフトクリームの組み合わせがのどかで好き
この徳澤園の名物が、なんといっても『ソフトクリーム』。ぺろりと舐めると、きめが細かく濃厚な味わい!!
▲徳沢を通るときは必ず食べるソフトクリーム。ミルクたっぷりで濃厚なのに甘すぎない。生乳に近いソフトクリームミックスを使っているので賞味期限が一般的なものより短く、受注してから生産、配送となるため、登山者の数や気候を予測して在庫管理するのが難しいのだとか!
▲ひとつずつ、山小屋スタッフの「手から手へ」直接渡っていくソフトクリーム。そんな光景もまたいいのです
歩いて辿り着いたソフトクリームの味は、山のなかの“極上”でもあるのですが、いまでは“慣れ親しんだ味”のように、ときが経つほどに愛おしさも感じています。長年の目標だった涸沢へ向かうときはソフトクリームから勇気を、徳沢に泊まったときは芝生の上での穏やかな時間をもらいました。大雨に打たれた帰り道にはソフトクリームを口にした瞬間、安堵の気持ちが溢れ出ました。そうやって、「山とソフトクリーム」の思い出を積み重ねてきました。
山へ行く人、帰る人。ここがゴールの人、さらに奥へと向かう人。徳沢はさまざまな想いが交錯するターミナルのような場所。いろいろな山へ行けるようになったいまも、徳沢までの道のりが大冒険だったころの自分や、憧れの山への想いを思い出させてくれる特別なソフトクリームです。
************************
上高地から徳沢まではアップダウンのない2時間の道のり。観光客も足を延ばす、山の世界への入り口のような場所です。途中の明神池には嘉門次小屋、明神館などもあり、のんびりと歩くのに最適。美しい梓川の清流沿いを、右岸、左岸と行き帰りで違う道のりで味わってみて下さい。ニホンザルや鳥、花々との出会いも楽しめます。徳沢の奥には、涸沢、北穂高、奥穂高への道、槍ヶ岳への道、蝶ヶ岳への道と、北アルプスの山々へつながっています。
▲井上靖の小説『氷壁』のモデルともなった歴史ある徳澤園。山小屋とホテルのあいだのような存在で、お風呂もあり、食事も豪華!
Data:徳澤園
長野県松本市上高地
TEL. 0263-95-2508
ソフトクリーム400円
http://www.tokusawaen.com/
写真◎四角友里、小澤義人
- CATEGORY :
- BRAND :
- ランドネ
SHARE
PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。