山が好き、尾瀬が好き。1泊2日のフォトハイク
ランドネ 編集部
- 2018年10月12日
季節の移り変わりは早いもので、9月上旬に尾瀬を訪れたときには、大江湿原を埋め尽くす草花は秋色に染まり始めていた。秋の山は、寂しい季節ではない。むしろ冬の準備をする植物たちが一斉に赤や黄、橙に色づき、とても華やかな季節。そんな秋のはじまりの尾瀬を歩いたふたりの山好きモデル、新田あいさんと加藤由佳さん。1泊2日の旅のスタートは、福島県檜枝岐村から―――。
▲福島県側の尾瀬の玄関口・御池(みいけ)からは、シャトルバスに乗り約20分。レトロな雰囲気のチェック柄シートがかわいくて、雨模様の天気でも気分は上々。
尾瀬の魅力をひと言で表すことは難しいけれど、間違いなく言えることは、“毎日歩いても飽きない場所”。春の目が覚めるような輝きを放つ新緑とミズバショウ、夏にニッコウキスゲやワタスゲなどの高山植物が咲き乱れる湿原、ブナ平で上から見る秋の絶景と草紅葉、閉ざされた冬の粉雪。信じられないかもしれないが、昨日歩いた道も、次の日には新しい姿を見せてくれる。それは1日のなかでもおなじこと。朝、昼、夕方。包まれる空気や花開く植物、吹き抜ける風の一つひとつが、尾瀬の景色をガラリと変える。
この日の天気はあいにくの雨。いつもの山ならば、歩くことも躊躇する天候だけれど、雨の日の尾瀬はとても美しい。
▲歩き始めの沼山峠登山口からは、オオシラビソなどの針葉樹が立ち並ぶ森が広がる。ぷっくりとした赤い実に雫をつけたナナカマドの真っ赤な紅葉はもうすぐ。
今回ふたりが歩く行程は、尾瀬沼から燧ケ岳の山頂を目指す1泊2日。1日目は、歩行時間1時間ほどで尾瀬沼を目指し、到着した山小屋でのんびり、翌日朝から燧ケ岳に登るプラン。毎日忙しく働くふたりにとって、移動も伴う初日にあっというまに山小屋に辿り着けて、温かいごはんをいただき、お風呂にも入れる尾瀬沼の山小屋がとてもありがたかった。「お散歩気分や~」。尾瀬沼まで広がる大江湿原の木道の上を歩きながら、気持ちよさそうにつぶやく新田さん。新田さん曰く、“木道は大好物”。まっすぐに尾瀬沼まで伸びる木道を、ときどき立ち止まり写真を撮ったり、深呼吸をしたりしながら歩いていく。
▲開花の時期が終わり赤みを帯びたイワショウブ。
▲尾瀬に咲く花の最終ランナー、エゾリンドウが湿原を彩る。
▲フィルムカメラで撮影をする加藤さん。
▲本日のお宿、尾瀬沼ヒュッテ。山小屋泊デビューにもおすすめできる快適な山小屋。
チェックインを済ませた午後3時。案内してもらった部屋で、着替えと荷物整理を済ませ、新田さんの地元・名古屋土産「ういろう」をお茶と一緒にいただきながらまったりしていると、雲間から太陽の光が差しこの日初めての青空が!「尾瀬沼のまわり、歩いてみよう!」。
▲山旅のおともに欠かせないのは、大好きな“おいしいもん”。
尾瀬沼ヒュッテから“逆さ燧”が眺められる、とっておきの場所までは約15分。ポカポカと暖かくて、思わずスキップしたくなるような気分。夕食はナニかな?ホットコーヒー飲みにいく?お土産見ようよ!山が好きな女の子は、食とコーヒーとかわいいお土産に目がない。静かに打ち寄せる尾瀬沼の水の音と、木道の上を歩く靴音がBGMになる。ひと気の少なくなる夕方のゴールデンタイムは、山小屋に泊まる人だけの特別な時間。バックパックを下ろし軽くなった体に、カメラだけを持って歩ける贅沢なひととき。
▲木道の上で喜びを表現する新田さんと、その姿を撮影する加藤さん。
三平下の手前にある展望スペースは、尾瀬沼と燧ケ岳が遮るものなく見渡せる特等席。まだ少し雲がかかる山頂付近。見えるかな?もうちょっと!風がなく穏やかな日には、尾瀬沼の水面に、燧ケ岳が逆さにくっきりと映し出される。結局、燧ケ岳の山頂も逆さ燧も見れなかったけれど、山には“ちょっとくらい心残り”があるほうが、また訪れたくなる。だから、今日はこの晴れ間に感謝しよう。
山小屋に戻ると、お待ちかねの夕食タイム。メニューは、手作りハンバーグ、山菜の天ぷら、蕎麦、舞茸ごはん、岩魚の一夜干しなど。腹ペコなふたりも大満足なボリューム!いただきます、の前にまずは乾杯から。
▲1日目、おつかれさまでした!あとはゆっくりご堪能あれ。
2日目。目覚めると、あたりは深い霧に包まれていた。朝5時半に朝食を済ませ、出発したのは6時を回ったころ。「うん、大丈夫。レインウエアはいらないね!」。午後からは晴れ予報。ゆっくりと歩きながら、回復を期待しましょう!
尾瀬沼から燧ケ岳の山頂に続く長英新道へと歩みを進める。山頂までの歩行時間は、約4時間。標高1,660mの尾瀬沼から、標高2,356mの燧ケ岳山頂(柴安嵓/しばやすぐら)へ、長い山旅が始まる。バックパックには、山小屋で作ってもらったお弁当も詰めてきた。昨日の雨で登山道に流れ出た水を避けながら、霧のなかの頂を探すふたり。
▲「神秘的」という言葉がふたりを励ます。ここから先には急坂が待っている。
▲風の強い稜線。5つある燧ケ岳のピークのうち、ミノブチ岳、御池岳を通過。
▲俎嵓(まないたぐら)のピーク手前にあった尾瀬ヶ原を示す「ハラ」の文字。あと少し!
標高2,346mの俎嵓のピークに到着したふたり。眼下に広がるはずの尾瀬沼も、尾瀬ヶ原も見ることができなかったけれど、最高の笑顔で記念撮影!薄くなった雲が途切れ、ときおり青空が見える。「景色が見たかったな~」。またひとつできた心残り。残念そうなふたりに朗報を。「これから下山するルート上に、とっておきの楽園が待っていますよ!」。最高峰の柴安嵓(2,356m)への登頂は断念し、先へ進むことに。
その楽園に辿り着いたのは、山頂から1時間ほど歩いたころ。樹林帯が一気に湿原に変わり、一本の木道が続いている。ここは「熊沢田代」。地元の人にもファンが多い場所だ。思わずかけ出したくなるロケーション。山歩きのご褒美に、待っていた景色だった。何度もカメラを向けたくなる風景。天気もよくなり、会津駒ヶ岳の山並みも見える。大きな池塘(ちとう)の前のベンチで、お待ちかねのランチタイム!
▲お塩のきいた梅干しおにぎりと、タマゴの燻製、ソーセージなど。疲れた体に染みるウマさ!
だれかとこの感動をシェアしたい!
そう思える山の絶景は、歩いた人だけが味わえる最高のご褒美。こんな素敵な笑顔にもなれる尾瀬。2日間の旅の締めくくりには、下山後、檜枝岐村の温泉と、名物・栃蜜ジェラートがふたりを待っている。
今回尾瀬を歩いた、新田あいさんと加藤由佳さんのInstagramでも、2日間の様子をアップしています。ふたりの目線で切り取った尾瀬。ぜひチェックしてみてください!
Instagram@_nittaaaa_
Instagram@_yuka_kato_
Photo/野呂美帆
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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