モデル仲川希良の山でお泊まり、クロアチア・プリトヴィッツェ国立公園Vol.4
ランドネ 編集部
- 2018年12月28日
雑誌『ランドネ』でモデル/フィールドナビゲーター仲川希良さんが連載する企画「山でお泊まりレポート」。
1月号は、クロアチアにある世界遺産、プリトヴィッツェ湖群国立公園へ。スペースの関係で誌面に収めきれなかった情報を、4回にわたって美しい写真とともにお伝えしていきます!
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NHK BSプレミアムで放送されている旅番組「2度目の旅シリーズ」の撮影で、クロアチアの世界遺産、プリトヴィッツェ湖群国立公園を訪れました。
プリトヴィッツェ湖群国立公園に行くには、まずはクロアチアの首都・ザグレブへ。
ザグレブのバスターミナルから国立公園に向けて高速バスに乗るのですが、せっかくならその前に、街も散策したいですよね!
というわけでスタートはザグレブ中央駅。街中を走る青いトラムも素敵ですが、お散歩がてら歩くのがおすすめです。
中央駅から延びる新市街の広い通りには、トミスラフ広場など庭園のように整備された公園と、美しい建築が並びます。
▲ザグレブ最古の展示場、アート・パビリオン
▲地元の人がのんびり
突き当たりのイェラチッチ広場がザグレブの中心地。新市街と旧市街の間にあたります。
高台にある旧市街地へ上がるためにぜひ使ってほしいのが、ケーブルカー・ウスピニャチャ。
▲短いっ!(写真トリミングします)
乗車時間30秒、1890年にオープンした世界一短いケーブルカーです。
階段を登れば充分な気もしますが、ぜひ乗って「短いっ」と突っ込んでほしいです(笑)。
旧市街には歴史を感じる見どころがたくさん!
まずは13〜18世紀に建てられたゴシック建築の教会二つ。
▲聖マルコ教会。赤と青のタイル屋根がかわいい
▲ザグレブのシンボル、聖母被昇天聖堂
聖母被昇天聖堂前にいた衛兵が、すてきな赤いスカーフを巻いていました。
じつはここクロアチア、ネクタイ発祥の地なんだとか。
▲赤いスカーフがオシャレ
17世紀、ヨーロッパ戦争に駆り出されたクロアチア人兵士がパリに入場。美しいスカーフを首に巻く伝統的なスタイルのクロアチアの軍装に目を留めたフランスのルイ14世が、お抱えのテーラーに作らせたものが、「à la Croate(クロアチア風)」として新しいファッションになり、フランス語の「Cravate(ネクタイ)」の語源となったそうです。
そしてドラツ青空市場。ここにもぜひ立ち寄りたい!
クロアチアの国中から新鮮な食材が集まる、”ザグレブの胃袋”です。
▲赤い日傘が目印
▲”Kumice”の銅像
マーケットの外れにある”Kumice”という女性の銅像は、ザグレブ郊外で野菜やくだものを育てている女性が、頭に乗せたバスケットに新鮮な食材を入れて街に運んできていた習慣をモチーフにしているそう。
自家製チーズやクリームを作っては、みずから市場に売りに来る女性たちが、いまもたくさんいらっしゃいました。
▲なんともレトロな秤で私が選んだミカンを計る女性。青々とした枝もいっしょに陳列するのは、自家農園の新鮮なくだものであることの証
▲トルコから届いた燻製のドライイチジク。おやつにピッタリ
市場には食材以外にも、お土産に良さそうな雑貨をたくさん見つけることができます。
木製のおもちゃと、リツィタルという伝統的なジンジャークッキーは、どちらもユネスコの無形文化遺産に指定されています。
あたたかみのあるかわいらしさがたまらない……!
▲豊かな森が広がるマリア・ビストリッツァ(山の後ろ)村の工芸品
▲リツィタル。ミツロウやゼラチンでコーティングされた観賞用
そしてドラツ市場のシンボルである、シェスティーナと呼ばれる赤い日傘も、とても歴史があるもの。伝統的なザグレブの服の模様の一部からデザインされています。現在ハンドメイドで製作しているのはザグレブで1軒だけだそう。
▲私は傘をさした伝統衣装のお人形をお土産に♪
お腹が空いたので市場の片隅にある食堂街で、クロアチア庶民の味「ブレク」をいただきました。
サクサクのパイ生地の中にひき肉やチーズなどの具材が入った、トルコ発祥の料理です。
▲朝ご飯の定番だそう
▲チーズのブレク……なぜか粉砕してから提供
テクチ・ヨグルトという無糖の液体ヨーグルトを、ザバーっとかけて混ぜながら食べるのが通なんだとか。味付けは優しく、薄いパイ生地のパリパリ感と、カッテージチーズに似たミルクの風味が強いフレッシュチーズの組み合わせが最高。ひき肉の方は餃子みたいな味です。どちらも飽きのこない、シンプルなおいしさでした。
地元の方々の日常に触れながらの市場散策。
食材からも料理からも、古くから貿易港として栄え、また他国からの侵攻や支配を経て、諸外国の様々な文化の交差路となったクロアチアらしさを感じることができて、とても楽しかったです。
ザグレブで一番印象に残っているのは、ケーブルカーを降りた正面にある、ロトルチュシャク塔の正午の号砲です。
▲12時ピッタリを待つ、塔の中の号砲係
空砲のドーーーンという爆発音が鳴り響くと、それに呼応するように町中の教会がいっせいに鐘を鳴らし始めます。
▲塔の窓から眺めるザグレブの街並み
遠くから近くから重なり合いながら鳴り響く鐘の音は、とても神聖な気持ちにさせてくれました。
クロアチアというと90年代、ユーゴスラビアからの独立を求めて起きた紛争を思い出す方もいるかもしれません。
今回訪れたプリトヴィッツェ湖群国立公園も、91年に死者が出るほどの銃撃戦が起きています。美しい景色が重ねてきた歴史にも、思いを馳せながらの旅となりました。
***おまけ***
クロアチアの通貨は「クーナ」。クーナはクロアチア語で動物の「テン」を意味します。中世ではテンの毛皮が通貨の役割を果たしていたため、そのまま通貨単位となりました。
表にはマグロやナイチンゲール、クマの姿。裏にはテンの姿がデザインされています。ちなみに補助単位である「リパ」の方は、裏表すべて植物がモチーフ。
この国の豊かな自然を感じることができる、とてもかわいらしいコインでした♪
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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