モデル仲川希良の「山でお泊まり」静岡県・沼津編Vol.4
ランドネ 編集部
- 2019年06月06日
モデル/フィールドナビゲーター仲川希良さんの、ランドネ誌面と連動の連載「山でお泊まりレポート」。
スペースの関係で誌面に収めきれなかった情報は、こちらのサイトで美しい写真とともにお伝えしてきます!
第5回目は、静岡県沼津市へ。沼津アルプスとふもとを歩いて味わった模様を4回にわたってお届けします。
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香貫山でのうららかなハイキングで、すっかりお腹が空きました。
ふもとに下りてランチにしましょう!
向かったのは、沼津で明治時代から干物作りを続ける「奥和」が始めたお食事処、「和助」。
沼津でランチといえば、港近くで海鮮丼やお寿司をいただくのが定番。ですが、「沼津を訪れるのが二度目なら」ということで、インザパークのスタッフさんがオススメしてくれました。
▲落ち着いた店内
▲いただきまーす!
「ひものランチ」は自分で選んだ干物を備長炭で焼いてもらえるセットです。私が選んだのは、ここ静岡県沖で採れた甘鯛の開き。脂がのって、ふっくらとして、しみじみおいしい。
和助の干物で使う魚は、天然の国内産で無添加なんだそう。毎日ここでお昼を召し上がる地元の方もいらっしゃるというのも、納得の安心感です。
おいしい干物に、ご飯と味噌汁、お漬物……「こういう食事、求めてた!」と思わずつぶやいてしまう、心も体も大満足のランチでした。
おなかを満たしてから、沼津港近くの市場を散策。
▲午後でもなかなかの人通り
▲驚きの安さ!
豪快に並べられた海の幸を眺めていると、あれもこれも買いたくなって困ります(おなかがすいてなくて良かった……!)。
じつは前回は初日に立ち寄ったのですが、二日目にも訪れたこの市場。要冷蔵の海産物をお土産にしたくなること間違いなしなので、帰る直前に寄るのが正解なのです。
日本一の出荷量を誇る沼津の干物。
湿度や雨量が少なく、強い風が吹く気候であること、そして美しい水が豊富なことが、干物作りに適している理由だそう。
柿田川公園でこんこんと湧き出ていた、富士山からの湧水を思い出します。
▲名物はアジ。こちらも日本一の生産出荷量
「ほらこれ、ひと籠あったら夕飯に困らないよ」「この魚はフライパンじゃダメ、網焼きで脂を落としなさいね〜」「あれもいっしょに買ったらどう、味は保証する!」……元気なおばちゃんたちとの会話も、市場ならではの楽しみ。
「自分とこで作ったおいしいものよ」と自信をもって、お客さんの顔を見て、売る。すてきだなと思います。
温かくしゃがれた声に勧められるがまま、両手にずっしりとお土産を抱えて、市場を後にしました。
最後にちょこっと、沼津駅近くの商店街散策。
港がある南口方面には、商店街やアーケード街があります。残念ながらシャッターが閉まっているお店も多いけれど、のんびりと懐かしい雰囲気が漂う路地が続いていて、どこをどう曲がっても楽しい!
一度で歩き切るのは不可能なので、お目当をいくつか決めておくほうがいいかもしれません。
今回どうしても行きたかったのは、甘味処「どんぐり」!
▲ずらりと並んだ食品サンプルが目印
▲看板から溢れるレトロ感
ここはなんと、注文したものがどんぶらこっこと水路を流れて配膳されるスタイルなんです!
え、どういうこと?と思うでしょう?
食券を買って席に着くと、ほら早速他の方のパフェが流れてきた〜!
▲寿司桶に入って流れるパフェ……シュール!
店内には回転寿司のレールのように水路が巡らせてあります。
座席にはそれぞれ東海道五十三次の地名が書かれた札があり(私は保土ヶ谷)、空の桶に札と食券を入れて流すと、注文したものが桶に乗せられて届くんです!
▲私の分も来たー!
▲フルーツポンチとクリームあんみつ
本当に来るのかな?きちんとキャッチできるかな?と、甘味処とは思えないドキドキ感が味わえます!
地元の人は慣れたもので、お一人でパッと来てサッと軽食を済ませているような方もちらほら。聞くところによるとこのお店、なんと40年以上もこのスタイルを貫いているんだそう。
店内にはこんなものまでありました。
▲ジュークボックス!
▲たまらないセレクト
迷わず小銭を投入。なかなかの音量で店内に響き渡る、光GENJIの「ガラスの十代」。続いて海援隊の「贈る言葉」。思わずいっしょに歌ってしまいました。
タイムスリップ気分ですがここは現役の甘味処。うーん、こういうお店が愛されているって、沼津やっぱりいいなあ。
そしてもう一つ、インザパークのスタッフさんから「ぜひ寄ってみて」とオススメされたのがこちら。
沼津の人気雑貨店「hal」です。
▲知らなかったら気づけない! 控えめなお店の入り口
そっと扉を開けてみると……ニコニコと迎えてくださったのは、沼津で生まれ育ったという、オーナーの後藤由紀子さんです。
▲ショートカットがとてもお似合い
お店には後藤さんがセレクトした、使い勝手の良い生活雑貨が並べられています。
食器に、服に、本まで。一つひとつ強く主張するわけではなく、手にとって眺めていると、良いところや魅力をはにかみながら語りかけてくれるような、そんな雑貨たち。
棚の隅にある小さなお人形を「わ、これかわいい〜」なんて眺めていたら後藤さんの私物、ということもあったりして、そういったものと商品とが違和感なく集まる店内は、ご自分が愛情をもって地元の方に届けたいものだけを並べてらっしゃるのだろうなと思いました。
▲hal でお土産に選んだ沼津のお茶
懐かしくお茶目な甘味処も、こんな洗練された雑貨屋も共存する、沼津駅前。
まだまだ味わい切れていない……と後ろ髪引かれながら帰路に着いたのですが、道すがら思い返されるのは出会った方々の表情。
山でも海でも、そして街でも、地元の方の笑顔がすぐ近くにある旅。皆さん、なんだか強く温かく、それでいてどこかのんびりとしてらしたなあ。
お顔を思い浮かべると私も自然と微笑み、またきっと沼津に行こう、という気持ちでいっぱいになるのでした。
***おまけ***
hal のオーナー後藤さんが出版された本、「地元な暮らし」。ガイドブックとはひと味違って、住んでいる方の視点から沼津が紹介されています。
後藤さんにとって柿田川公園は、子育て時代の楽しさも大変さも思い出すところ。香貫山は、やんちゃ盛りな息子さんを”捨てに行く”ところ(笑!)。甘味処の「どんぐり」には後藤さんが中学生のころからの思い出があるそうです。
山と海とがこんなにも近くにあって、穏やかな気候で。香貫山の展望台から眺めた、小さくもキラキラと光る沼津の街での暮らしが垣間見える一冊です。
写真◎大畑陽子
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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