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「だから、私は山へ行く」 #01 鈴木優香さん

山を愛し、山とともに生きる人に迫る連載。
第1回は、フィルムカメラで撮影した山の風景をハンカチに仕立てる、「マウンテンコレクター」を活動の軸にする、鈴木優香さんにインタビューします。

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「だから、私は山へ行く」
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まだ見ぬ景色を求め、海を越え、山を歩く

本取材(2019年5月上旬)の少し前まで、ネパールを旅していたという鈴木優香さん。アンナプルナエリアをめぐった旅の思い出を楽しそうに話してくれました。

「ネパールでは、標高を急に上げると高山病になってしまうので、一日の行動時間が限られていて、かなりゆっくりペースで歩くんです。暮らすようにのんびり山を行く感じが心地よくて。ネパール語と英語、さまざまな国の言葉が飛び交い、ロバやゾッキョが行き交う、カオスな村の雰囲気も大好きになりました」

ネパールを訪れるのは、昨年の秋に続き2度目。エベレスト街道の終着地、ゴーキョピーク(5,357m)を目指した前回は、気持ちのいい晴天に恵まれたそう。

「道中は、高山病で吐いたり、かなり辛い思いもしましたが、自分の足で歩ききれた喜びが大きくて。エベレストと対峙した瞬間、こんな世界があるんだと圧倒されました」

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鈴木さんにとって山は、趣味の領域に止まりません。創作の源泉であり、ライフワーク。けれど、山の世界に足を踏み入れた当時は、これほど大切な存在になるとは思いもしなかったと記憶を遡ります。

いまから約10年前。当時、東京藝術大学大学院に在籍していた鈴木さんは、研究室の伝統行事、長野の山小屋で行われる3日間のゼミ合宿に参加することに。

「山小屋に滞在するのは初めての経験でした。身の引き締まるような朝の空気や、ささやかなランプの灯り、皆で食卓を囲んでおしゃべりする時間が印象的で。自然との距離が近づいた気がしました」

時は山ガールブーム。アウトドアウエアを日常に取り入れるスタイルが注目を集めていたころで、モンベルのお店で目にした世界観に心惹かれたそう。機能性とシンプルさを追求したものづくりに共感し、モンベルに就職。入社を機に、登山を始めたといいます。

「同期に道具を借りて、一から教わりました。初登山が燕岳だったんですが、明け方の空に浮かびあがった北アルプスの山並みに感動。生まれ育った千葉では、日常的に山を見る機会なんてなかったので、息を呑んだのを覚えています」

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そんな旅先で見つけた美しい風景を残したいと、フィルムカメラを持参するようになったのは、登山を始めて2年目のことです。

「父からフィルムカメラを譲り受けて大学時代、趣味で撮っていたんです。昔のカメラでとても重いので、山を始めた当初は到底、持ち歩けないと小さなデジカメを使っていたのですが、体力がついてきたころからフィルムカメラに切り替えました」

その後、夫の仕事で富山に引っ越すことになり、鈴木さんは4年勤めた職場を退職。創作活動に専念することに決めます。

「富山の家は、剱岳や立山連峰を望めるすばらしい環境で。景色に感化されて地元の山岳会に入り、雪山も始めました。春・夏・秋と経験したので、冬山も体験したいと思って」

2016年の夏、マウンテンコレクターという活動を始めたのも、自然の流れだったと続けます。

「撮りためていた写真を、きちんと作品として残したいと考えたんです。写真を作品にする場合、紙に印刷して表現するのが一般的だと思うんですけど、私自身の創作活動の原点は〝布〞。大学時代から一貫して、布を扱うものづくりをして来たので、山の記録を自分なりに表現すると考えたとき、すぐにハンカチというイメージが浮かびました」

山の景色は日が差したり、曇ったり、めまぐるしく移り変わります。捉えどころのない印象を表現したいと、薄く透け感のある生地を選んだそう。プリントされた写真は、光が当たると淡く見え、畳んでいくことでその存在を濃く、強く感じることができます。そうした変化を楽しめるのも、ハンカチならではの魅力と語ります。
現在、展開している作品は56種類。すべてのハンカチには、撮影した日付が記されていて、手に取るとその記憶が鮮明に蘇るといいます。

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「旅の思い出が淡くなるころ、現像された写真を見てその瞬間を思い出し、作品づくり中や作品が完成したときにも、改めて作品に向き合います。そうして何度も眺めるうちに、記憶が鮮明になっていくんです」

今年の5月末には、昨年ネパールで撮影した写真から、17作品を一気にリリース。ネパールは、鈴木さんを新たなステージへ誘い、広い視野をもたらしてくれた国。何度でも訪れたい場所と語ります。

「今回、いっしょに行った友人が『行ってみたい気持ちはあっても、自分には無理だと思ってた。誘ってくれてありがとう』と言ってくれて、すごく感動したんですね。私も最初の一歩を踏み出すまでは同じ気持ちでしたし、そういう女性はたくさんいると思う。そうした人たちの背中を押せるような活動もしていけたらと考えています」

 

 

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鈴木優香
デザイナー/山岳収集家。2016年、山で見た景色をハンカチに仕立てるプロジェクト『MOUNTAIN COLLECTOR』をスタート。登山と布を使ったものづくりを行き来しながら、美しい山の景色を集め続けている。

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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