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憧れのアルプス旅へ ー北アルプスの入門 唐松岳を歩くー

山好きなら、誰もが一度は憧れと畏敬を抱く日本アルプス。ここでは、アルプス旅の魅力と、安全で快適に楽しむ方法を紹介します。

北アルプスの唐松岳に挑戦してきました!

いくつかの山を歩き、山の魅力に触れていくうちに“アルプス”という響きに憧れをもつ人はきっと多い。だけど、いざ登ってみたいと思っても、自分の体力や技術、知識が足りないのではともの怖じしてしまうという声も。

そこで、今回はアルプス入門の参考にしていただけるようガイドさんといっしょに学びながら、北アルプスの唐松岳に挑戦してきました。

旅をしたのは……

登山ガイド  山本典子さん
長野県在住。低山から高山まで幅広く山を案内する。季節の花々など自然観察を得意とし、津軽弁の癒し系ボイスにファンが多い

ランドネたのしみ隊 遠藤美幸さん
登山歴10年。一歩ずつステップアップをしていて、今年はテント泊デビューを果たした。白馬エリアの山を歩くのは今回が初めて

不安を取り除きながら 一歩ずつの山歩き

旅の主人公は、読者インフルエンサー「ランドネたのしみ隊」の遠藤美幸さん。以前から北アルプスの山々に憧れ、白馬エリアの地図を購入していたものの、なかなか挑戦できずにいたという。

体力にあまり自信がなく、重い荷物を背負うのが苦手。6時間以上のコースタイムとなると物怖じしてしまうそうで、最近は荷物の軽量化を図り、長く軽快に歩くためのスタイルを模索している。

そんな遠藤さんに快適なアルプス旅を提案してくれたのは、登山ガイドの山本典子さんだ。「不安な要素をなるべく取り除いて、計画を立てましょう」と、目的地に選んだのは、富山と長野の県境にそびえる唐松岳。

標高2696mの唐松岳は、後立山連峰の中ほどに位置する山だが、スキー場のゴンドラとリフトを乗り継ぐ「八方アルペンライン」を活用すれば、標高1800mまで一気にアプローチできる。そのため、登頂までのコースタイムが比較的短くなり、北アルプスデビューにもうってつけだ。

今回は〝重い荷物を背負うのが苦手〞という遠藤さんの不安を解消するために、八方池山荘に前泊して荷物をデポして山頂を目指すプランにした。

当日は予定通りスキー場からゴンドラとリフトを乗り継いで宿泊予定の八方池山荘へと向かった。初日のウォーミングアップということで、黒菱平から先の区間を歩くことに。さっそく現れた絶景に「やっぱりアルプスはきれい。それにさっきまでいた町がもうあんなに小さい!」と、この日一番の笑顔を見せる遠藤さん。

40分ほど登り体が少し汗ばんできたころ、八方池山荘に到着した。「部屋に着いたら寝転がりたくなりますが、そこはガマン。到着してすぐに寝ると呼吸が浅くなり高山病のリスクが高まります。まずはストレッチで体をほぐしましょう」と山本さん。

高山にある山小屋ならではの過ごし方や、明日に向けて準備しておくべきことなどを教わる。八方池山荘の豪勢な食事でエネルギーを蓄えて、翌日のために早めに寝床についた。

八方池山荘

村営の山小屋。「せっかく白馬に来たのだからごゆっくり」という思いから、ボリューム満点の食事にきれいな宿泊部屋、かわいいお土産などを用意。ホスピタリティにあふれる

  • 標高:1,830m
  • 電話番号:0261-72-2855
  • 料金:1泊2食12,000円、弁当1,500円
  • 営業期間:通年営業

後立山連峰の要衝、 唐松岳へ!

朝焼けでピンクに染まった空の下、「今日も無理のないペースで楽しみましょう」と山本さんのかけ声から一日がスタート。梅雨どきということもあり天候が不安だったが、昼過ぎまではもちそうだ。

朝の4 時出発。冷たい風が頬に当たった瞬間にシャキッと目が覚める。 これからどんな絶景が待っているんだろう。まだ見ぬ景色を求めて、つ い歩くスピードが早くなる

八方池まではバリエーション豊かな高山植物が咲き誇る。山本さんに植物の特徴や名前の由来などを教えてもらいながら登っていると、意外と疲れないことに気がつく。「花が歩みを後押ししてくれますね」と山本さんは笑った。

山頂を目指すのに不要な荷物は八方池山荘に置いてきた甲斐もあって、とてもいいペースで進める。スタート地点からずっと絶景続きだったが、丸山ケルンを超えるといっそう天望が開け、不帰ノ嶮と白馬岳、五竜岳を見やりながら登っていく。

後立山連峰の名峰をつねに眺めながら歩ける絶景コースには、八方池や雪渓、巨大なケルンが現れたり、植生の逆転現象が起こったりと、登山者を楽しませる要素がたくさん。歩行時間は長いものの楽しみながら歩くことができる。これも八方尾根の魅力のひとつだ

途中の雪渓で少しひやりとするシーンもあったが、山本さんのサポートのもと、こちらも一歩ずつクリアしていく。唐松岳頂上山荘までたどり着いたら、山頂は目前だ。

最後の直登も笑顔で登りきった遠藤さんから「すごく楽しい。来られてよかった!」と、最高の誉め言葉。下山時には、まるで見送りに来たかのようにライチョウが現れるといううれしいサプライズもあった。

「立ち寄るポイントやコース、道具を見極めながら、レベルに合ったプランを組み立てていけば、少し難しそうな山でも歩けることがあります。ひとつずつ不安を解消して、ステップアップしていきましょう」と山本さんが旅を締めくくった。

MAP

access

JR 信越本線の長野駅よりアルピコ交通バスへ乗車し白馬八方 バスターミナル下車。マイカーの場合、長野自動車道安曇野ICから八方尾根ゴンドラリフトアダム八方駅へ

advice

ゴンドラとリフトで一気に標高を上げられるぶん、高山病に注意。歩き出しはゆっくりペースで、時間に余裕をもって出かけよう。唐松岳頂上山荘は2021年の営業を休止中のためご注意を

ふもとのお立ち寄りスポット

スノーピーク ランドステーション白馬

「その土地に根づく人生と野遊びの案内所」として7月にグランドオープンしたスノーピーク体験型複合施設。地元食材を使った料理をいただけるレストランやカフェ、宿泊所、観光案内所などが揃う

  • 住所:長野県北安曇郡白馬村北城5497
  • 電話:0261-75-1158
  • 営業時間:11:00 ~ 19:00
  • 定休日:水曜

アンド マウンテン

山好きのご夫婦が営んでいる、五竜岳の絶景と信州木材を使用した家具が自慢のカフェ。人気メニューは香辛料にこだわったキーマカレー。ランチは数量限定なのでおはやめに

  • 住所:長野県白馬村北城2709-1
  • 電話番号:050-1217-6946
  • 営業時間:12:00 ~ 17:00(L.O.16:30)
  • 定休日:火・水・木曜

みみずくの湯

JR白馬駅より八方へ向かう途中に位置する温泉。露天風呂からは八方尾根をバックに白馬三山の眺めを楽しむことができる。やわらかなお湯は、旅の疲れも、心も癒してくれる

  • 住所:長野県北安曇郡白馬村大字北城八方口5480-1
  • 電話番号:0261-72-6542
  • 営業時間:10:00 ~ 21:00(受付終了20:30)※シーズンによって異なる
  • 料金:大人650円、小人300円
  • 定休日:無休

アルプス旅を安全で快適に楽しむためのチェックポイントもご紹介しています。ぜひコチラもチェックしてください!

(出典/「ランドネ 2021年9月号 No.119」)

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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