高山植物(山のお花)好きライター・成清陽の「ヤマノハナ手帖」#1 チングルマ
ランドネ 編集部
- 2021年08月19日
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登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!
記念すべき第一号は、やはり絶大な人気を誇るものでなければ――。そんな想いでセレクトしたのが、「チングルマ」です。花嫁のブーケ材料にしたくなる(できませんが)清楚な白色、そして毛足の長~い綿毛、燃え上がるような草紅葉。まずはこのお花でほっこりしてください♪
花言葉は「可憐」です。
バラ科
一般的な花期:6月~8月
おもな生育場所:北・中央・南アルプスなどの雪田など
小さな葉っぱと不釣り合いなサイズの花。この2~3等身の“頭でっかち感”は、あどけなさが残る幼児のよう。だからこそ、「かわいい!」と感じてしまうのでしょう。花言葉にも、ナットクです。
ちなみに、もし写真を見てイチゴを思い出したアナタは、かなりのヒラメキ系。じつは意外にも、イチゴと同じ仲間であり、約20年も寿命があるという(!)イチゴと同じく、樹木です。高さ10cmに満たないチングルマの茎、いや幹にも、年輪が刻まれているのだとか。
タネが名前の由来です。
そして、チングルマを語るうえで外せないのが、タネ(果穂)です。このふわふわ愛され系の綿毛を、「稚児が持つ風車」に例え、ちごぐるま→チングルマに変化したとされています。ノスタルジック!
こちらは、花が終わって、果穂が開いていく様子。だんだん、だんだんふっくらしてきて、ついにはふわっと開く……。この様子、優美と表現せざるをえません。このプロセスを見てしまったら、チングルマにぞっこんです。
チングルマの楽しみは秋にも!
秋(9~10月初旬)は、山々の紅葉シーズン。チングルマはというと、ほかの植物とともに、「草紅葉(くさもみじ)」と呼ばれるレッドカーペットに早変わりするのです。初夏の花、盛夏の綿毛、そして秋の草紅葉。こんなに楽しませてくれる花は、どこを探しても見当たりません。
あの高山鳥もチングルマがお好き!?
チングルマを好むのは、人間だけではありません。高山に生息するライチョウは、昆虫などのほか、高山植物の芽や種子、根も食べているようです。運が良ければ、ライチョウがチングルマの種をついばんでいるシーンが見られるかも!?
ちっちゃな悩みごと。
さて、これまでチングルマの魅力をふんだんにお伝えしてきました。しかし、気になることがひとつ。高山植物のなかでは、相当なメジャーキャラであるにも関わらず、コマクサのようなニックネーム(『高山植物の女王』とか)がありません。個人的には、チングルマにもつけてあげたい……。ナイスアイデアがありましたら、ぜひランドネ編集部まで、お知らせ下さい!
それでは、また。
みなさまのココロに、素敵な花が芽吹きますように。
花ライター/会社員
成清 陽
大学時代から山を渡り歩いていた個性派キャラ。卒業後も、好奇心の赴くままに職を転々とし、自然ガイド、環境コンサル、ホテルマン、雑誌編集者、市営公園管理人を経て、現在は森づくり事業を担う会社員。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。花が美しい山しか好きになれない、アルティメットな病なんです~!(笑)
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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