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「だから、私は山へ行く」#13 白男川清美さん

本誌をはじめ、さまざまな媒体で活躍する人気スタイリストの白男川清美さん。アウトドアとファッションの世界を軽やかに行き来しながら、自然体のスタイリングを提案し続ける彼女が、山に惹かれる理由とは?

「だから、私は山へ行く」
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トトロの森で育ったおしゃれ好きの女の子

山と海に恵まれた鹿児島県薩摩川内市に生まれ、4人姉妹の末っ子として育った白男川清美さん。子どものころの彼女にとって、自然はいつもそばにある身近な存在だった。

「私が育ったのは薩摩川内市のなかでもとくに山奥の方で、『となりのトトロ』のような風景が広がる場所でした。信号がある場所まですごく距離があるし、父のみかん畑に行くだけでも山登りをするみたいに大変で(笑)。そんな山奥で育ったので『わざわざ自然を求める』という感覚は全然なくって。それよりも、やっぱり都会に憧れたし、おしゃれ好きの姉や母の影響でファッションにも興味がすごくありましたね」

当時は、雑誌全盛の時代。白男川さんは友だちや姉と『Olive』などの雑誌を回し読みしながら、ファッションの世界への憧れを膨らませていく。じつは、小学生のころから「スタイリストになりたい」という夢があったそう。

「なにかの漫画でスタイリストという仕事のことを知ったんです。でも、どうやってスタイリストになるかなんてわからないし、とにかく『山から出ないとダメだ!』と焦るばかりで(笑)。とはいえ、当時の私にとってスタイリストという仕事は現実的な選択肢ではなく、遠い憧れのような存在。だから中学生時代に『将来はなにか専門性のある仕事に就こう』と考え、看護科がある高校に行くことを決めました」

専攻科を卒業した白男川さんは、都内の大学病院で働くために上京する。そして、年間にわたって看護師として働くかたわら、夢への一歩を踏み出すことになる。

「やっぱりファッションの仕事に挑戦してみたいと思って、夜間のスタイリストスクールに入学したんです。昼間は看護師、夜は学校という忙しい日々でしたが、少しずつ夢に近づいている手応えもあって、大学病院を辞めることに。その後、『アシスタントをさせてください』と書いた手紙が大好きなスタイリストさんの目に止まり、24歳のときにアシスタントとして採用されました」

憧れの世界と山との出合い

▲登山を始めて間もないころに登った神奈川県の城山。都会で忙しい日々を送っていたからこそ、自然に身を置く大切さに気づけたそう

その後、白男川さんは3年ほどのアシスタント時代を経て、28歳のときにスタイリストとして独立。山歩きやキャンプを始めたのは、それから数年を経た30歳のころのことだ。

「最初は友人に誘われて高尾山や川苔山を歩いたのですが、もともと運動が好きなこともあって、すぐに山歩きが大好きになりました。とくに印象に残っているのが、群馬県の裏妙義。急峻な岩場が続き、体力的に限界を感じるほど大変な山行でしたが、一歩ずつ自然のなかを進んでいくのが本当に楽しくって『山って、こんな気持になれるんだ!』と感動しました。当時は、都会で眠る間もないくらい忙しく過ごしていたので、山やキャンプは完全に非日常の世界。自分のなかで気持ちを切り替えられるような新鮮な感覚があったんですよね」

こうしてアウトドアに魅せられた白男川さんは、ライフワークとして山登りやキャンプなどを楽しむように。そして、スタイリストとしての仕事にも、その経験が活かされてゆく。知り合いの編集者やライターから、アウトドアウエアのスタイリングを頼まれるようになったのだ。

無理せず、構えず。自然と向き合っていたい

▲アウトドアと出合ったことで、著書『いつものアウトドア』(飛鳥新社)を発表することもできたという

「はじめてアウトドアのスタイリングを手がけたのは、15年くらい前のこと。当時の山の世界って、まだまだ男性中心だったので、女の子が着たくなるようなウェアがなくって苦労したことを覚えています(笑)。でも、その後『ランドネ』が創刊されたこともあって、山歩きを楽しむ女の子が少しずつ多くなり、かわいいウェアも増えてきました。ずっと『女の子にとって、山歩きがもっと身近になるといいのに』と思っていたので、この変化はすごくうれしかったです」

スタイリストとしてアウトドアシーンと深く関わってきた白男川さん自身が、アウトドアファッションの憧れの世界と山との出合い“変化”を支える存在だったに違いない。そう話すと「たまたまそんな時代だっただけです」とさらりと笑う。アウトドア誌やファッション誌など幅広い媒体で活躍する白男川さんにとって、アウトドアでのスタイリングの魅力とはなにか。

「ひとつは“色”ですね。街で見ると強いような色でも、山ではきれいに見えることもある。それがすごくおもしろいんです。あと、野外での撮影は天候に左右されます。雨が降ったり風が吹いたり、光が射したり。どうにもならない自然のなかで、ときに想像以上に美しいビジュアルに仕上がることがある。そんなとき『よしっ』と手応えを感じます」

仕事はもちろん、プライベートでも家族で山やキャンプにでかける白男川さんは、「山歩きは歳を重ねてもずっと続けたいから、あんまり構えず、無理せず、行きたいときに行くようにしています」と話す。

気負わず、穏やかに、しなやかに。白男川さん手がける自然体のスタイリングは、そんな彼女の生き方の顕れなのかもしれない。

▲プライベートでは、ふたりの子どもと山歩きやキャンプに出かけている。「不便を楽しむことを感じてくれたら」と白男川さん

 

白男川清美さん
鹿児島県生まれ。スタイリストの平澤雅佐恵氏に師事し、1999年に独立。本誌をはじめ、さまざまなアウトドア誌やファッション誌、ライフスタイル誌で活躍する。2児の母で、家族での山歩きやキャンプも楽しんでいる

 

「だから、私は山へ行く」
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(出典/ランドネ 2021年11月号 No.120[雑誌]

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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