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秋と冬のお天気#2|山の天気を予測して、すてきな景色を見る

2カ月に1回、開催している「ランドネ山大学ONLINE」。山岳気象やテント泊など、詳しく学びたい山の知識やハウツウを講師の方々にオンラインで教えてもらう配信イベントです。

次回は11月30日(火)の開催が決定!ヤマテン代表の猪熊隆之さんに「秋と冬のお天気」について教えていただきます。ここでは、そのテキストブックとなる記事を全3回でお届けします。

ランドネ山大学ONLINE
動画一覧

2回目は、秋と冬のお天気、それぞれの特徴についてご紹介します!

秋のお天気

表情豊かな雲、紅葉、雲海、霧氷など人気モノが揃う

▲美人雲がたくさん見られる。青い空に浮かぶ丸いコットンのような雲が「うろこ雲」。これよりも少し大きくて詰まっていると「ひつじ雲」

前線が停滞したり
晴れが続く秋の天気

秋になると、低気圧が通過したあとに西高東低の冬型の気圧配置になる日が出てくる。冬型の気圧配置になると、大陸から冷たい風が吹き込み、日本海側では雨や雪、太平洋側は乾燥した晴天となる。

「秋は低気圧が通過すると、冬型の気圧配置になったとしても1〜2日と短いんです。冬型の気圧配置にならないこともあります。また低気圧が通過しても前線が残ってぐずついたり、逆に高気圧のあとに大陸からまた高気圧が近づいてきて、ずっとお天気のよい日が続くこともあります。あと台風もありますね」

秋が深まるとともに朝晩の寒暖差が生まれるため、低山で楽しめるのが雲海や霧氷。気流が乱れるときに出やすくなる美人雲。いつもは通過点になってしまう場所でゆっくりと空を見上げることで彼らに会える。

秋のお天気の特徴
□高い山で吹雪になることがある
□台風がある
□晴天が続くことがある
□長雨が続くことがある

東西に長く延びる秋雨前線

台風が近づいている

高気圧に覆われ全国的に晴れ

(気象庁ホームページより)

気象遭難のリスク

雪が降るまでの秋山シーズンは、軽登山装備で山を歩くこともできる。そんなときに急に天気が変化して、地面が凍結してスリップしてケガをしたり、稜線で雨風に吹かれることで、低体温症になるというリスクが急に高くなる。等圧線の幅が狭いときの強風と、低気圧が通過した後の吹雪やみぞれに注意。

天気を予測してすてきな景色を見る

1.「雲海」
低山でも見られるチャンスが多い

ふだんは高いところにいくほど空気は冷たくなるが、いまの時期は夜になると地面のほうに冷たい空気が溜まって、上のほうに暖かい空気が残っていくという状態ができやすくなる。逆転層ともいい、冷たい空気が暖かい空気で蓋をされた(下の空気が閉じ込められた)状態になると、川の周りや雨上がりの地表などに水蒸気が多く含まれた空気が溜まり、それが夜間に冷やされて雲になる。とくに盆地は冷え込みが大きく、空気の逃げ場がなくなるので、雲海ができやすくなる。こういったときの雲海は低いので、低山でも見られる。

▲雲海&来光。天空で太陽のパワーをもらえる感じ。天気図を見てチャンスがあれば出合いに行きたい
雲ができる条件
風がなく冷えた晴れの日→ 天気図の等圧線が広がっていて、晴れ予報の日の朝

(気象庁ホームページより)

2.「霧氷」
雪山登山をしなくても人気者に出合える

低気圧が抜け、等圧線が縦縞になったときに霧氷ができる。霧氷ができたてのときは風が冷たく、天気はよくない。霧氷を見るために山へ行くのであれば、等圧線が縦縞になったそのあとに高気圧がくるタイミング。冬型の気圧配置になってから、移動性高気圧が現れた次の日の朝がおすすめ。そして秋は紅葉についた霧氷がとくに美しい。冬はあたりまえのように見られる霧氷だけれど、雪山登山の装備が必要。

▲赤色や黄色の葉っぱに粉砂糖がかかったみたい。すてきなチョコレート菓子のようでおいしそう♪
こんな日は霧氷が出る
等圧線が縦縞になったとき→そのあとの冬型の高気圧が現れた翌日の朝がおすすめ

(気象庁ホームページより)

冬のお天気

風が穏やかで晴れた日に結晶、霧氷や樹氷に会いたい

▲すべてのコントラストが美しい。澄んだ空気、青い空にくっきりと映える樹氷。いつ見ても何回見ても美しく、いつまでも見ていたい

冬の天気は
ほぼ3パターンになる

「冬の天気はわかりやすいです。冬型の気圧配置、移動性高気圧が通過、低気圧が通過という3パターンがあり、それが順番に訪れます。冬型の気圧配置になると、大陸からとても冷たい寒気が流れ込み、日本海側にある水蒸気を多く含んだ空気を日本に運んできます。そして日本の真ん中にある高い山にぶつかって、日本海側に雪が降ります」

冬山を楽しむなら高気圧が来るタイミングが狙い目。いまはヤマテンなどで10日先までの天気図の予想を見ることができ、2〜3日先までであれば精度が高い。

「低山であればリスクは低くなります。シンシンと降る雪の中を歩くのもメルヘンチックでいいですが、やはり冬は晴れの日がおすすめです」

陽に当たってキラキラと輝く結晶や樹氷などを見にいきたい。

冬のお天気の特徴
□冬型の気圧配置
□移動性高気圧
□低気圧

典型的な西高東低の冬型の気圧配置

移動性高気圧

低気圧

(気象庁ホームページより)

雪山のリスク

高い山ほど風が強くなる。気温は通常1,000m で約6℃下がるといわれているが、冬は7 ~ 8℃も下がる。急な天気の変化による吹雪、雪崩、滑落など、リスクは高い。しかし、低山でスノーシューを履いて雪の上をハイキングするような楽しみ方ならリスクも低い。

冬の景色は晴れの日が美しい

1.「結晶」
かわいい形をたくさん見つけられる

雪の結晶はさまざまな雲を通り抜けるあいだに、氷の粒や水蒸気と合体しながら地上に降りてくる。結晶ができたところの気温や湿度によってさまざまな形になる。山では結晶の形が崩れずに舞い降りてくる。黒い手袋をしていると、結晶がよく見えるのでおすすめ。霜の結晶も個性豊かで、枝や葉のような形もある。どちらもおなじ形はひとつとしてない。100 円ショップなどに売っているスマホ用のマクロレンズがおすすめで、黒いものの上に結晶を乗せると、よりキレイに結晶を撮影できる

▲透明なマリモのような霜。キラキラとしてきれい
▲どれも違うカタチをしていて、かわいくて、いくつでも撮ってしまう

2.「樹氷」
東北ではモンスターのようになる

大気中の微細な水滴が過冷却され、樹木などに凍りついてできる樹氷。一定方向に風が吹くことで、葉、枝、木につき、白く幻想的な森になる。冬ならではの深く青い空の日に、カラマツやダケカンバなどの樹氷を見上げると、枝の先に白と青の美しい世界が広がる。陽の光によって少し溶けて枝の先についた水滴が、よりいっそうキラキラと輝く。雪の量が多い東北の日本海側では、木の原型がなくなり、モンスターのような樹氷、いわゆるスノーモンスターになる。蔵王などが有名。

▲まさにモンスター! 大きい雪の人間が楽しそうに話をしている感じにも見える
▲枝にまとった美しい霧氷を見にいきたい

3.「ダイヤモンドダスト」
見られる地域も条件も厳しいけど、美しい

ダイヤモンドダストは、空気中の水蒸気が昇華して氷晶になったものが空気中に舞い、それらに陽が当たり、キラキラと輝いている現象。ダイヤモンドのように輝いていることから、ダイヤモンドダストと呼ばれている。ダイヤモンドダストが現れる条件は、マイナス10 度以下で、風がなく快晴。さらに湿度があり、早朝であること。視程が1km 以上になるほど空気が澄んでいること。このように見られる地域も条件もとても厳しいため、現れる予想ができたときには、その機会を逃さずにぜひ!

▲いつかは見てみたいダイヤモンドダスト。一生で何度見られるんだろう?

教えてくれたのは

ヤマテン代表
猪熊隆之さん

山岳専門の気象予報士であり、山岳専門気象予報会社「ヤマテン」代表。気象予報のほか、おすすめの山域、大荒れ情報などを配信

「ヤマテン」がリニューアル

国内唯一の山岳気象専門会社「ヤマテン」。有料(月額税込330円)で全国18山域59山の山頂天気予報を毎日配信。近日、大幅リニューアルをする! 山頂天気予報は330山に増える。さらに大都市近郊の低山の天気予報は無料公開!
https://i.yamatenki.co.jp

11月30日(火)
「ランドネ山大学ONLINE 〜秋と冬のお天気〜」を開催!

11月30日(火)の夜、ランドネ山大学ONLINE 〜秋と冬のお天気〜を開催します。

[雑誌]ランドネ 2022年1月号 No.121のP114~、または本記事を含む全3回のテキストブックを見ながらYouTube配信をご覧ください!

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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