火山が噴火する仕組みとは。噴火によるリスクを知って災害対策しよう|#知り続ける
ランドネ 編集部
- 2022年02月26日
自然災害にはそれぞれ異なる特性があります。原因が同じ災害であっても、規模や被災環境によって被害状況が変わってきます。各災害の特性を理解することは、より的確な準備と対応策への道標となります。今回の記事では「噴火」の発生メカニズムと内在するリスクを解説していきます。
火山はなぜ噴火する?
地球の地下深部で発生したマグマが地表に噴出すること。地球科学的には、この現象を噴火といいます。噴火の仕組みを簡単に説明しましょう。まず火山の火口が開くことで、マグマの圧力が減ります。圧力が低下したマグマは、いっせいに発泡することで体積を増加し、火口から噴出するに至ります。発泡などが少ない場合は、溶岩流として火口から流れ出します。
では、マグマはどのように発生し、地表へはどう到達するのでしょう? マグマとは地球内部を構成する個体が溶融したマントル物質で、噴出すると溶岩と呼ばれます。陸のプレートの下に沈み込んだ海側のプレートから上部マントルの一部が融け出し、周囲の岩石よりも比重が小さいため上昇します。また、海嶺では上部マントルからマントル物質が直接プレートに湧き出します。一方、プレートを貫いてピンポイントでマントル物質が湧き上がる場所もあり、ホットスポットと呼ばれています。
このようなマグマ生成の過程で、マグマはいったんマグマ溜りに蓄えられるなどさまざまな作用を受け、地表に噴出したものが海溝沿いの火山を形成することになります。したがって、火山は海溝にほぼ平行に分布することとなり、この火山分布の海溝側の境界を画するラインを火山フロントと呼んでいます。一般に火山は、火山フロント付近に密集しています。
火山の噴火とプレート移動
プレート移動によりマグマが形成され、マグマの噴出口が火口となる。
火山フロントと活火山
日本列島の周囲で4つのプレートがぶつかっており、地震発生と同時に多くの火山を形成する。火山フロント(赤い線)は、海溝(青い線)とほぼ平行に形成される。現在選定されている日本国内の活火山数は111。
噴火のリスクは多岐にわたる
火山の噴火によるリスクは多々あります。噴き出したマグマが流れ下る溶岩流は1000度を超えるものもあり(先端の時速は10km以下がほとんど)、火山灰や溶岩片などを含んだ火砕流は流下速度が時速100km超のこともあります。2014年に発生した御嶽山噴火における死因のほとんどは「多発性外傷」でした。これは噴石によるもので、噴火後の頂上付近では200度もある噴石が飛び交っていたとされています。また、広い範囲に被害をもたらす火山灰や火山ガスにも注意が必要です。
火山噴火後の降灰状況
噴火直後、火山の近くで降灰や小さな噴石の落下が始まる。噴火が収まった後であっても、時間の経過とともに、火山周辺、さらには離れた場所で降灰が始まるので要注意。
噴火警戒レベル(気象庁)
2014年の御嶽山噴火の際、気象庁の噴火警戒レベルは1「活火山であることに留意」だった。噴火警戒レベルはあくまでひとつの目安。
特別警報「噴火警報(居住地域)」
レベル5「避難」
対象範囲:居住地域及び又はそれより火口側
火山活動の状況:居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生、あるいは切迫している状態にある。
住民等の行動:危険な居住地域からの避難等が必要(状況に応じて対象地域や方法等を判断)。
レベル4「避難準備」
対象範囲:居住地域及び又はそれより火口側
火山活動の状況:居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が発生すると予想される(可能性が高まってきている)。
住民等の行動:警戒が必要な居住地域での避難の準備、要配慮者の避難等が必要(状況に応じて要配慮者の避難準備等)。
警報「噴火警報(火口周辺)又は火口周辺警報」
レベル3「入山規制」
対象範囲:火口から居住地域近くまで
火山活動の状況:居住地域の近くまで重大な影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。
住民等の行動:通常の生活(今後の火山活動の水位に注意。入山規制)。状況に応じて要配慮者の避難準備等。
登山者・入山者への対応:登山禁止・入山規制等、危険な地域への立入規制等(状況に応じて規制範囲を判断)。
レベル2「火口周辺規制」
対象範囲:火口周辺
火山活動の状況:火口周辺に影響を及ぼす(この範囲に入った場合には生命も危険が及ぶ)噴火が発生、あるいは発生すると予想される。
住民等の行動:通常の生活。
登山者・入山者への対応:火口周辺への立入規制等(状況に応じて火口周辺の規制範囲を判断)。
予報「噴火予報」
レベル1「活火山であることに留意」
対象範囲:火口内等
火山活動の状況:火山活動は静穏。火山活動の状態のよって、火口内で火山灰の噴出等が見られる(この範囲に入った場合には生命に危険が及ぶ)。
住民等の行動:通常の生活。
登山者・入山者への対応:とくになし(状況に応じて火口内への立入規制等)。
※この記事はランドネ特別編集 アウトドアで防災BOOKからの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。最新情報は気象庁HP、内閣府HP(防災情報)などをご確認ください
SHARE
PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。