ASIAN KUNG-FU GENERATION・伊地知潔が考える、山と音楽のさらなる楽しみ方とは
ランドネ 編集部
- 2022年03月30日
宇宙的感覚を研ぎすます「山と音楽のさらなる楽しみ方」をテーマに、さまざまなミュージシャンにインタビューしていくシリーズ。音楽フェスをはじめ、アウトドアフィールドで聴きたい音楽を紹介する。
ニューアルバム『プラネットフォークス』を3/30にリリース
ASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)結成25周年、10枚目のオリジナルアルバム『プラネットフォークス』が完成。コロナ禍の空気と祈り、ともに未来へと力強く向かうエネルギーを伝える同作について、ドラムの伊地知潔に話を聞いた。
伊地知:今回、3年半ぶりのアルバムなんですね。タイアップの「Dororo」「解放区」からはじまり、その後、ロンドンで2曲レコーディングして。そのスタジオがあまりに良かったので、もう1回ロンドンに行ってアルバムを1枚作ろうとしていたんです。でも、コロナで流れて、時間だけが過ぎ……。レコード会社から期末までにアルバムを出してほしいと話が出てきて、昨年9月から焦って残り8曲を一気に仕上げた感じなんです。だから3年もかけて作った感じがしなくて(笑)。ここまで短期集中でセッションしたのは初めてでしたが、集中できていいものが作れたなって。いま、すごく不思議な感覚なんですけど。
──新鮮なリズムパターンも多くて、バンドを更新していくエネルギーを感じました。
伊地知:今回、けっこうゴッチ(Vo. &G.後藤正文)のソロ作品みたいなアプローチが何曲かあって。simoryo(「エンパシー」「フラワーズ」)とskillkillsのGuruConnec(「星の夜、ひかりの街(feat. Rachel & OMSB)」「Be Alright」)が2曲ずつプロデュースしているんです。ふたりとも打ち込みでドラムパターンを作ってくるから、それを僕が生ドラムでレコーディングするという流れ。初めて、ほかの人の引き出しを借りた感じでしたね。
──それでもアジカンの音になっているのがおもしろくて。
伊地知:ゴッチもアジカンでやればアジカンの音になると言ってたし、最初はその打ち込みのドラムパターンのまま、僕の生ドラム演奏でトレースしたんです。でも、途中からちゃんと自分でアレンジしないとアジカンにならないぞって思い始めて。やっぱり自分なりに消化してやることにしたんですよね。結果的にそれがよかったし、こうやってアジカンの音になるんだなというのがよくわかりました。
──印象深い曲は?
伊地知:山ちゃん(B.山田貴洋)作曲で「雨音」。あれ、始まった瞬間に笑っちゃうんですよ。ちょっと懐かしい80’sの感じで。もともとまったく違うアレンジと音色でしたけど、レコーディング当日に思いついてしまって。J-POP、J-ROCKのリズムパターン。いまの若い子たちはもしかしたら、なにこれ新しいって思ってくれるかな。
──海外でもThe Weekndが日本のシティポップをサンプリングしたり、懐かしい感じを新しく鳴らすのは、トレンドでもありますから。
伊地知:そうですね。でも、そのなかでもこういう感じってだれもやってないなって(笑)。
──(笑)。先を行ってます。
伊地知:あとは、今回、改めてゴッチすごいなって思ったのが、ロンドンで録音したのは「ダイアローグ」と「触れたい 確かめたい(feat. 塩塚モエカ)」なんですけど、コロナ前にそんな曲書いてるってなんなのって。
──すごいな……。今年はアジカンの活動と並行して伊地知さんが率いるPHONO TONESも精力的に?
伊地知:そうですね。4月20日にアルバム『BUBBLE』が出て、アジカンの全国ツアーと並行して、何本か廻ります!
──PHONO TONESはビクターに移籍して、新たに活動のスイッチが入っている感じですね。
伊地知:完全にそうですね。アジカンが忙しいなか、こっちもアルバム作っていましたから。PHONO TONESは、僕以外の3人が曲を書いているので、アルバムはバラエティに富むんですよ。いま、コーリー・ウォンとかヴルフペックっていうバンドのような、ネオファンクみたいなインストバンドが盛り上がっていたりするんですけど、『BUBBLE』は、そこに影響されて、ミニマルだけどファンキーっていう感じになってきました。
──最後になりますが、最近のアウトドア体験を教えてください。
伊地知:取材でキャンプもありますけど、最近は海です。いま、長崎・対馬のフードロスを解消する「対馬 GOOD EAT ROJECT」をやっているので、対馬に行くと釣りをするんです。先日は餌を使わないルアー釣りを体験しておもしろすぎました。魚も本物の餌じゃないかもってわかってて、ツンツンって。完全に騙し合いなんですよ(笑)。
──料理もお得意の伊地知さんに、おすすめのアウトドアメニューも伺いたいです。
伊地知:キャンプって夜寒いじゃないですか。だから、鍋がいいなと思っていて。でも、汁が残るのが嫌だから、チーズタッカルビをよくやるんです。キムチと豚肉と野菜を入れるんですけど、炒め煮みたいになるんですよね。真ん中にとろけるチーズを橋のように並べるとできあがりで、チーズをのせながら食べて、最後にちょっと残ったスープでうどんを入れると焼うどんみたいになって、めちゃくちゃおいしいです。フライパンでできるんですけど、火をおこすのもめんどくさいので、家庭用のガスコンロとフライパンだけ持って気楽にやる感じですね(笑)。
Field Like Music
◎アウトドアで聴きたい1枚。
▶Music
iri/『neon』
家からスタジオまで移動するのに、1~2時間かかったりするので、そのあいだに音楽をインプットしているんですけど、最近の一番のヒットがこのアルバムです。iriさんって、鎌倉のジャズバーでずっとライブをやっていて、いまも多分、逗子に住んでいるんですよね。実際に会ってお話したことはないんですけど、聴いていると、同じ湘南の景色を観ているんだろうなって。湘南の雰囲気って、やっぱりアウトドアが似合うのでオススメです。
ASIAN KUNG-FU GENERATION(アジアン・カンフー・ジェネレーション)
2003年にメジャーデビューし、翌年『ソルファ』が大ヒット。ロックイベント「NANO-MUGEN FES.」を主催するなど、日本のバンドシーンを牽引。アウトドア好きの伊地知は4人組インストバンドPHONO TONESや料理コラムの連載など多方面で活躍中。www.asiankung-fu.com
Information
ASIAN KUNG-FU GENERATION『プラネットフォークス』
3.30 release
(CD+Blu-ray)¥4,500+税
(CD)¥3,000+税
Ki/oon Music
https://kmu.lnk.to/AKG_PlanetFolks
https://www.asiankung-fu.com/s/n80/page/smoj_disco_archive?KSCL-3365
LIVE
ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2022 “プラネットフォークス”
http://www.akglive.com/tour2022/
PHONO TONES
Information
PHONO TONES『BUBBLE』
4.20 release
(CD)¥2,500+税
コネクストーン
LIVE
NEW ALBUM “ BUBBLE “ ONE MAN LIVE 2022
2022年4月20日(水) @LIVE HOUSE FEVER
http://phonotones.net/live/
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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