積善山からの絶景と島で遊ぶ旅│愛媛県・上島町
ランドネ 編集部
- 2022年03月31日
INDEX
瀬戸内海のほぼ中央に浮かび、25島の離島からなる愛媛県・上島町。サイクリングやキャンプ、ハイキング、シーカヤックなど、島を生かしたさまざまな遊びができるランドネたのしみ隊のKanaさんと編集部ヤマサキが体験した、島の魅力をご紹介します!
新しい遊びに出会える島
青い空と海、連なるように浮かぶ島々が織りなす景色。これが世界でも有数の多島美を誇る瀬戸内海だ。
瀬戸内海にあるいくつもの町のなかでも、愛媛県上島町は7つの有人島と18の無人島の「離島」からなるめずらしい町。それだけで「行ってみたいね!」と盛り上がった。
3月下旬、春の風を感じながら本州から船で上島町へ。同月に岩城橋が開通したことによって、元々橋でつながっていた3つの大きな島に新たに1つ大きな島がつながったばかり。島をつなぐゆめしま海道が完成したのだ。クルマ、バイク、自転車、電動キックボードなどで島から島への移動できるようになり、点在していたアクティビティを組み合わせて遊ぶことが、さらに広がり、ぐっと手軽にできるようになった。
2022年3月に開通した岩城橋。橋長916m、幅7.5mの美しい曲線を描く橋。滞在中は電動アシスト自転車をレンタルして移動するのがオススメ。ゆっくり走れば誰でも疲れずにたくさんのポイントへ行ける
私たちは積善山を歩き、キャンプ、シーカヤック、ヨガを組み合わせた旅を計画。テント泊装備を入れたバックパック1つで、ゆめしま海道でつながっている弓削島、佐島、生名島、岩城島の4島で遊ぶ。
積善山の登山口から山頂までは約5kmの道沿いに桜が続く。開花時期になると、近県から花見目的で来る客でにぎわう。私たちが行った時期はまだ開花宣言前で、桜のつぼみのトンネルを一歩ずつ進んでいった。
ミモザがこんなに咲き誇っているのは見たことがない
日本古来のシロバナタンポポ(左)は関東出身の私にとってはめずらしい花。ヒサカキ(右)は地元ではシャシャキと言うそう
登山道沿いにある桜は約三千本。途中で出会った地元の人が「卒業や退職、同窓会など、島に住む人々が人生の節目に植樹してきたんです」と言っていた。
この桜たちはこの島の人たちの祝いの証であり、一本一本に誰かの物語があると知ると、これから咲こうとする桜に深い美しさを感じた。妙見神社入り口。5分くらい上ると本殿と妙見メンヒル(巨石)に着く
展望台に立つと、海抜0mから標高377.6mまでの道のり、渡ってきた橋、周辺の島々を一望できる。それらがふわっと春霞に包まれ、夢の中にいるような心地いい気分だ。
幻想的な下界には「地元食材を使ったディナーとキャンプ」、「夕日をバックにビーチでヨガ」、「ダイナミックな橋を下から覗くシーカヤック」など、未体験の楽しみが待っている。そして、思っていた以上の非日常感に高揚しながら、次は夏に来て、サップや釣りを体験したいと思っている自分に驚いた。
島の自然は、新しい遊びに目を向けるきっかけを作ってくれた。
誰とどの季節に訪れるのか、それによって体験するアクティビティも変わる。組み合わせは無限大。夏は海の上にいるかもしれない。
マップ&アクセス
マップ
人口約6400人。7つの有人島と18の無人島からなる上島町。今回訪れたのは弓削島、佐島、生名島、岩城島。それぞれ弓削大橋、生名橋、岩城橋でつながっている。岩城島の小漕港~弓削島の上弓削港までは最短で約12~13㎞。岩城島は一周15km。コンパクトにまとまったなかにたくさんの遊び場がある。ゆめしま海道周遊ルート(ブルー螺線)は全長50.8km、チャレンジルート(紫線)も含めると63.1kmになる。そのほか岩城島チャレンジルート(ピンク)、佐島チャレンジルート(オレンジ線)がある
アクセス
【本州から】
山陽新幹線・福山駅または山陽本線・尾道駅→本四バス・土生港前→土生港(因島)~弓削港(弓削島)または土生港(長崎桟橋)~立石港(生名島)
山陽新幹線・三原駅→本四バス・因島モール~土生港~立石港
【四国から】
今治港 ~ 岩城港 ~ 佐島港 ~ 弓削港 ~ 生名港 ~ 土生港
アクティビティは選び放題
今回、Kanaさんとヤマサキが体験したアクティビティ。島の地形を生かし、上島町ならではのオリジナリティがある。
積善山を“歩く”
積善山
山頂標高は標高369.8m。展望台の標高が377.6mで富士山の1/10。末広がりのフォルムでもあり、岩城富士と呼ばれている。「ミモザがこんなに咲いている山はめずらしいですね。ツツジも多いし、初夏まで花を楽しめそうです」とKanaさん。
妙見神社
※上の写真は許可をもらって撮影しています
巨石崇拝の遺跡、北極星を神格化した妙見菩薩を祀った神社。大阪の能勢妙見の分身と伝えられている。小漕地区の島民がボランティアで保全に協力している
島の風を感じる“サイクリング”
少し高い丘に上ればすぐに絶景がある。レモン畑や海沿いなど自分だけのフォトスポットを散策したり、移動中のアクティビティとして電動アシスト自転車がオススメだ! 弓削島(弓削港近くのせとうち交流館)、生名島(立石港務所)、岩城島(岩城港近くの岩城観光センター)でレンタルでき、さらに乗り捨てができる
広い芝生の上で“キャンプ”
島で採れた食材を求めて、地元食材や加工品が並ぶ「リモーネ・プラザ」でレモンポーク、レモン、菜の花、弓削塩、鯛味噌、みかんなどを購入した。キャンプ場の目の前は浜辺で、プライベートビーチ状態。贅沢なロケーションのなか、早めにディナーをとった
橋の下をくぐって大型船舶を見れる“シーカヤック”
島が多く、このあたりの潮流が複雑だそう。そのおかげでビギナーからベテランまで楽しめるプランがたくさんある。海の気温は地上の気温の2カ月遅れくらいなので、年内は思ったより暖かく、春は思ったよりも冷えを感じるそう。「このまま釣りをして、シーカヤックの上でおにぎりを食べたいな」とKanaさん
お気に入りスポットで“ヨガ”
ビーチやキャンプ場など島内のすてきなロケーションでヨガができる。岩城産のレモンのアロマをリボンにつけて、腕に巻いてヨガをする。リボンについたアロマが風に吹かれて、レモンがふわっと香り、心と体を癒やしてくれる。終わったあとはホットレモンで体を整える
“電動キックボード”で楽々島旅
スクーター感覚で乗れる電動キックボードは右手のアクセルを回して加速、ブレーキレバーを握ると減速する。操作も簡単で、お手軽に立ち寄りスポットに寄れる。運転免許証が必要
青いレモン島で“レモン狩り”
岩城島は青いレモンの島で有名。青いレモンは国産の証だ。年内は青く、キリッとした酸味が人気。年明けは木で熟した黄色のレモンとなり、まろやかな酸味を楽しめる
絶対立ち寄りたい「ランチ&カフェ」
カフェ利用もおすすめの「ブックカフェオカッパ」
保育所だった建物を自分たちでリノベーションし、カフェをオープン。野菜の甘みを引き立てるスパイスのカレーが定番メニュー。最近、人気急上昇中のメニューはピザ! コーヒーと豆花で休憩もいい
鯛の養殖屋さんが手がけるカフェ「たい屋」
ゆげ海の駅舎でいただく「寿司居酒屋ととや」のお弁当ランチ
居酒屋ととやが販売する2段弁当「ゆげ海の駅弁」。ベースのおかず(写真右)に右から海鮮ちらし寿司、煮あなご寿司、おぼろ鯖寿司のいずれかを選ぶ。おぼろ鯖寿司が一番人気だそう
ちょっと休憩したい「Kitchen313Kamiyuge」
ベーグル、パン、自家焙煎コーヒー、季節のフルーツを使用したジュースなど、やさしい手作りの味を提供している。ビスコッティやクッキーなどもあり、行動食として最適。
旅に合わせて選べる「宿泊」
目の前にビーチと海が広がる「サウンド波間田」
目の前にあるビーチからは、生口橋へ夕日が沈む景観はこのキャンプ場泊ならではの楽しみ。年末年始以外営業している。コインシャワーや炊事場、Wi-Fiを完備していて、1050円(一泊テント一張り)で利用できる。予約そのほかの詳細はホームページへ
おいしい地魚料理が食べられる「民宿・中塚」
鯛とスズキの刺身、ヒラメの煮付けなど地元の魚を使ったおいしい夕ご飯が食べられる。海藻類はおかみさんの朝採れ。最新情報もここで入手できる。情報通なおかみさん姉妹は岩城島でみかんの詰め放題ができると聞き、妹さんはクルマで岩城島へ。68歳にして初めてみかんの詰め放題を経験したそうだ。岩城橋が開通したことで、島同士の交流も深まっていく
〒794-2506
愛媛県越智郡上島町弓削下弓削131(弓削港から徒歩2分)
Tel.0897-77-4498
SHARE
PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。