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高山植物(山の花好き)ライター・成清 陽の 「ヤマノハナ手帖」#9 コバイケイソウ

登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ~く、お花をご紹介します!

ソメイヨシノはすでに散りはじめ、ついにグリーンシーズン!待ちに待った山シーズンですね。えっ、「冬山があるじゃん」って?お待ちしていました、そのツッコミ!高山植物連載担当のこのワタクシ、花が咲かない時期には、断じて山に参りません!!(ナニ胸張ってんだ!と思われても仕方ない言い訳)。

さてさて、今回のテーマは前回のミズバショウに引き続きまして、春の高山植物、コバイケイソウです。じつはかなりミステリアスなこの植物。そのナゾ多き世界に、どっぷり浸かっていきましょ~!

「いっせーの、せ」

Data
コバイケイソウ(シュロソウ科)
一般的な花期:5月~6月
主な生育場所:山地の湿地

さーて、いきなり意味不明な見出しでスタートする、コバイケイソウのオハナシ。「いっせーの、せ」、そのココロは…。じつはこのお花の特技は「一斉開花」。俗に言う当たり年や裏年はあるものの、コバイケイソウはみんなで息を合わせて咲くので、数年に一度、大規模なお花畑ができるというわけ。

ところが、その仕組みはというと…いまだナゾのまま。熱帯雨林では、乾燥状態が一定時間続くと遺伝子の一部が変化し、一斉開花につながるという植物もいるそうです。アレ?この連載、こんなシリアストークOKでしたっけ?(笑)

山菜発見、じゃねぇ!

ミステリーからスタートしましたが、さっそく閑話休題(早すぎ!!)。5月ごろから芽吹き始めるコバイケイソウですが、こんなロケット型の新芽を湿原各所で見せてくれます。そして~~~、これを食べちゃう人が、いるんだな。確かに、ウマそう。でも、食べちゃダメ!なんてったって、以前ご紹介したトリカブトと並ぶ、「日本三大毒草」のひとつですからね!!

「あ、ギョウジャニンニクはっけ-ん♪」→これキケン。嘔吐、下痢、血圧降下、痙攣と症例はオンパレードだそうDeath。

天然アーティストたる一面も

ナゾあり、毒ありのコバイケイソウのもうひとつの魅力は、その葉っぱ。そう、なんだかね、アーティスティックなわけですよ。明るい色味、規則的なヒダのある葉脈。どこかエキゾチックじゃないですか?

ちょっとマニアックなオハナシをすると、コバイケイソウは以前、和風な雰囲気をもつ植物も多い「ユリ科」に分類されていたんです。ところが今は「シュロソウ科」だとか。で、このシュロソウ科にいる植物たちは、やっぱちょっぴり異国風。へえ、キヌガサソウもね。…あ。数年前、キヌガサソウ紹介誌面にユリ科って書いちゃった…(コソコソと隠蔽工作に走る筆者)。

♂と♀のミステリー

えー、コホン。気を取り直しまして、休題していた「ナゾ」にオハナシを戻してまいりましょう。意味深でエロチシズムな見出しをつけてしまったんですけど、ご多分にもれず、植物界にエロは期待できません。でも、熱視線を送るべきは、やはり♂と♀のストーリー。中心部にあるブラシ状の花穂、よ~く見てください。円錐形の緑色は♀(雌しべ)、周囲には取り巻きのヤローども(=♂、雄しべ)が出す、黄色い花粉が見えています。で、左右のブラシと見比べてみると…なんと♂の楽園。♀がいないんですよ。ナゼ?

濃密なカラミ、その後…

このナゾは良くあるパターン。子孫を残す♀(品質本位)をこしらえるのはタイヘンなので、♂くらいはいっぱいつくろう(量産)ってことなんでしょうな。秋の湿原で花穂を見てみると…やっぱりなぁ(ため息)。中心部のみキレイに結実、あとは枯れホーダイ。♂♀のカラミがあるのは中心部の花のみ、左右に侍っていたツハモノドモは、見事朽ち果ててしまっとるわけです。

こういうの見るとねー、なんだかね。♂ってやっぱり、繁殖済んだらお役目御免か、みたいな…。このキモチを例えるなら、晩夏の地面に転がってる♂ゼミを見つけたときの、あの哀愁ですわ。

飛ぶ気マンマンなタネのナゾ

同じ♂として軽く自虐にふけりつつ、ふと思ったんです。「そういえばコバイケイソウのタネって、見たことないな…」(ググっても画像ヒットしません。本邦初公開!?)。そこで、ワクワクしつつタネを果穂から取り出してみると…意外な事実が!ナナナント、翼つきのタネが出てきたんです。

「翼」があるということは、風に乗ってタネを散布したいという明確な意図の現れ。でもコバイケイソウの丈は、およそ30~60cmくらい、1mになる大物はあまり見かけません。え!?地上数十cmって、そんなに風吹くか?真下に落ちて終わりなんじゃないの?ええ~~~、なんでなんで????…そんなこんなで、新たなミステリーを見つけてしまったのでした。

 

さて、今回お送りしてきたコバイケイソウのミステリー。いかがでしたか?ちなみに最後のシーンにはさらなるオチが。すぐ隣にいたイワショウブ(丈10cmくらい)のタネも、同じく翼つき。「キミタチ、カゼニノッテ、トブツモリ?」と火打山の湿原に思わず声を響かせてしまいした。

なお、コバイケイソウには無関係ですが、独り言の多いワタクシ。本日、地元でワラビを摘みつつブツブツやっていたところを、うら若き乙女に見られてしまった模様(爆)。目を合わせないように早足で去る彼女。しまったぁぁぁ…。というわけで、今月は完全に脱線したまま、オサラバします!

それでは、また。皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。

 

花ライター/会社員
成清 陽
大学時代から山を渡り歩いていた個性派キャラ。卒業後も、好奇心の赴くままに職を転々とし、自然ガイド、環境コンサル、ホテルマン、雑誌編集者、市営公園管理人を経て、現在は森づくり事業を担う会社員。好きな山は尾瀬、白山、御嶽、北岳。花が美しい山しか好きになれない、アルティメットな病なんです~!(笑)

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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