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思いがけない怪我や症状への対処法、ファーストエイド実践編|安全登山のススメ

山で思いがけず怪我をしてしまったり、症状が出てしまった場合、どのように対処したらいいのでしょうか。ランドネでは、久しぶりの山でうっかり、ということがないように心の準備に役立つ記事を3日間にわたってアップしていきます。
今日は、思いがけない怪我や症状への対処法について。登山ガイドの栗田朋恵さんとランドネ編集部がいっしょに考えていきます。
昨日のファーストエイド心構え編はこちらから>>>

怪我を防止するためにできること

栗田:山登り中はスケジュールを気にしすぎたり、反対にのんびりして時間がかかってしまって、焦ることがありますよね。その結果、注意力が散漫になり、怪我の確率を高めている可能性があります。

ランドネ編集部:では怪我をする確率を下げるために、事前にできることはありますか?

栗田:まずは、余裕のあるスケジュール立てること。

そして、肌をウエアで覆うこと。怪我を防止できますし、虫刺されや過度な日焼け対策にもなります。

また、ひとりで自分をケアすることには限界があるものです。大人数での登山はコロナ感染拡大防止のために避けたいですが、友人や家族などのパートナーとふたりで登る、もしくは日帰り登山でもガイドを依頼できますので、検討してみてくださいね。

山で起こりやすい切り傷、すり傷

ランドネ編集部:わかりました。山で起こりやすい怪我にはどんなものがあるのでしょうか?その対処法も教えていただけますか?

栗田うっかり転んでしまい、切り傷やすり傷を負うことはよくあることです。その場合はまず、傷を清潔な水で洗い流すこと。お茶やスポーツ飲料は避けましょう。もし血が出ていたら、ガーゼや絆創膏で上から押さえるようにしてください。心臓よりも高い位置に上げると、出血しにくくなります。もしガーゼや絆創膏が血でにじんできてしまったら、その都度はがすのではなく、上にかぶせていくこと。そのためにもガーゼや絆創膏は多めに持っていきましょう。ワンタッチパッドも有効です。

ティッシュペーパーは傷に直接触れると、血液といっしょに固まってとれにくくなくなることがあるので、傷のまわりを拭く程度に使うのがよいと思います。

指先などの神経がたくさん通っている箇所は痛みが出やすかったり、頭を怪我すると出血の多さにびっくりしてしまうこともあると思います。そんなとき、慌てて行動すると、余計に血が出てしまいます。

心身を落ち着かせるため、安全な場所で立ち止まり、冷静に傷口を見てみてください。

出血を止めようとして、細い紐や針金などで血流が止まるほどきつく縛ってしまう方がいますが、それはNGです。

靴擦れしたり、足にマメができてしまったら?

ランドネ編集部:気をつけます。久しぶりに登山靴を履いて、靴擦れしたり、足がマメができるというケースもありそうです。

栗田:そうですね。新しい靴を履いたときや、靴下が薄いときなど、靴擦れやマメができやすいですよね。歩き始める前や休憩時など、足に合わせて丁寧に紐を結ぶなど、予防しましょう。

それでも、くるぶしの出っ張っている箇所やつま先が痛くなったり、ミッドカットやハイカットの場合は脛(すね)が擦れてしまうといったことはあります。

そんなときはなるべく早めに対処を。痛みを感じる部分のまわりにガーゼや専用の絆創膏を使って高さを出し、靴と触れにくいようにしましょう。痛みが小さいうちに対処することが大切です。

虫に刺されてしまったら?

ランドネ編集部:虫刺されの場合には、どう対処したらよいのでしょうか?

栗田:ハチに刺されたら、すぐに洗い流すこと。ポイズンリムーバーをもっている場合は、2、3回吸い取ってください。

呼吸が苦しくなったり、ひどく腫れてしまう、気分が悪くなるといった場合は、なるべく早めに下山して医療機関にかかりましょう。アナフィラキシーショックの可能性があれば、すぐに救助要請を。柔軟剤や化粧品の香りはハチが寄ってくるので、使用を避けましょう。

鼻血が出てしまったら?

ランドネ編集部:久しぶりの山歩きで気分が上がって、鼻血が出るということも起こりそうです。

栗田:その場合は、鼻の付け根の両側を抑え、下を向いてください。ある程度治ってきたら、ティッシュを詰めてむやみに触らないようにします。興奮や緊張状態がおさまるまでは、足を止めてちょっと休み、水を飲んだりして心を落ち着けましょう。

やけどしてしまったら?

ランドネ編集部:ワンバーナー料理などもしばらくやらないうちに感覚を忘れていそうで。やけどをしないように気をつけないと、と思っています。

栗田:不安定な場所でガスバーナーを使ったり、五徳が冷え切らないうちに触ってしまったりしてやけどするケース、意外と多いですよね。

そんなとき、もし近くに水場があったら、すぐに冷やすことがまず大切。どうしても水がない場合にはビニール袋に水を入れたり、バンダナなどを濡らしたりして、冷やすという方法もあります。

その後、幹部を清潔なガーゼやバンダナなどで覆って、冷やし続けましょう。水ぶくれは傷つけないよう気をつけて。

足に熱湯がかかってしまった場合には、仲間に荷物を背負ってもらったり、場合によっては肩を貸してもらったりして、助け合って下山しましょう。

ランドネ編集部:こういったことを知っておくと、日常や災害時にも役に立ちそうです!

栗田:そうですね。一人ひとりが知識をもっておくことで、ケアし合うことができますね。
そのときに大事なのは、言葉を交わすこと。手当てをする側もされる側もおっかなびっくりになってしまったりします。

怪我をしている側は、どんなことをしてほしいのかを伝えましょう。手当てをする側は、たとえば傷を洗う前には、水をかけるね、などの声をかけます。そうすることが、お互いに安心して傷に向き合う第一歩。血が止まってきたよ、大丈夫だよ、などと声をかけることで、手当てをする側も心が落ち着いてくる、ということもあります。

ランドネ編集部:怪我や事故が大きくて、自分の手に負えない気がするときはどうしたらいいでしょうか?

栗田:そんなときはすぐに救助を呼び、医療機関につなげましょう。どうしてよいかわからなかったり、不安が強かったり、判断ができない場合には周囲に助けを求めてください。医療機関や山小屋に連絡をとり、指示を仰ぐという方法もあります。速やかに対処することで、より良い手当てを。そして万が一に備えて、保険に入っておきましょうね。

ランドネ編集部:栗田さん、今日もありがとうございました。
明日は、久しぶりに山を歩く時の注意点について、よろしくお願いします!

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PROFILE

ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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